気になる植物たち

植物歴長いけど、世の中にはまだまだ気になる植物がいっぱい。花屋のQuの植物的ミニエッセイ。ときどき俳句。 ときどき古墳。

ホオズキ   鬼灯  酸漿

2009-08-07 20:00:00 | 店先で

 


 ホオズキ ナス科。お盆の時期になると、市場にホオズキがたくさん出回ります。昔、この時期には、暑さのため鮮やかな花が少なく、ホオズキのオレンジは、目がさめるほど美しかったことでしょう。盆だなに飾って、ドライになっても――つまり枯れても ――ほとんど色が変わらないという長所もあります。でも、ホオズキがお供えものになったのは、それだけのことではありません。


 ホオズキの役目は、あの世から帰ってくるご先祖様の、足元を照らす提灯なのだそうです。そういえば、英名はChinese lantern  plant(中国の提灯) です。ご先祖様は、キュウリの馬に乗って、ホオズキの提灯を持ち、家の門で焚かれる迎え火を目印に、それぞれの家に帰ってくるのです。ひたすら優しい、日本人の先祖の霊に対する考え方だと思いませんか。本来、仏陀が伝えた仏教と、日本人独特の先祖崇拝が合体した形の、お盆の行事なのでしょうね。ご先祖様の霊は、帰られるときはナスの牛に乗り、ゆっくりとお名残を惜しまれながら、再びあの世をめざします。


 提灯というと思い出すのは、ハロウィンのカボチャです。これも、カボチャをくりぬいた提灯であり――アイルランドではカブの提灯――あの世の暗い道を歩くためのものです。闇夜という言葉がまだあった時代、提灯は頼りになる光であり、同時に提灯に照らされた世界はおどろおどろしく、そこからいろいろなストーリーが生まれていったような気がします。


 


 子供の頃、祖母が教えてくれたホオズキのお雛様。皮をひっくり返して、ヒモを結ぶだけです。トウモロコシの皮の姉様人形もぼんやり覚えてはいるのですが、作ることはできません。皮できちんと日本髪を結って、千代紙で着物を作ってくれたおばあちゃんを、なつかしく思い出します。


 


 


  にほんブログ村 花ブログへ ← ← ← いつも応援ありがとうございます。励みになります。


     ←フラワーギフト、お祝い、お悔やみはこちら。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Quさん、おはようさん。 (あすちー)
2009-08-08 08:43:32
ホオズキって風流やなぁって思うわぁ。
情緒があって。
あっ、そうそう。食べられるホオズキってあるやん。
初めて食べた時はとっても違和感あったなぁ~。
あすマー派遣しましょうかぁ?
どうせいつも放っておかれてるんで全然大丈夫ですよ~。
返信する
あす (Qu)
2009-08-08 23:11:36
食用ホウズキ、昨年食べました。
意外においしく怪しい味・・・。
でも、何もホウズキ食べなくても、ねえ。

あすマーさん、お待ちしてます~^^
返信する
お盆の色 (折節)
2009-08-09 23:42:26
Quさん、こんばんは。

お盆と言えば、子供の頃からの残像は「ほおずき」
提灯やいろいろな飾り付けがあって、親戚が集まって、
和尚さんがバイクでやって来て、お経を上げて、足がしびれて…。
お小遣いをもらって、いとこの兄ちゃんだけが泊ってくれて…。

うちの中がそんな思い出、日没前から外では近所で盆踊り。
私ら小学生は「積極的に」輪になって、なぜか炭坑節やら…。

そしてハイライトは、精霊流し。
海まで2kmくらいの道のり、ぞろぞろ付いてって…。
花火も上がっていたような記憶。

そんな幻想的な、お盆の灯りに近い色、ほおずきの色。
それが目をつぶると思い出す、少年時代の故郷の色です。
返信する
折節さん、こんばんは。 (Qu)
2009-08-10 00:13:38
ほおずき色のお盆、
少年時代の故郷の色。

なつかしいドラマを見ているようなお話ですね。
さだまさしの歌で精霊流しを知った私などには、想像もつかない、濃く深い思い出があるのでしょうね。
できれば、ご一緒にタイムスリップして、覗いてみたい世界です。
返信する

コメントを投稿