ぼくらのありのまま記

ぼくらは
こんな大人になりました。

僕はパッションフルーツには甘い。

2017-08-09 07:48:59 | 東京日記
子どものころから、パッションフルーツを食べて育った。
父島らしい食べ物と言えば、パッションフルーツ、島寿司、ウミガメのもつ煮込み。

思い出すものといえばそのくらいだ。

島寿司は子どもの頃は、好きだったけれど、大人になり、東京の鮨の味を知ったら、
「まぁ、握ってパック詰して売ってる鮨はそんなもんだよね」と思うようになった。

ウミガメのもつ煮込みはもともとそんなに好きじゃない。
秋に大神山神社で行われる相撲大会の時に食べるよなぁ、くらいの思い出。

その中で、パッションフルーツは、特別。
酸っぱくても、甘くても、美味しい。

味はどうあれ、君がパッションフルーツであってくれれば、僕は嬉しい。




9月の15〜17日、
日本橋の社員食堂labで、島寿司とパッションフルーツのイベントをやる。

「え?それなに?」と思うと思うけれど、
僕のかなでも、メニューは、まだ決まっていない。





イベント名も決まっていないので、
「今井さま」で予約となっている。

売るものだけは、決めた。

まずは、パッションフルーツ。
小笠原のパッションはもう収穫時期ではないので、
東京は八王子のパッションフルーツを仕入れさせてもらうことにした。

浜中さんのパッションフルーツ。



パッションフルーツは、花が咲き、受粉をして、実ができる。

これが、つぼみ。咲いた花に、ひとつひとつの花に手作業で受粉させていくのだけれど。
今は、花の時期が終わり、つぼみと成長途中のパッションと。


収穫済みのパッションがそれぞれ、ある段階だ。




つぼみから、収穫までなんと60日もかかる。咲いた花に比べると5分の1くらいの収穫率だそうだ。



「このつぼみが、9月に食べられるようになるんですかね??」



「いや、これはもう10月の中頃だね。」
そうか。こいつは、9月にはまだ小さなパッションなのか、、、。

でも、この畑の中に、僕のパッションフルーツがあると思うと、
もう感謝しかない。暑くなりすぎす、適度に雨よ、振ってくれ。


そして、浜中さんも、どうぞ、体調崩さずに。




「すげーなぁ。なんで、こんな粒そろってんだろ。大きいのばっかりだし。」



「そうですか?」

「島のパッション、小さいのも、大きいのもあってでこぼこしてます。」

「あ、それ年をこしたパッションだね!」

「え?」


「うちは、毎年5月に新しい苗を植えるから。うちもね、
ばあちゃんが育てている年をまたいだパッションは、やっぱり、サイズがバラバラになるよ。」

そうなんだ。


そっか。確かに、僕が見てたのは、半野生みたいなパッションだった。
ほったらかしで、道端に誰かが植えたやつ、勝手にもいで食べてたからなぁ。
だからバラバラなんだ。島の農家さんたちはどうしているんだろうか。
やはり、毎年植え替えているのだろうか。
近々、島にも帰って聞いてみよう。



畑から、歩いてすぐの家のガレージには、
誰かが、味見したパッションが置いてあった。
みんな、きれいに食べていた。


「うちのパッションはちょっと酸っぱいかもよ。」
浜中さんがそう言ったけど、そもそもパッションフルーツはちょっと酸っぱいものなのだ。

というか、友だちんちの庭に勝手に生えてたパッションなんて、
「酸っぱいけれど、かすかに甘いじゃん!!」みたいな感じ。
パッションは酸っぱい中の、ちょっとの甘みが超絶ごちそうに感じる食べ物だと思う。


「あ、俺のもいだやつ、アタリだ。」みたいな。

ただ、それがウケるかといえば、ウケないと思う。
トマトもとうもろこしも、メロンも桃も、ぶどうも。
糖度の時代だ。

パッションフルーツも例外なく、どんどん甘くなっている。

例えば、デートでフレンチレストランに言ったとするよ。
それで、パッションフルーツ食べたことない彼女がね
「なにこれ?あまーい!!」なんて言ってくれたらそりゃあ、嬉しいからね。

「え?酸っぱいんだけど、、、」
なんて言われたら、
「なにやってんだよ、シェフゥ!!」と思うと思う。

「いやいや、そもそもパッションなんて、酸っぱいものだから」なんて言って
あの娘の機嫌損ねたらもう、それこそ酸っぱい思い出になっちゃうから。
とりあえず、「かわいいね」と「あまいね」と、言っておけばいいんだ。





「かわいい」「あまい」が主流の時代に、浜中さんのパッションは
子どものころに食べたパッションほどではないが、ちゃんと酸味があった。
もちろん甘みもあったし、ちゃんと土の香りもした。

鮨のシャリも回転寿司とかは、砂糖を使った甘めのシャリが定番だけれど。
高級店はキリリと赤酢がシャリが主流なように、やはり、「酸味」は大切なのだ。





パッションフルーツには、甘い僕が言うのもなんだけど、
浜中さんのパッションフルーツは、いいよ、すごーく。

9月のパッションはもう少し酸味が増すと言っていたので、
きっと、島を思い出すんじゃないかな。

マサルー、これならリコちゃんも喜ぶと思うよー!!

そして、もうひとつのメイン食材は島寿司。
これは、また次の機会に。