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映画や歌舞伎、音楽などのアブクを残すアクアの日記。のんびりモードで更新中。

浅草歌舞伎 第二部

2007-01-24 22:20:58 | kabuki
やっと行くことができました、浅草。第二部だけですが。。
凄かったです!若手が真剣に演じる様は、ある意味において大歌舞伎よりも面白い。芸や技術の面では、幹部俳優さんにはかなわないでしょうけれど、ひたむきに真摯に取り組む様子が浅草ならではの魅力なんだと思います。
私が観たのは23日だったので、お芝居も大分こなれていたのかもしれませんが、過去3回程見た浅草歌舞伎の中では今年がいちばんの充実だったように感じました。

*お年玉<年始ご挨拶>
愛之助さんのご挨拶は、演目や役者さんの紹介などを真面目にされていました。後半は客席に降りて、お客さんの質問コーナー。
質問を終えて舞台に戻るときに、階段を使わず「えいやっ!」と舞台に飛び乗るのがなんとなく王子さまっぽかったのです。

一.義経千本桜 渡海屋・大物浦
役者さんたちがそれぞれ丁寧にきちっと演じていて、全体のバランスも良く面白い一幕でした。
「渡海屋」は獅童さんの渡海屋銀平が素敵でした。大きな碇を持った出が特にかっこよかった。一癖ありそうな凄みのある顔がいい。
歌舞伎の獅童さんを観るのは数回くらいしか無いんですが(『毛抜』の粂寺弾正、『御所五郎蔵』の五郎蔵、『船弁慶』の弁慶など)、その中では今回の銀平が一番。もっと、歌舞伎で観てみたいなぁ。
「大物浦」の知盛は、必死の形相がビジュアル的に大層面白かったんですが(矢が刺さり、血だらけになった姿に凄惨な美しさを感じました)、大きさや恐ろしさまでは感じられませんでした。縄を巻きつけ岩の上から海へ落ちるラストは、「うぅ、うぅ…」という呻き声が浮いてしまいちぐはぐになってしまったのが残念。
七之助さんは獅童さんとは反対に、「渡海屋」の女房お柳より「大物浦」の典侍の局がよかった。安徳帝を抱いて海に飛び込もうとする場は役の大きさに正面からぶつかる大熱演。
勘太郎さんの義経は気品があり、男女蔵さんの弁慶は大きさが感じられてよかった。
亀鶴さんの相模五郎と愛之助さんの入江丹蔵のコンビも愛嬌があってよかったけど、「大物浦」の亀鶴さんの丁寧な所作が印象に残りました。

二.身替座禅
良かった!何が良かったって勘太郎さんが凄かった!!
勘太郎さんを見るのは、コクーン以来。
踊りの面白さや器用さは若手では群を抜いているのかなぁ、と勝手に決め付けていたんですがしばらく観ないうちに雰囲気のある役者さんになったなぁとちょっと感動すら覚えてしまいました。
『身替座禅』自体が面白い狂言だし、以前に見た(勘三郎さんのもありました)お芝居も十分に楽しんだんですが、愛嬌だけじゃない色気、体の線の美しさなど右京という役をすっかり勘太郎さん自身のものにしたお芝居で、本当に本当に素晴らしかった!
声と顔は勘三郎さん写しの愛嬌の良さなんですが(でも、以前の勘太郎さんはもっと真面目な印象で、これほど弾けてなかったと思う。うーんと、弾けるというのは正しくなくて、コメディセンスが高くなったと言った方がいいのかな。きっと、根っこの部分はとても真面目に丁寧に演じてると思うんだけど、右京という役の背景(普通の亭主なのよね。ちょっとブサイクで夫を愛しすぎちゃう奥さんを持った普通に女好きな男なのよね。)が見えてくるんですね。)、勘三郎さんに無い体格の良さ(骨格の良さ、かな)を十分に活かした美しい所作が感動的でした。
色気、というものも以前の勘太郎さんからはあまり感じられなかったんですが、花子のもとから帰って来る勘太郎さんは、ふんわりと甘い色気を纏っていてたいそう素敵でした。
玉の井と知らずに花子との情事を語る勘太郎さんは、ふとした間もすっかり読んでいて、時間も空間も支配しているようでした。
こんなことを書くと怒られてしまうかもしれないけれど、吉右衛門さんと勘三郎さんのいいところを取って2で割った感じとでも言いましょうか。私がおばさんになっても歌舞伎はきっと面白い、と思わせてくれる逞しい役者さんになっていて、安心安心。
玉の井の愛之助さんは、右京をただただ愛する可愛い玉の井でした。白塗りしてへんてこなお顔をしても、でも愛之助さんのお顔が見えてしまうのね。これから先、どんな玉の井になっていくのか、楽しみです。
太郎冠者は亀鶴さん。真面目で小心者でお調子者な太郎冠者。右京との、玉の井とのバランスが非常に良かった。(「大物浦」の相模五郎もとても良かった!)


