都心忘所、古くからの町に住宅と小寺院が軒を寄せる道で、まだ新しいお堂に逢ふ。
道から自由に入れるやうだったので、ゆっくり足を進めると、なかには三体の尊像がおはします。
阿彌陀彿を中心に、右侍は觀音菩薩、左侍は普賢菩薩なり。
いづれも浮世の俗人を救ふ靈験云々、まさに我がことなり、心静かに今と御縁を結ぶ。
そして、散策中らしき初老夫婦が「お参りして行かうか……」と頷いているところと入れ替はる。
この頃はよく、かうした靈域に出逢ふ。
それがまた、なんとも樂しい。
よって私は、現在のこの進路(みち)で、誤りないことを確信するのである。