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DAZN観戦 2020年J1リーグ第19節 鹿島アントラーズvs大分トリニータ

2020-09-30 16:07:06 | サッカー視聴記(2020年以前)

序盤の不調から抜け出し、目下7連勝中と立て直しに成功した鹿島。
元から、チーム力を保ちつつ世代交代も果たさなければならないという難しい舵取りを余儀なくされる状況でありましたが、迷走から抜け出した後は堰を切ったかのように良い流れが巡って来ています。

その要因は様々なものがあるでしょうが(遅まきながら来日・チームに合流を果たしたジーコ氏とか)、世代交代という面では、GKの交代が大きなものだったと思われます。
数年間クォンスンテ・曽ヶ端という2大柱で切り抜けていたものの、曽ヶ端は最晩年で衰退激しく、頼みのクォンスンテもベテランの域に突入したうえ故障がち。
そんな状況で若い沖に白羽の矢が立ち、9節(鳥栖戦)で初スタメンを果たすと、以降正GK争いに勝ち抜いて見事に定着。
連勝中もずっとスタメン出場を続けており、この好調ぶりに乗っかって尚も飛躍しようという所まで伸し上がっています。

7連勝とはいっても、相手を圧倒した試合は一つも無く、接戦を制し続けてのものばかり。
前節・湘南戦はその総決算で、ボール支配するものの決め手に欠き、徐々に相手ペースになっていく苦しい内容。
そんな中で終了間際に先制点を挙げ、1-0での勝利と、鹿島らしいタフさも完全に戻って来たかのような試合でした。
それでも過密日程には勝てず、この日は大幅なターンオーバーを余儀なくされて挑みます。

相手は大分で、激しいポゼッションの握り合いが予想されたものの、序盤から鹿島が主導権を握り圧倒的にボールを支配。
攻撃が途切れても、すかさず即時奪回・セカンドボールを拾う等でターンを継続し、大分に攻撃をさせない時間を長く作っていきます。

その鹿島のビルドアップは、2センターバックの間にボランチ1人が降りて来るという「丁の字型」。
この形も定番になりつつありますが、この日犬飼の出場停止により町田浩樹がCBの一角になった事で、サイドへ開きたがる傾向が強かったのが特徴でしょうか。
長身で植田・昌子(現ガンバ)の後を継ぐCBとしての期待が高いと思われますが、前年は左サイドバックでの出場が主で、その残り香が強かったのか。

ともかく、この最終ラインの形によって、サイドバックを上がり目にするというスタイル。
終始押し気味だった前半は、SBは常に敵陣に居るような状態でした。
4-4-1-1という登録上のフォーメーションですが、両サイドハーフがかなり自由に動き回りボールを引き出していくなど、フォーメーションがあって無いかのような怒涛の攻撃を仕掛けていく鹿島。

一方の大分、ボール奪回時は最終ラインからボールを繋ごうと試みますが、徒労に終わり奪われてショートカウンターを誘発してしまう事多々。
飲水タイムまで、大分の攻撃機会は僅か1度(自分の集計)に終わるという散々な内容で、鹿島に流れの針が全振りになっているようでした。

しかしこの日は、高い位置でボールを奪取しても、精度に問題があった鹿島。
特に4節以外に全試合スタメンを張っている、ストライカーのエヴェラウドがやや精彩を欠いていた感があり。
前半26分、ここも敵陣深めで三竿健斗がボール奪取し、バイタルエリアでエヴェラウドにシュートチャンスが巡ってきます。
ところがエヴェラウドはやや躊躇した挙句、エリア内へのスルーパスに切り替えるも、和泉を狙ったそのパスは繋がらず。

この場面が象徴的だったように、数多のチャンスを作りシュートを放っていった鹿島ですが、肝心のゴールは生まれません。
上記の直後の26分、関川のパスカットからエヴェラウドのロングパスが左サイドの和泉に渡り、和泉はカットインからシュートするもゴール上に外れ。
38分にはスローインからファン・アラーノがドリブルで前進、彼のパスを受けた和泉がエリア内左からシュート(ブロック)。
アディショナルタイムには直接フリーキック、アラーノが直接狙いますが壁を直撃、という具合に大分の守備を破るには至らず。

逆に大分は数少ない好機ながら、28分には田中が右からクロス、GK沖が飛び出すもこぼしたボールを星がボレーシュート。(ゴール左へ外れる)
37分には星が左サイドをドリブルしたのちエリア内へスルーパス、中央に走り込む渡を通り過ぎるも、ファーサイドで田中がシュート。(ブロック)
押し込まれつつも、鹿島ゴールを脅かす機会を得て後半に繋げます。

その後半開始の前に、渡に代えて高澤を投入した大分。
鹿島もエヴェラウドを下げる(上田に交代、同時に名古→荒木に交代)など、両軍動いてきたハーフタイム。

限られた予算の中、集められた人材を活かしきるのに定評を得た大分。
今季初の3得点を挙げた16節・仙台戦(3-0)を境に、チーム状況も好転しつつあり、鹿島同様前半戦の遅れを取り戻さんと必死な状況です。

その鹿島の主将は三竿健ですが、彼の実兄である三竿雄斗が所属するクラブという側面もある大分。
2年前まで兄弟揃って鹿島に在籍していましたが、主力として奮戦する弟を余所に、ベンチ入り出来れば良い方というぐらいの序列で過ごしていた兄。
そんな三竿雄を、J2から昇格したての大分が目を付けて獲得。
そして見事に主力選手に仕立て上げ、今季も3バックの一角で全試合出場を果たすに至っています。

