驛で見る旅行の案内には、いつでも旅への思ひに心惹かるる。
京都。
もみじ。
これぞ旅情の定番。
いいな、行きたいもんだな………。
が。
ほんまに行ってみなはれ。
もはや「公害」と化した異人たち──といふより「外来種」に踏み散らされた俗街を、目の当たりにするハメとなるで。
『一見さんお断り』
その傳統文化の意味をいまさら悟ったところで、時すでに遅し。
しかし現地のタクシー運転手は言ふ。
「ガイジンさんが、いちばんの御贔屓サンどす」
幕末の昔、かの王城の地で攘夷を叫んだ“志士”たちの、
「ほら、言はんこっちゃない!」
と云ふ聲が聞こえてくるやうだ。
謡曲「春日龍神」は云ふ。
“なにも遠くへ行かなくても、當地にだって學ぶ(見る)べきものはたくさんある”──
たしかに。
旅と云ふやつは、
なにも距離ばかりではないやうだ。
だうせ遠くへ出かけるならば、
余計なモノが無いところを選びまっさ。
いくつも知ってゐるによってな。