とろける。

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『排泄物と文明』の感想

2021-02-13 11:47:46 | 読書
読む動機として、ひとつの疑問があった。
排泄物を栄養として土に返さずに処理をして土壌が貧しくなることと、排泄物を土に返そうとして衛生上の問題が生じることの両方がありえると思ったが、ではどうすればよいのだろうかという疑問があった。たとえばコンポストトイレを使うとどのような影響があるのだろうと。

それについては、排泄物には毒になる要素があるので、病原体を死滅させるような適切な堆肥化が必要だと分かった。ということは、安全なものにして戻すのは土の栄養になるし、下流の水の処理や汚染、富栄養化に対しても負荷を減らせられるのだろうと思った。


この本では、いろいろな側面から排泄物について語っている。
例えば、地球上では好気性生物よりも先に嫌気性生物が発生したということは、排泄物の起源は酸素なのだ。
読むのが難しく細々と読んでしまったので忘れた部分も多いが、結論としては下記のようなことかなと思う。

排泄物のことを含め環境問題は、複雑だという認識をしたほうがよい。
何かひとつの問題を解決しようとすれば、別の問題が大きくなることが多い。
なるべくたくさんの視点を考慮しながら、どうするのがよいかを考えつづけるのがよさそうだ。

ひとつの解決法を大規模にどこの地域でもそればっかりをやると、それがだめだったり状況が変わったときに対応しづらい。
様々な解決法を様々な規模でやっていくのがよさそうだ。


個別に印象に残った話。
排泄物には薬剤や薬剤耐性菌が含まれている。たとえば家畜に与える駆虫剤が排泄物に含まれていたことで、排泄物を分解する無脊椎動物が死滅し、排泄物が分解されなくなってしまうこともあるらしい。では薬品の使用をすっぱりやめようというわけにはいかないので、簡単に解決できるわけではない一例だと感じた。

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