<両軍スタメン>
- 今治のホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。
9-0という記録的な大勝利を果たした岩手戦(11節)を契機に、3連勝とようやく波に乗って来た福島。
あの試合は、ともかく岩手のマンツーマン守備が福島の攻撃スタイルと相性最悪といった試合内容。
ひたすら福島のパスワークに釣られて崩されるのみの岩手という絵図に、福島サイドも参考程度にしかならないようなものでしたが、やはり結果が出るのはどんな相手でも最良の薬となったようであり。
この日の相手の今治は、前回(3節・沼津戦、1-0)観た印象ではゾーンディフェンスの色が濃く、沼津の可変システムにも殆ど動じる事が無かった守備面が強く残っています。
しかし最近は3連敗、かつ3バックへの変更を試みるなど、その芯の部分に揺らぎが生まれているようであり。
そして本来の4-4-2へと戻し、福島をホーム(アシックス里山スタジアム)に迎えて臨んだこの試合。
早々の前半1分に福島が先制攻撃、ラフなロングパスを収めた澤上、倒れながらもポストプレイで繋ぐ強さを見せた末の塩浜のミドルシュート。(ゴール左へ外れる)
この澤上も、一種のトレンドである「契約満了→再契約」という枠組みの選手(ただし前年はセレッソからのレンタル)であり、初スタメンとなったこの日でどれだけ足跡を残せるか注目点となり。
これを軸として攻撃サッカーの本領を発揮したい福島でしたが、その目的は果たされずに時間が進む事となります。
5分の福島は最終ラインから繋ぐ所、堂鼻が今治の前線に巧みに誘導された(日野が堂鼻の右を切りながらプレス)結果、サイドバックへのパスをヴィニシウスがカット成功。
そして前進からのカットインでミドルレンジでのチャンスを迎えましたが、ディフェンスに遭い撃てずに終わり。
何とかショートカウンターを防いだ福島でしたが、以降委縮するかのように今治に押し込まれ。
続く6分、竹内ロングパス→阪野落とし→日野という繋ぎは止めたものの、ゲーゲンプレスにより近藤が奪い返し継続する今治。
そしてそのままペナルティアークからシュートを放った近藤、山田将がブロックするも阪野がエリア内でこぼれを拾い、更にシュート(松長根がブロック)と攻め立てます。
そしてその流れを食い止めきれず、8分に新井が左ポケット奥へ切り込み、クロスがブロックされて迎えた左コーナーキック。(キッカーは新井)
クロスの跳ね返りを加藤徹がヘッドで繋ぎ、クリアミスで流れた所を日野が右ポケットからシュート、GK吉丸がセーブするも尚も拾って継続。
モスキオンの右手前からのクロス、中央で竹内が足でフリックし左へ流れた所に、待ち構えていたのはCKキッカーの新井。
ダイレクトで放たれた強烈なシュートが枠内に跳び、ゴールに突き刺さります。
掴んだペースを離さなかった今治、早々にリードを奪いました。
追う立場となった福島、今度こそ攻撃サッカーを、と言わんばかりにその後10~17分の間は攻撃権を独占。
ポジションチェンジを絡めながらの、間を通すパスワークという持ち味を発揮しての攻めを展開しますが、今治ディフェンスもそこは岩手とは違い。
16分に、本来とは逆の右へとドリブルしてきた森に対し、左SBの加藤徹がしっかり奪うという具合に持ち場を崩さず対応します。
そして福島のターンはここで終わり、18分以降は再び今治の独壇場という展開に。
福島は15分にGK小澤にまで(澤上が)掛けたプレッシャーで、白井のパスをエリア内で塩浜がブロックという場面を作っており。(ゴールラインを割り繋げられず)
それ故ハイプレスに舵を切ったものの、この18分には今治がそれをいなした末に、右から市原がエリア内へスルーパス。
走り込んだ日野がシュート(山田将がブロック)と好機を作り、かつ再びのCKに持ち込み。
この右CKからもショートコーナーを経て、受け直したキッカー新井がクロスと見せかけてカットインで右ポケット奥へ。
そしてシュート気味のクロスを入れ、ヴィニシウスが走り込むという場面を作ったもののGK吉丸がセーブして何とか防ぎ。
色を失う福島。
23分にはお馴染みのMFでのショートパスで前進する所を、前に出てパスを受けた上畑が3人に囲まれた末に奪われてショートカウンターを受け。(右からモスキオンがクロスも合わず)
ならばと24分、自陣左ハーフレーンで大関が囲まれかけた所、右スペースへラフなショートパスを送ったもののこれも繋がらず近藤にカットされショートカウンターに。(左から加藤徹クロス→ファーでヴィニシウス合わせるもDFに当たりCK)
マイボールになっても前進出来ずと、手詰まり感が漂います。
追加点を上げたい流れとなった今治。