そんな「再生工場」「やり繰り上手」ぶりがチームに好循環を齎すといえど、逆に言えば成功体験により、その方策に頼りきりになってしまうのが負の側面。
今季は三竿雄と同様に他のJ1クラブで燻っていた渡・知念・町田也真人を獲得し、戦力に仕立てようと試みましたが成果は今一つ。
それをカバーするのが下位カテゴリからの補強選手であり、こちらもJ2から野村・香川・小出・佐藤と数多獲得したものの、故障絡みもあって発展途上の分野でしょう。
しかしそんな中、J3から「2ランクアップ」を果たした高澤が戦力に加わり、序盤戦は得点力不足に泣くチームの救世主的存在となりました。
様々な方面からの戦力補強も、リーグ戦も半分を過ぎてそろそろ実を結ぶ頃合いとしたい。

一時は試合から遠ざかっていた高澤、前節(広島戦)で7試合ぶりの出場となり、今季は後半頭から出場。
渡の1トップで挑んだこの試合でしたが、点で合わせるタイプの渡はやはり苦しく、ポストプレイヤーがどうしても望まれる中で投入されました。(知念はこの日ベンチ外)

後半立ち上がり、コーナーキックを得た大分が、そこから3本CKを続けて攻め上がります。
しかしシュートを撃つ事は出来ず、その後は再び鹿島の流れに。
後半10分、左サイドで直線的にパスを繋げ、アラーノがエリア手前左からシュートするもGKムンキョンゴンがキャッチ。
交代した事で和泉が左SH→右SHへシフトし、アラーノがセカンドトップの位置へと移った鹿島。

一方大分、早速交代で入った高澤を活かす攻撃を仕掛けます。
10分自陣で長谷川がパスカットした後、小塚が裏へとロングパスを送り、高澤が走り込んでトラップ。
ここは着地の隙で奪われてしまいますが、1トップの存在感を見せた事でその後サイドからの攻撃も巧く回るようになったでしょうか。
12分、左サイドでボールを受けた長谷川が右へサイドチェンジの後、小出がヘッドで前方へ落とします。
そして拾った田中がカットインを仕掛けエリア手前中央からシュート、ブロックされたこぼれ球を尚も小塚がシュート。
これもブロックに当たる(鹿島・永戸)も、コースが変わってゴール左へと突き刺さり、苦しい展開の中で先制点を得た大分。

一方押しまくっていたもののビハインドとなってしまった鹿島。
直後の13分、山本のロングパスを上田が収めて好機、パスワークののち上田がエリア内に進入してシュートするもゴール左へと外れてしまいます。
シュートに持ち込んでもモノに出来ない展開の連続で、アラーノも苛立ちを隠せずに、反則の後ボールを蹴ってしまい警告を受ける場面も(17分)。

その後18分に大分は小塚→野村へと交代。
長期離脱から復帰して間もない野村、復帰戦でゴールを挙げた(前倒24節・FC東京戦)ように復活の兆しを得てこの日も途中出場します。
大分全体もそれに合わせ、以降主に左サイドで攻撃を作っていきます。
ただし肝心の野村に、パスミスやコントロールミスが相次いでチャンスを作れず。

鹿島は21分の好機(アラーノエリア内進入→こぼれ球を荒木シュートもブロック→さらにアラーノシュートもGKムンキョンゴンキャッチ)以降、次第にボールを握る時間も減っていくなど尻すぼみに。
それに伴い大分もボールを握って攻める場面が増えていき、前半とは打って変わって、セカンドボールも大分が拾う展開となります。

そして35分、鹿島のクリアを跳ね返して好機。
三竿雄のダイレクトパスを受けた野村、2タッチで裏へとスルーパスを送ると、高澤が抜け出してGKと一対一に持ち込みます。
そしてGK沖の飛び出しを見て、エリア直前で左へとシュートを放ち、見事に抜いてゴール。
貴重な追加点を齎した野村と高澤。

この失点の前に鹿島は5枚の交代枠を使い切っており、山本・和泉・関川が退き、遠藤・松村・染野へと交代。
遠藤を除いて前年には名前が無かった選手が揃ってピッチに立ち、鹿島の世代交代の激しさを示す事にはなったものの、依然として得点を挙げる事はままなりません。
関川が退いた事で三竿健がCBへと下がったようでしたが、ビルドアップの際に永木が降りて来るため、結局ドイスボランチのどちらがシフトしたのか傍らから見て不明な状態に。
そしてアラーノがボランチになったようで、最終ラインから繋がれたボールを展開する役を務めたものの、効果はほとんど出ず。
最終盤はリトリートに徹する大分に対し、ロングボール一辺倒の攻撃を余儀なくされます。
染野のターゲット役としての奮闘も空しく、0-2のまま試合終了の笛が鳴る事となりました。

川崎が首位を快走するのを誰も止められない(名古屋以外)状態の今季のJ1リーグ。
降格が無いというレギュレーション故、形作りが済んだチーム(あるいは形作りしようとすらしないチーム)が目指すものが希薄になり易い状況ですが、前を向いて目の前の試合に向かうしかない。まあ賞金圏とかACL圏とかそれなりに目標はあるのですが


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