ばん馬のいる風景-BANEI Photo Gallery -

ばん馬の写真とコラム。ツイートばかりですがコラムも書いています。「2021年」などのカテゴリから読んでください。

母として

2022-03-09 22:09:14 | 2022年
私がサラブレッドの競馬を始めたころは、「名馬の子は走らない」というのが通説だった。
牝馬は特にそうだった。「早く引退して繁殖になったほうがいいんだ」、そんなセリフを20代のわたしは悔しく感じていた。
サラブレッドの世界では、もう昔の話。名馬の子たちが次々と活躍している。

ただ、ばんえいはまだ「走った牝馬の子は走らない」と言われる。センゴクエースなんて稀なケース。非科学的な言葉だって当たり前のように聞く。

それでも名馬の子を取り上げたい、そう願う人がいる。昔ながらの考え方に「こんちくしょう」と思ったこともあるのかもしれない。「ほれみたことか」とほくそ笑んだこともあるかもしれない。

日本海を望む牧場で、夢を持って、努力して、試して、我慢して、大切に、大切に、彼女を見守ってきた姿を見させてもらってきた。
引退して2年、ようやく身ごもった。「今ねぇ、これだから!」と奥様は、お腹の前で手で丸みを作って見せた。まるで娘や嫁のように。

出産は命がけ。それは人も馬も同じ。
それにしても、あまりにも無情だ。関係者の心労はいかばかりか。

無事に出産して、競走馬になるのは、当たり前のことではない。奇跡の連続だ。
わかっていても、忘れてしまいがちだけれど。
春に引退した牝馬が、子を産んだ話を聞かないまま、名前を見なくなっていることがある。
知らないところで、悲しみや悔しさが生まれている。
しかし、そこからまた、新しい命に夢をかけているから馬産が続いているのだ。

キクが、少し先に天国へ行ってしまった芦毛のわが子と、連れ添って歩く姿を想像する。
…子どもにえさあげずに自分だけ食べてそうだな!
空でずっと親子の姿のまま、幸せに過ごしていてほしい。お疲れ様、キサラキク。

(気にかけてくれたから、と大変な時期にかかわらず、ご連絡いただきました ありがとうございます)

HOKKAIDO LIKERSさんに取材していただきました

2022-02-28 22:48:31 | 2022年
先日、HOKKAIDO LIKERSさんに取材していただきました。
楽天競馬の「ばんえい十勝応援企画」のひとつ「ばんえい女子」で、女子!? 私でいいんかい!! と思いつつ、登場させていただきました。
https://hokkaidolikers.com/archives/51229

いつも取材する立場なんだから、わかりやすく、と思いながらもダラダラと雑談……ライターのたてかわさんには、私のこんな話をよくまとめていただきました(泣) すいません……

LIKERSさんは、地元の発信者を増やすべくライター養成講座を開いている。昨年は十勝、ばんえい対象の講座があった。
文中でも触れているが、もっとライターが増えれば、いろいろな視点も増えて、なにより私の力不足を補ってくれるのではと……。
というのもあるし、実際、記者やライターとしては当たり前のことをしていても、ばんえい競馬は取材者の数が少ないからなのか、特殊な行為をしているように思われてるのか?と感じることが多々あり……
でも当たり前か、それ以下なんだよなぁ。優秀な記者ならもっといろいろとできるのかと思うともどかしい。下手くそで、力不足を実感する毎日。
自分しかいないからって忘れてしまうこともあるけど、そうならないようにしなくてはなぁ。

閑話休題。たてかわさんは競馬愛にあふれていて、今後のばんえい取材も安心です。
話をしていると、ばんえいを伝えたいという気持ちがあって、競馬だけではなく乗馬など幅広い馬への知識もある。出会いが嬉しかったです。
LIKERSのライター、という立場だけではなく、さまざまな場面から、ばんえいを発信してくれるファンが増えることを願っています。

馬にニンジンをあげること

2022-02-21 20:31:47 | 2022年
ちょっと昔の話なのだけど、「にんじんあげ」について思ったこと。(結論出ず)

札幌の大丸で馬搬イベントがあって、厚真町から元ばんえい競走馬のカップが来た。
馬にあげられるようにと、帯広競馬場と同じように、紙コップに細く切られたニンジンを入れて売っていた。
馬とのふれあいのシーンはほのぼのする。しかも札幌。街中のイベントなんて、いつ以来だろう。

怖がってぎゃーぎゃー騒ぎながらニンジンをあげようとする女子高生と、それを見て笑う友人たちがいた。
教室の一角のようでちょっとだけ懐かしさを覚えつつ、カップの気持ちが気になる。
横で世話していた人が心配そうに「こうなっちゃうから…」とつぶやいていた。

ふれあいでも見かける光景だ。
怖がってニンジンを手から落としてしまう。すると馬がにんじんの方に頭を下げるから、襲われたと思って人間が「ぎゃー」と驚く。それに馬も驚く。
馬にしたら、目の前に食べ物があるのになかなか食べさせてもらえないことはストレスだろう。