浅草歌舞伎もいいところは、きっと日々成長していくところでしょうね。愛之助さんのごあいさつの客席インタビューで、「今日で7回目です」とか「9回目です」とおっしゃっていた方の楽しみ方は、そんなところにあるんだろうなぁと感じました。
来年は亀治郎さんが復帰されるんでしょうか?また、今年以上に楽しい舞台を見せてくださいね!なぁんて、まだ今年も始まったばかりでした


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5 コメント

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Unknown (sei)
2007-01-24 23:45:32
浅草はTXが開通したから、行き易くていいよね。
私も以前はよく浅草に通ったものでした
でも、アクアさんとは違って、場所は場外馬券場でしたけどね
そういえば、私も今週の金曜から、アクアさんに負けじと、京都に行ってきますよ
観光っていうより、競馬ですけどね~
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行ってらっしゃ~い! (アクア)
2007-01-26 22:42:04
って、もう行ってしまいましたね
冬の京都、いいですね♪あーん、私も旅に出たいぞ。
お土産は八つ橋がいいな …間に合わなかったか……。

TXのおかげで、浅草はぐんと近くなりましたね。一年に一度くらいしか行かないけど
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Unknown (とおりすがり)
2007-01-27 07:49:49
以前愛太夫さんのことについてコメントした「とおりすがり」です。またとおりすがっちゃいました。
勘太郎さん、すごかったですね。どこであの色気を身につけたんだろう(笑)
吉右衛門さんと勘三郎さんと三津五郎さんのいいとこ取りして、フレッシュさを足したような魅力を感じました。


すみません、ファンです。。。
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お久しゅうございます (玉さん)
2007-01-27 18:17:15
ご無沙汰して申し訳ありません。
これは根っからのずぼら(ぐーたらとも申しますが)の性分が災いしているのと、ここ最近アクアさんの歌舞伎記事の割合が以前に比べなぜかめっきり減ってしまったのが原因と思われ(失礼な事言ってスミマセン)、でも久しぶりに勘太郎くんの記事を読んだら居ても立ってもいられずにお邪魔してしまいました。
「身替座禅」と聞いて思い出すのが去年の勘三郎さんの巡業公演!残念ながら勘太郎くんは怪我で休演でしたがあの長期休養が勘太郎くんを一段と成長させたように思います。復帰初舞台となった昨秋の錦秋公演での「棒しばり」でも、アクアさんが浅草で感じられたのと同じ感動をもらって帰ったことを思い出します。
また師走の京都南座顔見世の「義経千本桜・川連法眼館」での静御前役もほんとに秀逸だったですよ!
ちなみにアクアさんが最後に勘太郎くんをご覧になったというコクーンってもしかしてパルコ劇場じゃないですか?去年のコクーンは勘三郎さん七之助くん親子の「東海道四谷怪談」、同じ3月にパルコ劇場では勘太郎くん染五郎くんの「決闘高田馬場」だったと思うんですが…。間違いだったらごめんなさい。
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こんばんは♪ (アクア)
2007-01-28 00:17:59
*とおりすがりさん*
再度とおりすがってくださって、ありがとうございます
浅草歌舞伎、ご覧になったんですね!
勘太郎くん、観る度に成長してますよね!この先、どんなふうになっていくのかとても楽しみです
どうぞ、またとおりすがってくださいね♪

*玉さん*
お久しぶりです。
そうですね、最近歌舞伎のエントリーが少ないですよね…。しかも更新速度も確実に落ちてます、ごめんなさい。
歌舞伎座の昼の部についても書きたいことがたくさんあるんですが、間違いや失礼の無いようにと思うとなかなかupできません(えへへ、言い訳です)。
勘太郎くんの静御前、きっと気品があって素敵だったでしょうね。次は、いつどこで会えるんでしょう?
ご指摘のコクーン、勘太郎くんは出てませんでしたね!重ね重ねゴメンナサイ
パルコはチケットが取れなくて観られなかったので、浅草の前に勘太郎くんを見たのはなんと一昨年の12月の歌舞伎座でした。一年間、ご無沙汰していたんですね…。
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