うー、待てません。紅白歌合戦や格闘技のテレビをみて時間を過ごしていましたが待ちきれません。白山神社へ向いました。
カメラザックに黒装束。年越しの衣装とはおよそかけ離れていました。後ろからヘッドライトが近づいてきます。「なんだ、今日は交通規制しているのに。」と思いながら遊歩道を進んでいるとやがて、路面を赤色の回転灯がピッカピッカしてくるではありませんか。スーとわたしの前に一台の白黒の車が赤色灯を回転させながら停車しました。おもむろに助手席のドアがバタンと開き。カッカと偉丈夫な男が近づいて来ました。身も凍る戦慄。とまあその場はつつがなく終わったのですが。
ここ、白山神社。去年は暗くて少し不評だったので今年はライトアップされているとのことでした。時間が早いためかまだ人はそれほど多くはありません。
ここ、白山神社前。いつもこの場所で交通規制がされています。とのことです。市営駐車場前を通過できてもここから岬方面へは侵入できません。良いことだと思います。道はほんとに細いし年末年始やはり穏やかに過ごしたいものです。だんだん人が集まってきました。まだ夜の11時をちょっとまわった20分くらい。
突然、猛スピードでとても明るいヘッドライトをつけた車が突進してきました。すると、お巡りさんが身を挺して進路を遮り穏やかな語り口で説明しています。わー、わたしはあんなに言われるとプッツンしそうだなあーとはらはらして少し隠れるように身を引きました。すると、突然、気丈夫なおばさんが「まぶしいじゃないか、ライトを消しなさい。」と叫ぶではありませんか。わーどうしようわたしはすぐ、警察車両の陰に隠れました。それにしても土佐のはちきんさんは恐るべし。なんとライトをダウンに切り替えたではないですか。お巡りさんは相変わらず顔色を変えず丁寧に説明しています。やがて、車は方向転換してキュキュキュと行ってしまいました。お巡りさんありがとう。地元の人でしょうかお巡りさんに挨拶をしています。きっと、地元の警察官だ、駐在所のお巡りさんかも知れません。
時は午後11時40分頃。だんだん人が集まってきました。「わーXXX子ちゃん久しぶり。」同窓会のような雰囲気です。ドサクサにまぎれてタッチしている。中にはハグハグしています。いいなー若い人たちは。と思いながらいつもこんな感じなのですか。と地元の人に聞くと「去年は松尾と足摺の小中学校の同窓会のような雰囲気でとてもすごかったのですよ。」と話されていました。もちろん周辺のホテルや旅館では足摺岬の年越しを楽しみにこられている方々も多いとのことです。見るからにホテルの宿泊客とおぼしき家族連れを多く見かけました。足摺岬の年越しです。神社内には人垣ができ、なかなか近づけません。午前0時から神社内では神事が始まりました。あちこちで「新年明けましておめでとうございます。」と挨拶の輪ができています。若い人たちはおもむろに携帯を取り出し話だしました。
白山神社では午前0時から始まった神事が30分位で終了しました。今は午前0時30分、神社の廊下に男女の人が出てきました。すると何かを投げています。餅まきのようですが餅だけではないようです。お菓子でしょうかわーと人が集まって拾っています。ああーなんだ知っている人に渡しているような感じの人もいます。でもそれはそれで良いのです。正面にならんでいる人は年男、年女の人たちだそうです。そういえばわたしの郷里では節分の時に同じ様にお菓子や御餅、お酒などと書いた木札などを投げる風習があります。それと同じように厄払いの神事なのだと思いました。とても風情がある神事です。足摺の年越しでは是非尋ねたい行事です。そうか紅白歌合戦は終り画面はゆく年くる年に切り替わりそして、時報とともに新春番組になっている頃だろう。次は金剛福寺へ行こう。
