このセリフをカットするなんて、なんて勿体ないことを!と、個人的には思ってしまいます。
このセリフこそまさしく、石森先生の世界観そのものですから。
仮面ライダーはショッカーによって改造された。つまり戦っている相手は、自分と同類なんです。
これ、石森ヒーローのほぼすべてに共通した要素なんです。石森ヒーローは同類、ある意味「仲間」と戦っているんです。
だから、敵をすべて倒したとしても、もはや人間ではなくなってしまった彼に、帰る場所はない。
彼自身が、唯一生き残ったショッカーということになり、やがて人々は、そんな彼に「恐怖」を抱くようになる。
それが人というものです。
石森作品の一つで、1979年にテレビアニメ化された『サイボーグ009』の主題歌(作詞・石森章太郎)には、そんな石森先生の世界観とヒーロー像がよく表されていますでしょ?
もうね、「戦鬼」と言われようが「地獄の使者」と言われようが、彼らサイボーグ戦士は「愛」のために、「戦い忘れた人」のために戦うんですよ。涙を流しながら「血の大河」を渡るわけです。明日の平和を夢見ながら「死の荒野」を走るんです。
なんて壮絶な世界観でしょう?そして石森先生は、歌詞の最後をこんな言葉で結びます。
【サイボーグ戦士、誰がために戦う】
なんのために、誰のために戦うのか?
それは、ただ
「助けたい」から。
石森ヒーローとは、尊く、そして
哀しい。
庵野監督は石森先生の世界観をよく理解しておられる。だからこそのこのセリフなので、だから
カットして欲しくはなかったなあ。
この際ですから、「ディレクターズ・カット版」作っちゃいませんか?どんなに長くなっても構わないから。
観たいなあ、ディレクターズ・カット。
カットしてほしくないのに、ある場面カットされたり
ここ、この台詞よ!てのが書き替えられたり
あえてのこの絵柄、のエグみだからこそのズキュン!胸キュンポイント!
が、描き変えられたり、、されてしまふ無念が分かる。。
原作の胸えぐる大好きな表現を描き変えないでくれー!
一番いいとこ!カットしないでくれー!
無理かなぁ。
石森ヒーローは優しすぎるくらいに優しい。だから倒した相手のために涙を流す。こういう部分は実写映像化する過程で削られてしまう。だから原作を知らない人は、今回の本郷猛の姿にビックリした方々もおられるようです。私に言わせれば、これこそが正しい姿なんですけどね(笑)。
庵野さんは石森先生の作品世界をよく理解しておられるし、リスペクトの意思が大変強い。だからこそ、このセリフはカットして欲しくなかった、と強く思います。
でも映画は一人でつくれるものではないので、様々な人の思惑が絡んできたりするし、上映時間は決まっているし、監督の思い通りにばかりはいかないんでしょうね。