ばん馬のいる風景-BANEI Photo Gallery -

ばん馬の写真とコラム。2021年夏まではツイートまとめも載せています。

馬にニンジンをあげること

2022-02-21 20:31:47 | 2022年
ちょっと昔の話なのだけど、「にんじんあげ」について思ったこと。(結論出ず)

札幌の大丸で馬搬イベントがあって、厚真町から元ばんえい競走馬のカップが来た。
馬にあげられるようにと、帯広競馬場と同じように、紙コップに細く切られたニンジンを入れて売っていた。
馬とのふれあいのシーンはほのぼのする。しかも札幌。街中のイベントなんて、いつ以来だろう。

怖がってぎゃーぎゃー騒ぎながらニンジンをあげようとする女子高生と、それを見て笑う友人たちがいた。
教室の一角のようでちょっとだけ懐かしさを覚えつつ、カップの気持ちが気になる。
横で世話していた人が心配そうに「こうなっちゃうから…」とつぶやいていた。

ふれあいでも見かける光景だ。
怖がってニンジンを手から落としてしまう。すると馬がにんじんの方に頭を下げるから、襲われたと思って人間が「ぎゃー」と驚く。それに馬も驚く。
馬にしたら、目の前に食べ物があるのになかなか食べさせてもらえないことはストレスだろう。

最初は難しいし、だからやめろっていうのではない。何事もほどほどで、馬とのコミュニケーションの一つとして「にんじんやり」があるのは悪いことではないと思う。

怖がりながらニンジンをあげようとして失敗する子と、堂々と怖がらずにニンジンをあげる子。それを見た家族は、我が子の新しい一面を発見するのだろう。
実は子ども目線で馬を見上げるのは、正面から大人が見るよりも怖く見えてしまう。

ただ、たまに「ニンジンあげ機械みたいだな」と思う。動物という感覚を忘れてしまうのか。
といっても非難したくはない(ニンジンあげ禁止!とかは本末転倒)。
馬が身近にいないんだからそれは仕方がない。それを解消するために、このような馬たちがいる。
とはいえ「にんじんくれくれおじさん」になっている馬の姿を見るのは辛い。

私としては、以下のような認識を持っている。
・にんじんは主食ではなくおやつで、与えすぎは良くない。馬は甘さを好んでいる。
・人間が怖がってあげようとするとかえって馬のストレスになる。
・馬は草食だから人間食わねーよ。っていうかニンジンも根菜だから基本食べないが、最初に誰かが食べて、おいしかったから食べるようになる。

だから、たくさんニンジンをもらっているふれあいの馬たちに、今更あげるのも…と思う。
でも、自分が冷たい人間みたいで思わずニンジンを買ってしまう。それもだめだよな…
というか、動物に食べ物あげるのって楽しいか、と聞かれると自分はそうではない。
最初に好きになった馬が競走馬なので、ニンジンをあげられるという考えが最初からなかったからなのか…ここは感覚なのかな。

でも「ニンジンを与えないで」という馬にこっそりニンジンを与えるのは問題外。
だめだって言ってるのに、馬を病気にさせるつもりか。
これってなんなんだろう……そこまでしてあげたいのか……

昨年亡くなった愛馬は、ニンジンが好きだった。ビニール袋の音に反応して走ってきて、同じ放牧地の馬にあげようとすると耳を絞って追っ払った。
でも、「ニンジンをくれる人」としか自分が認識されていないのかな、と思うとさみしかった。
草を刈ってあげることもあった。目の前に伸びたての青草があるのに、私の手から引きちぎって食べてくれる姿がいとおしかった。
(伸びて大きくなったものより、柔らかい新芽がおいしいらしい)
コミュニケーションの一つだったな、と思う。そこにいる姿を見ているだけでよかった。

アップリケ牧場さんのホームページにある、「おやつルールの徹底について」が乗馬クラブの考え方としてわかりやすいかと思います。
What's Newの2020.12.4から行けます。
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