迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

そでふりたまふおんよそほひ

2012-04-29 12:35:56 | 浮世見聞記
そこで目にしたものは

おびただしい数の屍


ここは人が住む場所ではない


そうなのだ

なにもここでなくてもよいはずなのだ


すべては

荒波に揉まれる笹舟



こちらから頼ったのか?

向こうがわたしの袖をとらえたのだ


だからわたしは振り払う


卑怯か?


袖をとらえた己れを恨むことだ


いくら畳を叩いたところで

その法力など効きはしない




心はまだ朦朧としている

しかしそれを堪えて走り出す


そうしなければならぬ


屍など

踏み越えるのだ。
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