イタリアでCOVID-19(新型コロナウイルス)の感染が始まったのは昨年11月より前ではないかという疑惑が浮上しているようだ。中国の場合、武漢で10月18日から27日にかけて競技会が開かれた後、11月17日頃から患者数が急増しているとされているが、疑惑が事実なら、中国と同じ頃、あるいはそれより前からイタリアではCOVID-19の感染が始まっていたことになる。
1980年代にシオニストの一派、ネオコンがイラクのサダム・フセイン体制を倒して親イスラエル体制を築くべきだと主張した理由はシリアとイランを分断することにあった。バラク・オバマ政権のネオコンがウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行したのはロシアとEUを分断することにあった。
本ブログでは繰り返し書いてきたが、海賊を使い、制海権を握っていたイギリスはユーラシア大陸の周辺部を支配、内陸部を締め上げるという長期戦略を持っていた。それを継承したのがアメリカで、ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もこれに基づいている。
締め上げるための弧の西端はイギリスだが、東端には日本がある。米英の戦略にとって日本が重要な役割を果たしていることは明白だ。弧を成立させる上でスエズ運河は不可欠であり、弧の上にイギリスがイスラエルとサウジアラビアを作り上げたのも偶然ではないだろう。日本の近代史を理解するためには米英の長期戦略を理解する必要があるとも言える。
米英の戦略に対し、内陸部の国は鉄道をはじめとする交通手段の建設で対抗しようとしてきた。その一例がシベリア横断鉄道であり、最近の例ではロシアが進めているパイプラインが交通手段の建設、そして中国の一帯一路(BRIとも表記)。アメリカがアフガニスタンに執着している一因は一帯一路を潰すことにある。
そうしたロシアや中国の交通手段やパイプラインの建設はユーラシア大陸の東部と西部を結びつけることが重要な目的。今のところ、東の果てはウラジオストックや上海だが、朝鮮半島を南下して釜山まで延長する計画がある。日本の利益を考えればこの計画に乗るべきなのだが、アングロサクソンに従属することで地位と富を築き、維持している日本の「エリート」は拒否する。
一方、西の果てはドイツやイタリア。イタリアは中国やロシアの計画に乗ろうとしている。アメリカに攻撃される状況にあるわけだ。これが疑惑の背景にある。
イラクではアメリカ軍がPMU(人民動員軍)に対する攻撃を続けている。1月3日にはバグダッド国際空港でPMUのアブ・マフディ・ムハンディ副司令官をイランの特殊部隊コッズ軍を指揮してきたガーセム・ソレイマーニーと一緒に暗殺、その2日後にイラク議会は不法占領している外国の軍隊に撤退を求める決議を採択している。言うまでもなく、外国の軍隊の主力はアメリカ軍だ。
そうした中、アメリカのドナルド・トランプ大統領は安全保障問題担当の顧問に対し、COVID-19(新型コロナウイルス)がイランでも感染が広がっている状態で攻撃することはアメリカに対する印象を悪くするという理由から拒否したという。
ところで、COVID-19の患者が最初に見つかったのは中国の武漢だとされているが、本ブログでも繰り返し書いてきたように、その武漢を300名以上のアメリカ軍の将兵が昨年10月に訪問している。
ただ軍事演習ではなく、10月18日から27日にかけて武漢で開かれた軍人の競技会に参加することが目的だったようだ。アメリカ人競技者は172名とされているが、実際に中国入りしたのは369名だという。
通常の競技会ではトップクラスの成績を残すアメリカだが、武漢の大会では目立たない。金、銀、ブロンズを合わせた数で見ると、1位は主催した中国で239個、2位はロシアの161個、3位はブラジルの88個。アメリカは8個にすぎず、66カ国中の35位。武漢入りしたアメリカ人の多くは水産市場の周辺をたむろしていたとされている。
COVID-19の患者が発見されたのはアメリカ軍のグループが帰国してから2週間後、つまり11月の中旬だとされているが、コロナウイルスの潜伏期間も2週間だと言われている。