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DAZN観戦 2023~24AFCチャンピオンズリーグ ラウンド16第1戦 蔚山現代FCvsヴァンフォーレ甲府

2024-02-16 16:58:08 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

・↓のピンク色は、ACL用の背番号となっている選手。ACL以外では今津=5・鳥海=10・ゴンザレス=11。
・蔚山の選手名表記はyahooスポーツナビに準拠。

甲府ベンチメンバー=GK渋谷 孫大河 山本 小林 井上 飯田 武富 佐藤 飯島 宮崎 水野 ピーター・ウタカ

前回のACLの記事-グループH6節・ブリーラムvs甲府


J2所属ながらACL出場を果たした甲府。
それだけに止まらず、初のグループリーグ突破という快挙は誰が見ても素晴らしいものでありましたが、迎えたラウンド16。
オフの編成で大幅な選手の入れ替わりを余儀なくされ、リーグ戦の前に挟まれたこの試合で、勝ち上がりに向けての一体感を出し示す事が出来るかどうか。
相手の蔚山にはファンソッコ・イミョンジェ・キムミヌと、Jリーグでお馴染みの名前が数多スタメンに名を連ねており、控えには日本人選手の江坂。(と長らくJリーグでプレイしていたキムヨングォン)
Jクラブへの対策といった面でも万全な顔ぶれと思われますが、果たして勝負の行方は。(監督も、Jリーグでお馴染みのホンミョンボ氏)

立ち上がりのアバウトな時間帯、甲府は前線のゴンザレス・アダイウトンのパワーを活かして押し込みに掛かり。
前半4分、荒木のラフなミドルパスをアダイウトンが収め、ゴンザレスを経由して溜めを作る事に成功。
そして戻しを経て後方から林田がミドルシュート(ブロック)という、前線のマンパワーを存分に発揮してファーストシュートに持ち込みました。

しかしいくら高い能力を備えていても、始動して間もないチーム故に組織力という面では未成熟さが目立ち。
試合が落ち着き蔚山が最終ラインでパスを回す体勢に入ると、それに対して甲府はハイプレスは控えめに。
前年の姿とは雲泥の差で、ゴンザレスが相手ボランチを切った上で様子を見るという立ち回りを取り。
新たな助っ人を、持ち味のハイプレスに組み込むにはやはりもっと時間が必要といった思惑が感じられました。

それでも序盤は、良い所に木村が顔を出してボールカットに成功するなど、敵陣でサッカーを展開していた甲府。
12分にはこぼれ球を拾った木村が前進し、三平とのパス交換を経て左ポケットへスルーパス。
そこにゴンザレスが走り込みシュートを放ちましたが、GKチョヒョヌのセーブに阻まれ決定機を掴めず。

強豪に対し善戦を見せていた甲府ですが、16分にGK河田のパスミス(縦パスがズレる)を拾われてから蔚山の攻撃。
左へ展開ののちキムミヌがアーリークロスを送ると、1トップのチョミンギュがファーから合わせにいき。
これがクリアに入った神谷と頭部同士激突する事態を招き(チョミンギュの反則)、神谷もチョミンギュも無事だったものの脳震盪を案じて結局両名ピッチ外→復帰という流れを経る事に。

この場面を境に甲府の勢いが削がれ、以降押し込まれ続けたというのが客観的な流れ。
しかしグラウンドレベルでは、蔚山のシステムチェンジがそれを後押ししており。
その後蔚山が攻勢に入る中で、25分辺りで指示を送るホンミョンボ監督。
指で4を作っており、この時にハッキリと4バックへと布陣変更させたのでしょう。

試合開始時から、攻撃時にはシャドーのルドウィグソンが左ワイドに張り、空いたスペースにキムミヌが絞るという可変を見せていた蔚山。
それ故に、切り替えの際キムミヌが大きく動かざるを得ない状態となっていましたが、それを取りやめた事で安定感を齎した感がありました。
キムミヌは2トップの一角に回り、ルドウィグソンが左サイドハーフ・イミョンジェが左サイドバックへとそれぞれ役割が代わり。

そんなシステム変更に対応できずにいたのか、押し込まれる甲府。
26分の蔚山の左コーナーキック、キッカー・イギュソンのクロスは跳ね返されるも、エリア内に浮かんだ所をキムミヌが落とし。
この際クリアにいった林田の腕にボールが当たるも、試合は継続し二次攻撃を仕掛けにかかる蔚山。
右サイドからコサンボム・オムウォンサンのパスワークで前進し、オムウォンサンのクロスが跳ね返されてタッチを割ったという所で、先程の場面のVARチェックが入り。
するとOFRにまで発展する事となり、甲府にとっては緊張の一幕。
レビューでは、「林田が競り合いの際腕でキムミヌを抑えにいき、そのためキムミヌが落としたボールに対し引っ込めるのが間に合わずに当たる」という、何とも判別の付き辛い映像が流され。
そして判定の結果、ハンドは無しという結果となり命拾いします。