最初は難しいし、だからやめろっていうのではない。何事もほどほどで、馬とのコミュニケーションの一つとして「にんじんやり」があるのは悪いことではないと思う。

怖がりながらニンジンをあげようとして失敗する子と、堂々と怖がらずにニンジンをあげる子。それを見た家族は、我が子の新しい一面を発見するのだろう。
実は子ども目線で馬を見上げるのは、正面から大人が見るよりも怖く見えてしまう。

ただ、たまに「ニンジンあげ機械みたいだな」と思う。動物という感覚を忘れてしまうのか。
といっても非難したくはない(ニンジンあげ禁止!とかは本末転倒)。
馬が身近にいないんだからそれは仕方がない。それを解消するために、このような馬たちがいる。
とはいえ「にんじんくれくれおじさん」になっている馬の姿を見るのは辛い。

私としては、以下のような認識を持っている。
・にんじんは主食ではなくおやつで、与えすぎは良くない。馬は甘さを好んでいる。
・人間が怖がってあげようとするとかえって馬のストレスになる。
・馬は草食だから人間食わねーよ。っていうかニンジンも根菜だから基本食べないが、最初に誰かが食べて、おいしかったから食べるようになる。

だから、たくさんニンジンをもらっているふれあいの馬たちに、今更あげるのも…と思う。
でも、自分が冷たい人間みたいで思わずニンジンを買ってしまう。それもだめだよな…
というか、動物に食べ物あげるのって楽しいか、と聞かれると自分はそうではない。
最初に好きになった馬が競走馬なので、ニンジンをあげられるという考えが最初からなかったからなのか…ここは感覚なのかな。

でも「ニンジンを与えないで」という馬にこっそりニンジンを与えるのは問題外。
だめだって言ってるのに、馬を病気にさせるつもりか。
これってなんなんだろう……そこまでしてあげたいのか……

昨年亡くなった愛馬は、ニンジンが好きだった。ビニール袋の音に反応して走ってきて、同じ放牧地の馬にあげようとすると耳を絞って追っ払った。
でも、「ニンジンをくれる人」としか自分が認識されていないのかな、と思うとさみしかった。
草を刈ってあげることもあった。目の前に伸びたての青草があるのに、私の手から引きちぎって食べてくれる姿がいとおしかった。
(伸びて大きくなったものより、柔らかい新芽がおいしいらしい)
コミュニケーションの一つだったな、と思う。そこにいる姿を見ているだけでよかった。

アップリケ牧場さんのホームページにある、「おやつルールの徹底について」が乗馬クラブの考え方としてわかりやすいかと思います。
What's Newの2020.12.4から行けます。

今振り返りたいばんえい名馬・牡馬編の独り言つらつら

2022-02-05 21:07:04 | 2022年
1月30日のばんスタ延長戦「今振り返りたいばんえい名馬・牡馬編
名馬について、個人的な独り言をつらつらと。
ツイートしようと思ったけど、長くなったのでこちらで。

シマヅショウリキ
https://youtu.be/5rL3P95owy4?t=11495
シマヅショウリキが走っていたときは地方競馬ファンで、名前は知っていたけれどそんなに詳しいわけではない。でも強かった馬、という記憶。体が弱かったけれどここまで活躍した、というイメージだなぁ。

カネサブラック
https://youtu.be/5rL3P95owy4?t=13720
体が小さいけれど皮膚が薄く、筋肉が柔らかい、という松田騎手のコメントが印象に残っている(女の人の○っ○いみたい、と)。
ディープインパクトと同じ年に生まれ、同じ年に亡くなった。馬インフルエンザで一度ばんえい記念に出られず、翌年優勝、松井調教師の男泣き。鈴木勝堤騎手が期待していたな。

ナリタボブサップ
https://youtu.be/5rL3P95owy4?t=15654
なんといってもばんえい記念の1腰。この部分だけ、動画が切り替わった部分で映像に残っていないんだよね。
障害のうまさと鼻白を子に受け継ぐ。子どもの活躍はうれしい。恵介騎手がまだゴール前で止まりがちな頃の馬。ウィナーズカップを作った?馬。

オレノココロ
https://youtu.be/5rL3P95owy4?t=17454
恵介騎手が言う重戦車、という例えがぴったり。いろんな思い出があるな。
昨年種馬になり、ばんブロの取材をしようと思ったタイミングで、十勝で伝染病が出たので予防のため牧場に入れなくなり、取材は先になりそう…すいません…たらだらしていたからだ…
夫は初仔が生まれた時の撮影もできない…
木本さんも言ってたけど膝を折っても強いところだな。夏に弱かったなぁ。