27分にはモスキオンが右→中央へロングパスを送った所、クリアにいった山田将が堂鼻と被ってしまい、ヘッドがミート出来ず逆方向に浮かぶというミスに。
これを拾った日野、エリア外まで飛び出してきたGK吉丸をかわして左ポケットに進入せんとするも、すかさず身を倒してきた吉丸がボールを抑え。
守備面でもバタバタし始めた福島の隙を突くチャンスも、結局モノに出来ません。
福島の防戦一方という展開は35分まで続き。
ここに来てようやく微調整が効き、大関が上畑の後ろに降りてボールを持つ事、つまり3枚の最終ラインとなってボールを保持する流れを作り。
そして攻撃権を取り返す事に成功します。
38分に山田将→上畑と間を通すパスを決めてから、(最後方が3人となった事で)高い位置を取った松長根を軸に右から前進。
塩浜のクロスが跳ね返された後もボールを確保し、右から大関がカットインシュートを放つもGK小澤がキャッチ。
これが1分以来のフィニッシュと、憚らずもほぼペースを握られていた事を証明するに至る結果に。
それでも道中今治の反撃を受けるなど、盤石とはいえない展開のままアディショナルタイムに突入。
再び右サイドからの前進で、大関のスルーパスを奥で受けた塩浜が低いクロスを送ると、大外でフリーの森が収める絶好機に。
しかし放たれたシュートは左サイドネット外と、これを逃してしまった福島。
その後もボールを握って攻めますが、最後は右奥へ切り込んだ松長根が日野の反則気味のアタックでボールを失った(笛は鳴らず)所で前半終了の笛が。
今治のハイプレス、そしてタイトな寄せに難儀していた事もあり、「事件」の伏線を醸し出しつつの折り返しとなりました。
ハーフタイムでの交代は無く、迎えた後半開始。
入りの攻防を経てまたも今治が攻撃権を確保し、後半3分には市原の右→中央へのミドルパスを中央で受けた日野が、ボールキープを経てペナルティアークからシュート。(ブロック)
何ら変わりないその光景に、後半も展開が不変のまま続くと思われました。
今治の攻めにも触れておくと、この場面や前半27分のような、斜めのミドルパス・ロングパスに福島サイドが難儀している風であり。
4-3-3のままプレッシングを掛ける福島ですが、どうしてもウイングが中央に規制を掛けなければならない場面が生まれ、空いたサイドへの展開が楽に行われ。
そのサイドには、モスキオンや新井のボランチが張り出してパスを受ける事が多々あり、今治はそこをパス出しの起点としていた感じでした。
何とか今治のペースを剥がしたい福島。
流れを変えるべき存在は前半あまり攻撃に絡めなかった中心選手の針谷で、5分に右ワイドでボールを持つと、そのまま同サイドへ縦パスを送るというフェイントから中央の大関へパス。
これで僅かなスペースを得た大関が(1人剥がして)ドリブルで前進を果たすと、ディフェンスに遭った所を拾った針谷、そのままワイドからクロス気味にシュートを狙い。
これが無回転でゴールを襲うボールとなるも、バーを直撃と惜しくも決まらず。
しかし左サイドで鈴が拾って継続、左ポケットで受けた森がカットインからシュートを放ちましたが、ゴール右へ外れ。
連続で放った有効打に、決められずもムードを幾ばくか変えられたでしょうか。
10分、ドリブルするヴィニシウスを阻みにいった鈴とのデュエルで、こぼれた所を上畑が拾っての福島の攻撃。
倒れ込む鈴を尻目に縦に素早く運び、左ポケット奥を取った上畑のクロスがブロックされた所で、ヒートアップした新井を筆頭に判定に異議を唱える今治サイド。
しかし腕を使って止めにいった鈴に対し、ヴィニシウスが肘打ちを頭部に入れていた事から、ヴィニシウスに警告が出る結果となります。
不満を貯めたまま福島の左CKで継続すると、キッカー針谷の中央へのクロスを、塩浜がGKをブロックする姿勢から合わせるヘディングシュート。
これが右ポスト内側を叩いてのゴールインとなり、同点弾に喜ぶ福島サイドを尻目に、またも判定に異議を唱える状況を強いられる今治。
当然ながら覆らず、振出しに戻っての試合再開となります。
14分に福島ベンチがまず動き、澤上→矢島へと交代。
その後の展開は不穏な今治サイドに従うように乱戦模様となり、15分に敵陣右サイドでボール奪取した福島、針谷の持ち運びでショートカウンターを仕掛けた所に近藤が反則を犯し。
一方で17分には、今治がスルーパスでヴィニシウスが右サイドに抜け出す好機となり、カットインで中央へ切り込まんとするヴィニシウス。
しかし付いてきた堂鼻に倒されると、こちらには反則の笛は鳴らずという結果になります。
そんな流れの中、迎えた18分でした。
今治の攻撃を、プレスバックしてきた塩浜が奪った事でカウンターに持ち込む福島、森が一気にドリブルで敵陣に運びます。
これを必死に追走する市原、止めるには反則しかないという状況で選んだのは、あろう事か森の足へのタックル。
