微妙なネタバレを含む。お気をつけあれ。
仮面ライダーと何時、何処で、どのようなかたちで、どれほど深く触れてきたかによって、感じ方はだいぶ違う作品なのではないかなと、思われます。
私のように、小学校低学年の時に出会い、石ノ森章太郎先生の原作マンガを、何度何度も、何度も何度も何度も、繰り返し繰り返し、繰り返し繰り返し繰り返し、読み返して読み返して、読み返し続けた者にとっては、
号泣モノです。
もうね、ラストシーンですよ。あのラストシーンはある意味反則だ。原作を知るものにとって、あれは泣かずにはいられません。
あんなに号泣したのは久しぶりだ。
でも単純に原作をなぞっているわけではなく、ショッカーの設定も単純に世界征服をたくらむ悪の秘密結社なのではない。
どのような組織かというのは、実際に観ていただくとして、ここで描かれているのは「絶望」と、その絶望からいかにして抜け出していくべきなのかという、ある種の問いかけです。
昔、角川映画の宣伝文句にありましたよね?
【強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格はない】
ここで描かれているのはまさにそれだ。
仮面ライダーは異形の存在。故に還るところはない。常に「孤独」。
それでも、仮面ライダーは、本郷猛は人を助けたいと思う。
本当の「強さ」って何?
人間にとっての幸せとは?
そして、最後の最後に描かれるのは
「命」の、「魂」の
【継承】
本郷猛は、戦うことに苦悩し、できれば殺さずに済ませたいとする行動をとっていく。
単純に「悪」を倒せば良いという話にはなっていないんです。
もはや勧善懲悪にリアリティはないし、今更仮面ライダーでそれをやっても、
あまり意味はない。
荒み切った相手の心をいかに昇華させるか。そのために、ライダーは
まさしく「命がけ」の戦いに挑むわけですが、
これ以上は語りません。どうぞ作品をご自身で、御覧になって頂きたい。
石ノ森作品へのリスペクトに溢れていましたね。これも私のような石ノ森ヒーローで育った者にはたまらない。
石ノ森先生と東映によって生み出されたヒーローたち。『ロボット刑事』や『人造人間キカイダー』そして『イナズマン』へのリスペクト。
楽しかったですねえ。
出演している役者さんも面白い。えっ?あの方があんな役を?みたいなのが随所に見受けられ、これに気づいた時の楽しさね。
あなたは何人気づけるかな?(笑)
例の「政府の偉い人」も出てきます。演じているのはもちろんあの方。
で、この政府の方々の名前がねえ、また憎いんです。庵野さんやってくれましたよ。
これもまた、私のような初期の仮面ライダーに親しんだものにとっては、たまらないプレゼントでした。
私と同世代のライダー・ファンなら、仰け反って喜ぶこと請け合いです。たまりませんよ(笑)
映画の導入部分はちょっと急ぎすぎたかな?という感じは否めないし、本郷猛のキャラが掴みにくい。CGも必ずしも良い出来とは言えず、戦闘シーンも悪くはないが、今一つなところもあり、完全満足というわけにはいかなかったですが、
「石ノ森イズム」という点に関しては、ほぼ完璧だと言って良い。
以前『BLACK SUN』について、石ノ森イズムはある、みたいなことを書きましたが、あれは間違いです。BLACK SUNは石ノ森イズムの表層をなぞったに過ぎない。
BLACK SUNよ、よく観ろ!
これこそが「石ノ森イズム」現代的解釈であり
これこそが
現代における仮面ライダーの、真にあるべきかたちの一つ。だから
「シン・仮面ライダー」なのだ!
この作品は、いやこの作品だけじゃないな、『シン・ウルトラマン』もそうだし、『シン・ゴジラ』もそう。
庵野さん自身が子供の頃、胸ときめかせて観た作品たちへの、大いなる感謝、多大なるリスペクトが込められているんだと思う。
だからね、子供の頃の庵野さんが触れ続けた作品群を、庵野さんとほぼ同じように触れ続けた世代でなければ
なかなか、伝わりづらいかな、とは思います。
どうかな?若い人たちはどう思うのかな?
私としては、及第点は獲れたな、という感じでした。
たぶん、評価は分かれますね。
あなたにとってはどうかな?確かめる手はただ一つ。
ご自身の目で、作品を観ることです。
さあ、この作品を気になった方々、
観に行きましょう。
観るしかないよ。
PG-12作品です。12歳以下のお子さんが鑑賞する場合、助言、指導が必要となります。
結構グロなシーンもありますので、お気をつけあれ。
有り難うございます。
「仮面ライダー」第一話をテレビでリアルに観た世代としては気になります。
石森章太郎先生の頃から大好きだったもんね。
19日、我が町の新しく出来た文化劇場にて(音響も外観も素敵になりました!)
福島県相馬市長の立谷秀清氏の「災害対応は義理と人情」という防災シンポジウムでの講演がありました。
これまた涙涙の会場内でした。
一番の弱者の御方に寄りそう実際的な素晴らしい内容でした。
このような市長さんがおられる相馬市の市民さん方々は幸いだなぁと思いました。
本当に何でもない日常が物凄い幸福ですね。
少しだけネタバレしちゃうと、登場人物は皆、深い悲しみ、苦しみを抱いてる。ショッカーというのは、人を悲しみ苦しみから「救う」ために、人間を人間でなくしちゃえばいい、人間性をなくしちゃえばいいという、極端な方向にいっちゃった組織なんです。
で、それに抗うのが、本郷猛とその仲間たち。
「孤独」、「絶望」から逃げるのか、それとも向き合うのか。このテーマを特撮モノというかたちで表現している。人間は一人だけど、でも、一人じゃない。
ラストシーンで描かれているのは、まさにこれ、一人だけど一人じゃない。
庵野さんはたぶん、あのラストをやりたいがために、そのラストから逆算して物語をつくっていったんじゃないかな、と思えるほどです。
庵野さんはたぶん、原作の中でも特にあのシーンが好きだったんだろうね。それに自分なりの解釈を加えて、ラストシーンを作った。
仮面ライダーが本当に好きで、石森先生が本当に好きだからこその、あのラストシーン。
たまりませんよ、やっぱり涙だ(笑)。
ネット上では予想通り、賛否両論激しく渦巻いておりますが、それだけ人に与えるインパクトが大きな作品だということでしょう。
賛否どちらであれ、観る価値はある映画だと思う。特に子供の頃に石森ヒーローで育った方々、観るべし!