コウシュハウンカイ
https://youtu.be/5rL3P95owy4?t=19184
何度も言ってるけど真面目すぎるほど真面目で、同僚にいたら大変だなあってタイプ。他の馬に喧嘩売る。強かったけど1トンだけは勝てず。松井先生が「1トンは別物」と言っていたのはこのことなんだよね。でもその分種馬として楽しみだな。

ホクショウマサル
https://youtu.be/5rL3P95owy4?t=21399
マサルは活躍中にホクショウの社長が亡くなって。見せたかったなぁ。
とにかくでかかったな!背が高くて枠場の屋根に頭がつくくらい。ばんえい記念3着の後、阿部騎手がつきっきりで調教をつけていたという話。武臣騎手はいつも丁寧なんだけどね。そしてリーディングだし。メムロボブサップもいたし、注目を集めた年でしたね。
喉鳴りの手術後によくあそこまで結果残せたし、ばんえい記念もよく勝ったよなぁ。
マサルが広くばんえいを知らしめたという話も出たけど、マサルの連勝はもっと早くから広報してほしかったなと思う…サタデーBANBAでは書いてたんだけどなぁ。自分がタイソンの存在でばんえいを見に行こう、と思ったのと同じように。ファンで連勝を見守る盛り上がり方もあったと思う。

センゴクエース
https://youtu.be/5rL3P95owy4?t=23574
好きなサダエリコの子がこんなに活躍するとは。娘を残せず、エリコの血はつながらないかと思ったら息子2頭が種馬。すごいよなぁ。こんなことってあるんだ。
早いうちから、早めに引退させるという話はしていたけれどこのタイミングか、と驚いた。でもこの馬場や最近のレースぶりを見ると納得。年明けから運動をして、早いうちから種付けができる。十勝で伝染病も出たから競馬場離れてよかったと思う。
ただ引退式は見たかったな。いつかお披露目の機会があればいいんだけど。昔はたまに夏のお披露目あったよな。

芸術作品としての馬

2022-01-16 13:31:30 | 2022年
昨日は、ユルリ島を撮影する写真家・岡田敦さんのアートトークを聴きに、帯広美術館へ「道東アートファイル2022+道東新世代」を見に行きました。
興味深い話で、いろいろと考えさせられました。面白かった〜

岡田さんの写真やユルリ島については
ユルリ島ウェブサイト Yuriri.Island|The island of lost world
https://www.yururiisland.jp/
インスタもあります

ユルリ島の馬たちの存在意義については難しい問題で、自分でも答えがでない。
だからこそ、岡田さん自身がそのことと、アートとして表現することをどう思っているのかが気になっていた。
トークを聞き、それは確固たる作品への意志で、バランスが取れているのだと思った。

話を聞きながら、16年前のことを思い出していた。
まだ写真に興味があった私は、ばんえいの風景が、何を撮っても絵になったことに驚いた。
朝調教の美しさを見てて、この景色を残さなくては、と思った。
いつか存続の危機が来るのでは…と感じていたので、景色の美しさで、少しでもばんえいを知ってもらえれば、と始めたのがこのブログ「ばん馬のいる風景」だ。馬はその存在だけで人の心を打つ被写体だ。私が撮った写真でもそう思われるのだから馬の偉大さがわかる。それを利用しているようでおこがましかったが、そんな余裕はなかった。
ブログはそのうち、存続に向けた動きを紹介する場所になった。存続が決まり、そのうち私は写真より、ストレートに馬文化を言葉で表現することを好むようになり、今に至る。
でも、最初の気持ちを思い出す。芸術作品としての馬を純粋に追う。その先にばんえいの将来をぼんやりと見ていた。

ユルリ島は、岡田さんが撮影し続けてきたことが転機となり、結果的に馬を入れ、存続させる流れになった。今後はまだどうなるかわからない。
岡田さんは、馬の存続を願って撮り始めたというわけではない。あくまでもアーティストなのだ。
最初にユルリ島を訪れた時に「圧倒的に美しい世界が広がっていた」。その感動はよくわかる。
それからさまざまな動きがあり、それらを見聞きし理解していく中でも、岡田さんは一貫して自然に向き合い「芸術という枠組みの中で撮っている」。それが芸術家なのだ。(夫もそんなことを言ってたなぁ)

馬文化をどうしたら伝えられるか。そんなことばかり必死に考えていて、素直に馬の美しさを感じることを忘れていた。でも原点はここだと思うのだ。
でも今の私は歴史などの馬文化を追うし、カメラマンは、画家は、芸術を求めていく。馬文化の多様性がもっと広がっていってほしいと思う。

帯広には馬文化が根付いていると言われた。そうかな。まだまだ足りなく感じることもあるが、15年、多くの人の努力でそうなってきた。そういや、こんな町ほかにあるのかな。
馬文化を発信していくマチが増えていけば、と思う。その一つが根室になりつつあるのかもしれない。

個人的には馬を島に運ぶ方法が興味深かった。現地の漁師さんしかその技術はないという。

道東アートファイル2022+道東新世代は道立帯広美術館で3月13日まで。