完全に足にいく姿勢にしか見えないそのチャージで倒れた森、これがそのすぐ後ろを走っていた矢島の激昂を呼び起こす事となってしまいます。
一部始終を側で見る事となった矢島の、すかさず市原を押し倒しそのまま行われる暴挙に、試合どころでは無い状況となるピッチ上。
何とか双方の選手が入り乱れてそれを止め、幾ばくかのブレイクののちに主審が判定を下す絵図に持ち込まれます。
結果は市原の警告に対し、矢島は退場というものであり。
当然ながら矢島の行為は許されるものでは無いですが、それを招いたのは市原なのは周知の通り。
ならばラフプレイによる警告に加え、「乱闘を招いた」という査定を加えての退場が妥当では無かったでしょうか。
「ラフプレイによる一発退場」という選択も加わる状況では尚更で、結局3つの選択肢のうち一番軽いものを選んでしまった主審。(原田雅士氏)
かくして矢島を筆頭に福島サイドが納得し難いものとなったのは当然ですが、ともかくここから数的不利での戦いとなる事に。
しかし再開(23分)は福島の左からのFKで、キッカー針谷のクロスをファーサイドで松長根がボレーシュート。(白井が頭でブロック)
続く24分にも、山田将のロングパスを収めた塩浜から好機を作り、パスを受けた森がエリア内に入ってシュート(ブロックされCKに)とペースを掴む福島。
不満をエネルギーに変えるかのように、一丸となり勝利を目指します。
このままセットプレーを交えながらの攻めで、時間を使いながら今治に何もやらせない。
そんな理想も頭を過る流れとなりましたが、流石にそれは浅はかなものであり。
25分に今治は阪野→アンジェロッティへ交代と、疲労感漂う時間帯に決着をつけるべき駒を投入します。
必然的に始められる今治のボール保持による攻勢に対し、守備体勢を取る福島。
その布陣はCFを抜いたのみの4-3-2を基本としながら、森が降りての4-4-1になったり、大関がウイングバックとなっての5バック化など流動的なものに。
この、攻撃では無く守備で流動性を保つといった福島の対抗姿勢により、中々フィニッシュに持ち込めない状態を強いられる事となった今治。
31分に両ベンチが動き、今治は加藤徹・新井・日野→野口・三門・高瀬と一挙3枚替え。(全員同ポジション)
福島は針谷・大関→城定・宮崎へと2枚替え。
以降福島は宮崎がアンカーで、インサイドハーフに城定・上畑という布陣に。
数的不利でも、状況によっては果敢にプレスを掛ける福島。
それでも33分にはそれが切欠となり今治の好機、三門のスルーパスを右奥で受けたヴィニシウスがカットインを経てシュート。(GK吉丸キャッチ)
ようやく辿り着いたフィニッシュを契機として、勝ち越し点に辿り着きたいという展開に。
しかしそのゴールしか見えないという意識が仇となったでしょうか。
37分、逆に福島がボールを握りパスを繋ぐ状況になると、宮崎⇔城定のパス交換での揺さぶりを経て城定が右から持ち運び。
そして松長根→城定→上畑→森スルーパスという流れるような前進で左ポケットを取ると、走り込んだ鈴がグラウンダーでクロス。
中央に走り込んだ塩浜はミート出来ずも、逆にこれが絶妙なフリックとなり(狙ったかどうかは不明)、流れた所に上畑が走り込んでシュート。
ゴールネットを揺らし、不利な立場を一変させる逆転弾に沸き上がる福島サイド。
まさかのビハインドとなった今治。
最後のカードを使ったのは39分で、ヴィニシウス→松本へと交代。(左サイドハーフに入り、近藤が右SHに回る)
一方福島も同時に、上畑・森→大森・清水へと2枚替え。
交代後も4-3-2は変えず、最終布陣にせんとした福島。
その後も今治のボール保持に対し、ブロックを敷いた外側での回しを押し付ける絵図を続け、フィニッシュを撃たせません。
しかし鈴が足を攣らせる事態が発生したため、ATでは鈴が最前線に回り、松長根が左に回るとともに大森が右SBに降りる緊急的措置。
これによりFW2人も降りての、4-4-1による逃げきり体制となり。
一向に満足に攻められない今治。
パスを繋ぐ最中に白井が前線に上がる、単なるパワープレイにあらずという姿勢により何とか同点を目指さんとします。
そして左から野口の低いクロスが入ると、ニアでアンジェロッティが収めるという、最もゴールに近づくシーンが。
それでも福島の必死のディフェンスに遭いシュートは撃てず、かくして万事休すとなりました。
1-2のまま試合終了の笛が鳴ったその刹那、精根尽き果てるように倒れ込むピッチ上の福島選手。
それでも結果は逆境を跳ね返しての勝利なのは揺るぎ無く、また一つチームとして成長を果たせたでしょうか。
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