なんとなくな日々

SL残日録(個人的なメモ帳)

1988~1991年

2009年11月26日 23時59分32秒 | 本・雑誌
「日日雑記」武田百合子 1992/7 読了 ☆☆☆☆
1988/6~1991/4年(昭和63年~平成3年)著者62~65歳のころの「マリ・クレール誌」に連載したものに加筆訂正削除。「富士日記」でおなじみの大岡昇平、猫の玉や深沢七郎氏などが、この間に他界している。日常の些細なことや人物、風景への視点はこまやかで共鳴する。

19歳の玉が息をひきとった場面は哀しい。
”玉と暮らすようになってから十九年余り、ヒトの身の方には、いろいろ起こっては収まり、起こっては収まり、出入りがなかなか多く、その度毎にヒトはうろたえ騒いだが、玉の方は病気一つせず、ナンカチョーダイ、ウマイモノチョーダイ、と平常心で日々を過ごして、ヒトの年齢を数えれば百歳となった。私より遥か年上となった玉は、歩いていてふっと立ち止まり、そのままの姿勢で壁に向かい、じーっと動かないでいることが多くなった。私は「ヨード卵光」という普通の卵でない卵を割って黄味を舐めさせ「おーい、大丈夫かあ。長生きせえよお」と、ついぞ他人にもわが身にもかけたことのない言葉をかけた。玉は瞬間的剥製からよみがえり、歌舞伎子役のような声をあげて、「あーいー」と返事した……。私はバナナを食べながら、この猫がうちにきてからの、いろいろなことをどっと思い出して、食べながら泣いた”(本分より)


「プロフェッショナル」(原題:The Professional)ロバート・B・パーカー/アメリカ 2009/11 読む
スペンサー、強請屋を追う! 情欲と金に目のくらんだ女たち。流儀を曲げぬ男たち。破局へと突き進む男女をスペンサーは救えるか?
スペンサー・シリーズで描かれつづけてきた男女の愛と行き違いを背景に、男の美学をほろ苦く謳いあげる注目(出版社)
スペンサー・シリーズ37作目

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