今年の師走は何かと走らなくてよくなった、となると、途端に近所の道を歩くのもゆっくりになる。いろいろな種類がある道々の赤い實も、この時期には眩しく映る。町は靜かなやうでゐて、何となく氣忙しい。みんな、いまになって焦ってゐるな……。たぶん、来年の自分の姿。すでに冬休みらしい小児どもが、やけにウロウロしてゐる。町がなんとなくウルサイのは、これか──ふだんそこに無いはずのものが有ることで、そこはもふ自分の . . . 本文を読む
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- 嵐悳江(あらし とくえ)──手猿樂師にして、傳統藝能創造家にして、鐵道愛好家にして、古道探訪者にして、文筆家氣取り。
雅号は「李圜(りかん)」。
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