白山神社から遊歩道を歩いて金剛福寺へ向います。途中遊歩道にはナトリウムランプの街路灯がオレンジ色の光りを放っていました。が結構暗い夜道の所もあります。でも、今日は歩行者天国ではありませんが自由に遊歩道を歩くことができます。やはりあちこちで行きと帰り道、新年の挨拶が交わされます。
見ると明々と灯がともっている店舗があるではないですか。岬のおみやげ屋さんの一軒。あしずりつばきではありませんか。事前情報で足摺岬で午前0時近くからお店を開けるところがあるということは知っていましたが、つばきさんだったのですね。店はいっぱい、二階のレストランも人であふれています。暗くてよく分からないと思いますが遊歩道もいっぱいの人です。
やって来ました。金剛福寺前。もう午前1時近くです。8時頃とは大違い、人出がありにぎわっています。右手天津甘栗、その奥たこ焼き、綿菓子、スウィートコーン。左手鯛焼き、ラッコまんじゅう。うーたまりません。がその前にお参りをしなければ。子供づれの親が子供にお参りが済んでから後でと子供に話しています。心うきうき仁王門へ向います。とてもよい年越しの風情です。
金剛福寺の新年、元旦の本堂です。新春の引き締まった新たな気持ちでお参りを済ませました。境内にはこの日、風があまりなかったためかお線香の匂いが立ち込めていました。とてもよい感じです。とにかく地元の人はありふれた新年の光景かもしれませんがはじめての足摺での大晦日、元旦ゆく年くる年、何もかも新鮮に感じます。足摺岬の人たちにとっても今年は少し金剛福寺新鮮に感じるのではないでしょうか。何故か金剛福寺は平成の大修理がその姿を見せつつあるからではないでしょうか。とわたしは思います。
金剛福寺の本堂から鐘つき堂へ至る道すじから撮影しました。みなもに映る金剛福寺本堂と愛染堂です。これらの情景はおそらく金剛福寺の若住職さんの中には以前からあったものだと思うのです。金剛福寺の変化については賛否いろいろあると思いますが、わたしは大局的にはとてもよい方向に向っているのではないかと考えています。四国八十八ヶ所といわずお寺の住職さんは造り、庭園、石など一つ一つに非常な執着があるように思えます。なんか変な方向に行きましたから次は除夜の鐘。
ここは金剛福寺の鐘つき堂。本堂から仮の歩道を通ってきます。仮の歩道は注意しないと左手が池ですから小さなお子さんやお年寄りなど落っこちないように。これから大修理が進むとどんなに変わって行くのでしょうか。
今日は除夜の鐘つき住職さんがまず鐘をつきそして、その後は一般の人が鐘をついてもよい事になっています。入れ替わり鐘をついて行きます。中には、そんなにゴンゴン鳴らさなくてもよいのにとも思いましたがでも良い感じ。もちろんわたしもゴーンと鐘をつきました。足摺岬年越しの良い思い出になりました。時が経つにつれて除夜の鐘の間隔が長くなって行きます。思い出したようにゴーン。
かつての金剛福寺の境内のイメージからは大分変わった風情になっています。時が経つと大晦日などにはきれいにライトアップされることでしょう。何が何でもライトアップではないでしょうけど、これからどんな驚きを与えてくれるのでしょう。この頃、何故か金剛福寺の境内が落ち着きを見せています。とわたしは思います。石がそれでいいんだ、これでいいんだといっているような気持ちにさせてくれるのです。わたしもそう、それでいいんだという穏やかな気持ちになれるのです。わー境内も人が少なくなって来ました。明日、そう今日のこともあるし宿に帰って少し睡眠をとらないと。
もう時刻は午前2時をまわっています。でもまだまだ人通りは絶えません。グランドレストの電気は消えていました。朝の日の出は、ご来光は見られるといいな。どうしよう夜店で買うの忘れてしまった。今から寝るところだし、明日、今日あらためて新春の光りに包まれた金剛福寺を見に来よう。早めに寝よう。午前3時が近づいていました。とてもよい金剛福寺の除夜の鐘、ゆく年くる年です。