なんとなくな日々

SL残日録(個人的なメモ帳)

冷凍

2005年12月14日 23時31分31秒 | 本・雑誌
「凍」沢木耕太郎 2005/9 読了 ☆☆☆☆☆
後記で沢木氏は題名をギャチュンカン(百谷雪嶺)そのものを意味する「百の谷、雪の嶺」にするか「凍」にするか迷ったが、あの世界を構成したのはギャチュンカンという山と、その北壁に挑んだ山野井泰史と妙子の両者であり、その全体を包み込む言葉としては「凍」以上のものはないと。また「凍」が凍りつくといった意味だけでなく音として「闘」とつながり、まさに圧倒的な「凍」の世界で全力を尽くして「闘」することを続けた。と述べている。
その最後の言葉に集約されるようにベースキャンプを出発してからの激闘は圧巻だった。高度のため体調も最悪の中で最高難度の岸壁に挑み下山するまでの肉体的・精神的な極限状態に立ち向かう姿は一種の狂気の世界を思い浮かばせた。どんな世界でも先鋭的なトップを走る人間はそういうものかもしれない。岸壁でのビバークや食物を受け付けない状態や目が見えなくなったり驚きの連続だった。なお、妙子氏は10数年前の登山時の凍傷ですでに手の指は第2関節から10本すべて失い、足の指も8本失っている。
以前、ミニヤコンガから奇跡の生還(1982年)したノンフィクションを読んだがこの本も山登りを知らない人にも十分楽しめる本だ。(北岳(3192m)に登ったのが最高でーす。凍傷の心配ない近くの437mの山に登りたくなった)
ダントツの五つ星決定。
【山野井語録集】
・登る行為すべてが楽しい。
・ソロクライマーは100%近く死んでいるけど、それはいつもひとりで登っているか ら。 楽しい登山もないと寿命が延びない
・怖さを忘れて鈍感になる事はきわめて危険。
・山では寝なくて大丈夫。3日間ぐらいならば、普通に行動できる。
・登る山と対峙したときに、自然に集中できるようでなければ、その山を登るのはや めたほうがいいかもしれない。( エバーニューHPの語録集から一部抜粋)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。