辻、現代風に言うと交差点ですね。
古来、交差点は異界との接点とみなされていました。道祖神の像や板碑、お地蔵様などが辻に祀られ、悪いものが入ってこないよう、ある種の「結界」が張られていました。
小野不由美の大長編ホラー小説『屍鬼』で、吸血鬼が村に入り込むために、手下を使って辻々に建てられた地蔵などを撤去する場面がありましたね。日本の古俗を現代のホラーに上手く生かした、名シーンだと思います。
屍鬼、実写映像化しないかな。アニメにはなってるけれど、やはり実写で観てみたい。ネトフリ辺りで思いっきり製作費をかけて、やってくれないかな。
それはともかく
街中で占いをする方々のことを「辻占」と言いますでしょ?実際この方々は大概交差点の角のところに座って、お客さんを待っている。真っすぐな道の真ん中辺りで占っている方はいませんね。
辻占の本来の意味は、辻を行きかう人々の会話を聴いて、その内容から吉凶を占うというものだったようです。その名残が、現代までも続いているということ、なのでしょうね。
荒俣宏氏の一大伝奇小説『帝都物語』には、確か橋を行き交う人々の会話を聞いて未来を予見するシーンがあったはずです。橋もまた川や辻と同様の、異界との接点。
さすがよく学んでいらっしゃる。
京都などの一部の地域では、節分の日の夜に辻に豆を置いて、そのまま決して振り返ることなく家に帰る、という風習があるそうです。おそらくは厄払いの意味なのでしょう。
厄払いと言えば人型に自分の厄を乗せて川に流したりもしますね。川もまた異界との接点です。
川に流すのも辻に放置するのも、異界に厄を流すという点では同様、ということか。
辻といえば、アメリカの伝説的なブルース・ギタリスト、ロバート・ジョンソンの話が有名です。
ロバート・ジョンソンはギターの腕前を格段に上げるため、辻の真ん中で悪魔を呼び出し、悪魔に魂を売ったといわれています。真偽のほどは定かではありませんが、ともかくも急激にギターの腕が上がったようで、それ故に名声を得ることになりますが、27歳の若さで急逝します。死因には諸説ありますが、よくわからない。
やはり悪魔に魂を……。
洋の東西を問わず、辻は異界との接点という認識があったということです。
大変興味深い。
以上、辻について、とりとめもなく書いてみました。
ロバート・ジョンソン
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