さかざきが綴る「アンティークな日々」

アンティークディーラーさかざきがアンティークのこと、日常のことを綴っています。

新入荷の商品の中から

2016-08-18 | アンティーク

 新入荷の商品の中からこのアイテムをご紹介!19世紀当時、植民地のあったアフリカから船で運ばれた象牙を、船が着いたノルマンディーの港町ディエップで細工された象牙彫刻の聖水入れ。「カトリックの長女」と呼ばれたフランスらしいアイテムです。 

 こうした象牙彫刻は、現在のフランスでは廃れてしまったものと思っていましたが、私がパリで滞在している6区には、現在でもこういった象牙製品を扱っている店舗がひっそりと営まれています。(実際には、古くから各家に伝わる象牙製品の補修を主に行っているようです。)ショウウィンドウに面した小さな作業場では、いつも年配のムッシュウが手元を明るくするためのお水が入った大きなワイングラス状の容器をを脇に置いて(昔のレース作りの作業場と一緒ですね。)静かに仕事をしています。古い象牙製品に囲まれて作業をしているその様子は100年以上前と変わらないように思います。

 クリスチャンではない私ですが、繊細なアイボリー彫刻にただただ目を見張った聖水入れ。美しいものは、宗教も国境も、そして年代をも超えてしまう気がします。

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