それも束の間、ポゼッションを高める蔚山に対し、プレスの機能しない甲府は押し込まれる一方という試合絵図が続き。
蔚山の戻しに対してハイプレスを見せるも、蔚山のドイスボランチが動き・能力ともに絶妙で、ボールキープを許してしまい突破されるという事を繰り返し。

その蔚山のボランチ2人、イギュソンとコサンボムのボールキープ力は圧巻であり。
彼らを活用し、十分にディフェンスを引き付けてからの展開が非常に効いており、剥がしたのちのサイドアタックに翻弄される甲府。
流石はしっかりとした土台(ホンミョンボ監督は今季で4年目)で磨かれた強豪チームといった感じで、時間経過により力の差が露骨に表れるといった展開となりました。
そういった面からか、逆に今季から加わったファンソッコが今一つに映り、41分にはイギュソンが自陣中央で甲府ディフェンスに囲まれながもパスで脱出。
十分に引き付けたため、スペースがある状態でボールを持ったファンソッコでしたが、あろう事か中途半端に前線に長いパスを送ってカットされてしまい。
この辺が(長らく日本でプレーしていたファンソッコだけに)、「Jリーグは敵を引き付けてスペースを作るという意識が薄い」と揶揄される一幕が垣間見える事象だったでしょうか。

試合の方は、19分に裏への低いロングパスに走り込んだオムウォンサンがダイレクトでボレーシュート、これがゴールバーを直撃。(ルドウィグソンが詰めにいくもミート出来ず)
こうした際どいフィニッシュもあり、蔚山へ試合の流れが傾いたのは明白となる試合絵図。

そして36分、甲府の無理目の縦パスをファンソッコがカットすると、このボールが一気に最終ライン裏へ出て蔚山の攻撃に。
キムミヌの収めから左サイドでボールキープし、上げられたクロスはクリアされるも引き続きスローインに。
再び左でのパスワークから中央→右へと展開し、ハーフレーンを持ち上がるソルヨンウに対し、甲府は神谷が迎撃に前に出るもこれが裏目となり。
ポケットへのパスで剥がし、走り込んだオムウォンサンが速いクロスを送ると、GK河田がパンチングで弾いた所をチョミンギュがヘッドで詰め。
ゴール左へ突き刺さり、とうとう崩しきっての先制点が生み出されました。

その後も劣勢を跳ね返せない甲府。
43分にGKから組み立てる蔚山に対しハイプレスに向かいましたが剥がされ、右サイドでのパスワークを経て左へ展開し敵陣に進入する蔚山。
そしてワイドからイミョンジェが斜めの縦パス、これをチョミンギュがダイレクトでポケットへ叩き、そこにキムミヌが走り込むという理想的な崩し。
甲府はたまらず、キムミヌを潰しにいった神谷がその足を引っ掛けてしまう事となり、反則の笛が鳴ってPKに。
これをチョミンギュがゴール左へ蹴り込み、確実にGK河田の逆を突いてゴールゲット。
実力通りと言ってはそれまでですが、2点差となって前半を終える事となりました。

甲府はビルドアップの面でも冴えず、劣勢となってからは、ゴンザレス狙いのロングボールの割合が増える事となり。
しかしこの日はその落下点での競り合いに対し、オフェンス側が反則を取られる傾向の判定にあり(これは蔚山のチョミンギュに対しても同様)、好機に繋がらないのも劣勢に拍車を掛けていた感がありました。

そしてハーフタイムを経て、動いて来たのは蔚山の方。
江坂投入に踏みきりルドウィグソンと交代し、キムミヌが左サイドハーフに回り。
入った江坂はトップ下で、4-2-3-1の布陣となったでしょうか。

迎えた後半も、蔚山ペースは変えられない甲府。
ビハインドを取り戻さんと前掛かりになるも、その度にスペースを突かれてカウンター気味に危機を招くの繰り返しで、一向に反撃の気運が高まりません。

江坂が降りてビルドアップの出口役となる事で、甲府はそれを阻むのはますます困難となり、好機を作り続ける蔚山。
10分に右ポケットへ江坂が縦パスを送り、上がって受けたコサンボムがシュート。
これがゴール左へ外れたというタイミングで、甲府はベンチが動き。
ゴンザレス・三平→ウタカ・飯島へと2枚替えし、前年の布陣で打開を図ります。

