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仏像を巡って 5: 東南アジアの仏像

2013年11月25日 | 連載中 仏像を巡って

< ボロブドゥールの釈迦如来座像 >

今回は東南アジアの仏像と仏教遺跡を紹介します。



< 現在の東南アジアの国々 >



< 12世紀の東南アジアの勢力図 >
東南アジアでは、幾多の民族が栄枯盛衰を繰り返し、その勢力図は大きく変わることになった。
特にカンボジア(アンコール朝)、タイ、ミャンマー等は一時、それぞれ最大勢力となりました。
東南アジアは、古代よりインド、中国、アラビアから仏教(小乗、大乗)、ヒンドゥー教、イスラム教が流入し混在した。
したがって仏教美術は多様性と独自性を持つことになった。

ミャンマー



< 仏座像:パガン王朝、青銅製 >



< パガン: パガン王朝の首都遺跡 >
この国はインドに最も近く、東南アジアで最初に小乗・大乗仏教、ヒンドゥー教の影響を受けた。
最初のパガン王朝(11~13世紀)が小乗仏教を国教にし、今日に至っている。
パガンではジャングルに2千以上の仏教建築が点在している。

タイ



< 仏座像:ピサヌロック、前アユタヤ美術、青銅製、14世紀 >
タイは西のミャンマー、東のカンボジアに挟まれ、この仏像様式はアンコール朝の影響を受けている。



< アユタヤ:アユタヤ王朝の首都遺跡、14~18世紀 >
タイ族が最初に作ったスコータイ王朝(13~15世紀)は小乗仏教を国教とし、現在まで続いている。
それに続くアユタヤ王朝は17世紀後半、ビルマの攻撃を受けて滅んだ。


カンボジア



< 仏座像:アンコール朝、青銅製 >
インドのナーガ(蛇神)が座禅を組む仏陀を庇護している。





< アンコール・トムと観音像:アンコール王朝の首都遺跡、12世紀末 >
この時期、アンコール朝(9~15世紀)は最盛期を迎えた。
このトムを建設した王はヒンドゥー教より大乗仏教を重視した。
無数の塔の4面には微笑んでいる観音像の顔がある。
当時、塔と観音像は金色に輝いていた。
これに隣接してヒンドゥー教のアンコール・ワット(12世紀始め)がある。
現在は小乗仏教が国教となっている。


ベトナム



< 千手観音像: 北部王朝、朱と金箔を施した木製、17世紀 >
ベトナムは19世紀初頭まで南北に分裂しており、北部は中国の支配と影響を受け続けた。北部は中国から大乗仏教、南部はインドからヒンドゥー教と仏教の影響を受けた。
現在、大乗仏教が大半を占めている。

インドネシア



< 菩薩座像: 東部ジャワ島、石像、1300年頃 >



< ボロブドゥール:中部ジャワ島、8世紀後半 >
インドネシアは多数の島々からなり、古くから洋上交通の要衝であることから、多くの宗教が混在している。
この寺院は大乗仏教に傾倒した王朝(8~9世紀)によって王都近くに建設され、5百体の仏像が鎮座している。
その後、ヒンドゥー教と仏教が混淆し、15世紀にはイスラム教が旺盛となり、これは密林に埋もれた。
現在、イスラム教が第一の宗教です。







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