三和土(たたき) 

2012-07-18 22:00:59 | Weblog
 日本人は玄関の三和土(たたき)まで土足で入り、靴を脱ぐ。下駄やわらじの時代であれば、ここで足を洗って清めただろう。私たちの意識の中では、玄関はまだ完全な屋内ではない。客を玄関まで入れるか、玄関から上に上げるかどうかは大きな違いだ。

 玄関の外と三和土を隔てるのは1本の敷居である。おそらく三和土が発明される前は、玄関の土間は外と同じ土だったろう。しかし土は乾くとほこりが舞う。いつも湿らせておくのは大変だ。そこで消石灰やにがりを混ぜて叩き固めるという方法が考えだされたに違いない。

 つまり敷居で仕切られた三和土と玄関の外とは同じ地面である。たまたま敷居と、そこに立てられた戸が結界の役割をはたしているにすぎない。三和土は住居の内部に入り込んだ外部なのである。


 いい家は「細部」で決まる  永江朗著 新潮新書より 

 
 住宅をつくる室内の部品や家屋の素材、外回りの部材等、蛇口や釘など52種類について、その役割や重要性について分かり易く解説されています。とても面白かったです。