先制されてからは、ゴンザレスがGKまで詰めにいくほどのハイプレスを見せていた甲府。
しかし大ベテランのウタカ投入でそれは控えめとなり、ウタカがボランチを切り、飯島が最前線を務めるという守備隊形へと切り替えます。
当然ながら前線で奪うというシーンは稀となり。
地上でのビルドアップも巧くいかない甲府は、何とかオープンな展開に持ち込んで紛れを起こすしか無く。
14分に今津がウタカ狙いのロングパス、跳ね返りを拾った鳥海から右サイド~中央を細かく繋いで前進。
ワイド奥を突いてウタカがクロス(ブロック)という好機に繋がりましたが、やはり厳しい流れは変えられず。

そしてそれはオープン故の反動を浴びる事となり、16分に蔚山はコサンボムのカットで甲府の攻撃を切り、粘り強くスライディングで繋いだ事で矢印を反転。
即時奪回を図った甲府ですが、チョミンギュのポストプレイを受けたキムミヌが林田に倒され、こぼれ球を江坂が拾いアドヴァンテージになると出来たスペースを存分に運ばれる事態を招き。
そしてソルヨンウがドリブルで運んでポケットへパス、走り込んだオムウォンサンのマイナスのクロスを受け直し、神谷の股を抜いてのシュートを放ったソルヨンウ。
ゴール左へと突き刺さり、駄目押しの3点目を決めます。

これで甲府は、何とか第2戦に繋げるゴールが欲しいという立場に追い込まれ。
20分に再度2枚替え、林田・アダイウトン→佐藤・宮崎へと交代します。

センターバック・今津から地上で組み立てて何とか反撃を図るも、やはりビルドアップを強いられる状況では甲府のチームカラーは活きて来ず。
サイドからの運びを選択せざるを得ず、何度か右サイドからアーリークロスを入れるのが関の山という流れに。
そして26分、再び蔚山の最終ラインからの繋ぎに対し、プレスにいくも阻めなかった甲府は危機を招き。
右サイドへ追い込むも、ドイスボランチ双方が絡んでくる蔚山のパスワークを遮断出来ずに展開されるという流れを経て、イギュソンのスルーパスに走り込んだイミョンジェが左ポケットからシュート。(今津がブロック)
存分な組み立てを経て、フィニッシュに絡むのはサイドバックという具合に、やられ放題となってきた甲府ディフェンス。

そんな強者の振る舞いを見せる蔚山も、31分にベンチが動き。
チョンミンギュとキムギヒに代え、マルティン・アーダームとキムヨングォンを投入します。
キムヨングォンは言わずと知れた足下に優れたDFで、彼が左に開いての組み立てでポゼッションをさらに安定化させる蔚山。

何とかその流れを崩したい甲府、35分に最後の交代。(荒木→小林)
その直後に好機が訪れ(36分)、右サイドからのパスワークに、ウタカが降りて関わり前進。
そして鳥海の中央への縦パスからダイレクトで繋ぐ流れとなり、右ポケットを突いたウタカがシュート。
しかしGKチョヒョヌのセーブを経てポストに当たり、モノに出来ず終わります。

37分に足を攣らせたキムミヌに代え、イドンギョンを投入した蔚山。(イドンギョンはトップ下に入り、江坂が左サイドに)
直後の39分に甲府も木村が足を攣らせましたが、既に交代枠は使いきっており代えられずと、いかにも苦しい状況が露わになり。

41分、今津の裏へのロングパスにウタカが抜け出し、オフサイドと思われましたが取られず右奥を突き。
これで(クロスがブロックされて)CKを得た甲府。(この際に蔚山はコサンボム→マテウス・サレスに交代)
二次攻撃での佐藤のクロスから、ウタカがヘディングシュートを放ちゴールネットを揺らします。
しかし今度はオフサイドを取られてしまい、判定に納得出来ないウタカがボールを叩きつけた事で警告を受けるという具合に、折角の決定機も実らなかったこの日の甲府。

結局最後まで蔚山ペースを崩せず。
突入したアディショナルタイムの最中、蔚山のビルドアップに対し、縦パスを佐藤が前に出てカットしたのが唯一の見せ場。
ウタカに繋げるも、エリア内に切り込んだウタカはイギュソンのプレスバックに遭いシュートは撃てず。
蔚山は最後に甲府エリア内に切り込んだソルヨンウが小林に倒され、着地の際に腕を痛めるという事態に見舞われました、失点する事無く試合を終えました。

3-0となり、これで勝ち上がりは困難となってしまった甲府。
やはり新チーム故の苦しさが露わとなった格好で、このまま2戦目も完敗となってしまえば、リーグ戦にも影響を及ぼしかねない流れに。
何とか勝利とまではいかずも善戦して意地を見せるか、ないしは長期的ビジョンに切り替え、チーム固めの一環へと比重を掛けるか。
開幕前に早くも岐路に立たされたという格好ですが、新国立競技場での一戦となる1週間後の姿や如何に。

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