海が盛り上がり一塊となり大波となって打ち寄せてきます。
どう表現したらよいのでしょう。台風の鉛色の空と暴風を伴った荒々しい波ではありません。
少し引いてみると見覚えのある岩礁。
明るい日差し、明るい海、濁りの無い透明感を保った波。
ここはアロウド浜、地元の人はアラド浜と呼ぶそうです。
遠くから海鳴りの音が聞こえてきます。
大波をアップで撮っていると一瞬、ホワイトアウトしてしまいます。
そして、以前の記憶がよみがえって来るのです。
たくましい足摺の少年。
荒波などものともしていません。
再び大波が打ち寄せてきます。
アラド浜、夏の日はこのような波が打ち寄せてきます。
わたしは夏のこんなアラド浜がとても好きです。
大波などむしろ楽しんでいるようです。
彼らなりに経験上、海岸で泳ぐことのできる条件は心得ているのだと思います。
一見の観光客から見るとその光景は驚きでした。
再び大波が打ち寄せてきます。
また、ホワイトアウトして記憶のフラッシュバックが起こります。
それはあの時聴いた海鳴りの音に重なります。
少年たちは岩礁に立ったりシュノーケリングしているようでした。
アラド浜と夏の日差し明るい海。
ひときわ大きい波が崩れ少年の足元をさらおうとしています。
少年は岩礁に立ちすくみふとこちらを見たように思えました。
ふと気づくとそこにはアラド浜の少年の姿は見えません。
わたしはいつもアラド浜を訪れる時、少年の姿を探します。
でもいつも打ち寄せる波と変わり行くアラド浜の姿。
心なしかウドの姿も変わっているのかも知れません。
アラド浜に座ってしばらく時を過ごすようにしています。
アラド浜の海と波の音。