それから、またしばらくしたある夜の事でした。
私は自分が大変気に入ってる、テレビアニメの主人公になった夢を見ていました。あの有名なアトムです。
その年、初めてのテレビアニメとして放映されたその主人公に自分はすっかりのめりこみ、そう言う夢を見れないかなとわくわくしながら思っていたところ、実際に、その状況となったというわけです。
私はアトムとなって雲を抜けて飛んでいました。周りは暗く、空には星空が広がっていました。
『また夜か!』 私は不満でした。『夜は何か、変な感じになるから駄目だ!』 わたしはなんとなくまだ、前の夢を覚えててああなってはいけないとか思っていました。『時間を変えられないか?』・・・そう思って飛んでると時間移動できるのが感覚として分かり、本当に昼になっていきました。『よし、これでカッコよく飛ぶぞ。』自分はそう思っていましたが、『どんなとこをとんでるんだろう?』とふと下を見てしまいました。
そしてあまりの高さと速度にわたしは恐ろしくなってしまいました。『怖すぎる・・・降りよう・・・』
私は速度を落としてゆっくり下降していきました。そして、すぐ下が自分が住んでいるいつもの街並みである事にほっとしました。でもそうするうちに下の人がこっちを見上げてるのに気がついて、すぐにまた見えないところまであわてて上昇しました。
また、嫌な夢を思い出したのです。『また、前みたいな騒ぎになるのはいやだ。どうしよう?』
『昼は目立ちすぎるな』と思いました。『夜だとやっぱりオバケに思われちゃうし・・・夕方ぐらいにしとこう。』すると夕方に移動していました。しかし、降りるとまた、やっぱりすぐ見ようとする人がいます。私は考えました。
『そうだ、自分が見えないようになればいいんだ』と思いつきました。透明アトムです。なんかそんな話がありました。そう思うと見えないようになったようでした。私はそれだけ準備していつもの見慣れた街並みに舞い降りていきました。もう、わたしに気がついて見上げる人はいませんでした。
道なりに気持ちよく飛んでいきました。これだけ低く飛べば怖くないだろうと・・・ほとんど、歩いてるのとかわらないような視線の位置になる高さでゆっくりと飛んでいたので、人の顔がよく見えました。でもなぜか見えないはずなのに通行人がこっちの方を見ています。びっくりしたような顔をして・・・しかし、恐れた雰囲気ではありません。ただただ、驚いてるようでした。
私は地面に眼をやって気がつきました。自分の影が、とても大きな丸い影がでてしまっていたのです。姿は消しても影は消せてなかったのです。
『しかし、何で丸いんだ? 』わたしは影が見えてたことよりなんかそれがとても気になりました。でも訳が分かりませんでした。
この前、見た夢では過去の自分の体験を外から霊的に見てた事もありました。単に過去の記憶を反芻してるだけとも言われるのですが、同じ要領で未来も見てるのでその理屈は通用しません。素直に起きた事実を認めたほうが辻褄が合うのに、わざわざ幻覚とかいうことにするのもおかしいのではないでしょうか?