迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

萬常灯灯。

2023-01-09 22:28:00 | 浮世見聞記


東京都大田區南馬込にて、江戸時代中期の文政七年(1824)年に當時の馬込村を中心とした富士山信仰團体“富士講”の人々が、池上と品川を結ぶ道の道標も兼ねて建立したと云ふ常夜灯を見る。

火以外に灯りの無かった江戸時代、本當に真っ暗闇となる夜道において、常夜灯の灯りはさぞ心強いものであったらうことは、旧街道探訪を經験してよく知ってゐるつもりだ。


現代とて、淋しい夜道で向こふに街灯りが見えると、



なにか救はれたやうな氣持ちになったりする。


まだまだ若造だった時分、夜の堤道を自転車で走りながら、先の見えない人生(みち)を自分はいつまで進んで行くのだらう、と本氣で思ったことがある。

しかし、今は少なくとも夜は明けてゐる。

いつの間にか、夜は明けてゐた。



それでも私は、月明かりが好きである。



常夜灯の灯りにも、私は旅の足を休めるだらう。









コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 明日の過去へと急ぎ足。 | トップ | アリス九號.、無期限活動“凍... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。