12月17日、18日の二夜連続でNHKスペシャル「シリーズ 認知症 その時、あなたは」が放送されました。
この放送の中で、認知症の人を介護する、とあるグループホームが紹介されました。
ここでは、暴力や激しい徘徊などで手に負えない患者を、その人の発病前の生活や、現在の言動を手がかりに全体的にとらえ、患者本人が何を求めているのかを考えながら介護の方法をスタッフで探っていく方法をとっています。
ある男性患者は、激しい徘徊があります。
話もあまり通じず、わけのわからないことをぶつぶつつぶやき続けているようでした。どういうわけか新聞紙を流しに持って行き水道水をジャージャーかけ続けたりしています。
この人は以前、教員で、中学で数学を教えており、最後は教頭だったということです。
スタッフは、家族の人から、この人が昔けん玉が得意でよく見せてくれていたという事を聞きました。
若い男性スタッフは、ある日、けん玉を差し出し、「○○さん、けん玉を教えてくれませんか?」と声をかけました。
すると、この人は上手に「もしかめ」をやって見せました。
しかも、笑顔が少し見えました。
スタッフはけん玉をきっかけに、この人とコミュニケーションの糸口を見つけたのです。
この人は、長年教員として、人にものを教えてきました。
ところが認知症になり、話したり、日常の生活をすることに支障が出てきて、自分がすることがなくなり、さらに何もできなくなって、どんどん症状が進んで行ったようです。
そこで、「けん玉を教えてください」と頼まれたことで、人にものを教えていた自分の心を取り戻すことができたのだと思います。このあとどんな経過をたどるのかはまだわかりませんが、少しでもおだやかな生活を送られるのではないでしょうか。
認知症とは、何もかもわからなくなるのではない。進行しても、自分の気持ちをしっかり持っているし、プライドや意欲を持っているのです。周りの人にわかって欲しいと願っているのです。
人として尊重することが大切なのだと思いました。
みなさん、もし私が認知症になってしまっても、けん玉を一緒にやりましょうって言ってくださいね。