迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

再縁神戸の堅牢。

2024-05-23 23:13:00 | 浮世見聞記


今年の正月に神戸を旅し、國道174號線から定番のメリケン波止場を訪ねたあとで、事前に手に入れてゐた往年のメリケン波止場の古い冩真資料を見返して、



波止場の背後に冩ってゐる左側の白い建物に記憶があり、この旅で撮った冩真も見返して、商船三井のビルであることを知る。



阪神淡路大震災でメリケン波止場は損壊したが、この洋風の古きビルは耐へ抜いたのである!

古い冩真に遺る建物が、幾多の災難を乗り越えて、令和現在もその場所に續いてゐる堅牢ぶりを、今回のメリケン波止場再訪に併せて、改めて拝しに出かける。



折しも件のビル沿ひの歩道では、結婚式の事前撮影らしく、華やかに着飾った數組の若い男女が、ビルを背景にシアワセさうな笑顔を冩真に撮らせてゐる最中だった。



かういふ光景に出會すと、ヒネクレ者の私などはすぐに、

「……“離婚”の一番の原因は“結婚”なんですな」

と、かつて鈴々舎馬風師がマクラのなかでズバリ指摘した大好きなひとくさりを思ひ出して、つひ笑顔になってしまふ。

……いやいや、次世代の担ひ手はここから誕生するのだと、笑顔を無理矢理引っ込めて、すみませ~ん、と撮影係に頭を下げて前を走り抜ける。


せっかくなので近くの“日本一短い國道”──國道174號線を再び歩いて、



關所の風格と貫禄がたっぷりな神戸税關の全景をじっくり見上げ、



前回の旅を補完せり。









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