「秋の四重奏」(原題:Quartet in Autumn )バーバラ・ピム 2006/5 読み始める
ロンドン、全員ひとり暮らしの男女が四人。共に、同じ会社に勤め、定年間近の年齢である。まず女性二人が退職する。そのうち、マーシャがやがて亡くなり、レティは老後の生活になんとか順応しようと努める。男たち、エドウィンとノーマンはまだ勤めているが、まもなく会社を去ることになるだろう。こうした四人の平凡な日常風景職場のやりとりや昼食、互いのささやかな思いやりやすれ違い、ヴァカンスやクリスマスの計画、遺産相続などが淡々と描かれるだけで、何であれ、劇的な事件には発展しない。
マーシャの死さえも日常生活の中の一齣にすぎない。これら凡庸な四人のありふれた 〈老い〉 が、この味わい深い上質のユーモアに満ちた 〈コメディ〉 の核心をなしている。われわれはここで、静かに奏でられた、ふつうの現代人の、孤独な〈生と死〉 の意味あるいは無意味に向き合うことになる。温厚かつ辛辣な作風によって、〈現代のオースティン〉 という声価を得た英国作家の代表作。(裏表紙より)
1977年に「タイムズ文芸付録」のアンケート、「過大評価されている作家、過小評価されている作家」で、大物批評家デヴィット・セシルと大詩人フィリップ・ラーキンが後者の例としてピムの名を挙げたのがきっかけとなり、本書によって復活。
生涯独身だが、感受性の強いピムは苦い片思いや失恋を多く経験した。数回の卒中や心臓発作に加え、癌のためオクスフォードのホスピスで亡くなる。(1980年、享年67歳)
ロンドン、全員ひとり暮らしの男女が四人。共に、同じ会社に勤め、定年間近の年齢である。まず女性二人が退職する。そのうち、マーシャがやがて亡くなり、レティは老後の生活になんとか順応しようと努める。男たち、エドウィンとノーマンはまだ勤めているが、まもなく会社を去ることになるだろう。こうした四人の平凡な日常風景職場のやりとりや昼食、互いのささやかな思いやりやすれ違い、ヴァカンスやクリスマスの計画、遺産相続などが淡々と描かれるだけで、何であれ、劇的な事件には発展しない。
マーシャの死さえも日常生活の中の一齣にすぎない。これら凡庸な四人のありふれた 〈老い〉 が、この味わい深い上質のユーモアに満ちた 〈コメディ〉 の核心をなしている。われわれはここで、静かに奏でられた、ふつうの現代人の、孤独な〈生と死〉 の意味あるいは無意味に向き合うことになる。温厚かつ辛辣な作風によって、〈現代のオースティン〉 という声価を得た英国作家の代表作。(裏表紙より)
1977年に「タイムズ文芸付録」のアンケート、「過大評価されている作家、過小評価されている作家」で、大物批評家デヴィット・セシルと大詩人フィリップ・ラーキンが後者の例としてピムの名を挙げたのがきっかけとなり、本書によって復活。
生涯独身だが、感受性の強いピムは苦い片思いや失恋を多く経験した。数回の卒中や心臓発作に加え、癌のためオクスフォードのホスピスで亡くなる。(1980年、享年67歳)