お外はつまらにゃい!―ちゃめがうちに来た理由―(前篇)

 6年くらい前、実家に一匹のサビ猫が来るようになった。眼光鋭い雌猫で、あまり人に馴れてはおらず、触ろうと手を伸ばすと爪を出す。気が強いらしく、外猫のちゃぷりと喧嘩になって、ちゃぷりは耳の端っこをぱっくり切り裂かれてしまった。
 サビ猫はしばらく外猫用のえさを食べに通っていたのだけれど、そのうち、家の誰かが、サビ猫のお腹が大きいことに気がついた。子猫が生まれたら問題である。捕まえて手術することもできないし、困ったなあ…と言っているうちに、サビ猫は、お産のために姿を隠した。
 しばらくして、サビ猫は三匹の子猫を連れてきた。茶トラ、縞ぶち、黒である。たいてい家の庭に遊んでいて、お母さんにくっついたり、兄弟三匹がひとかたまりになっていたり、それは可愛いので、生まれたら困るなんて言っていたことはすっかり忘れて、みんなしょっちゅう庭へ出て行っては、親子の様子を眺めていた。 子猫たちを馴らそうと思って、私は竿の先にネズミのおもちゃをぶら下げて、庭へ出て行った。リュウノヒゲの細長い葉のあいだをくぐらせるようにネズミを動かすと、つくばいの陰から、まず茶トラがたまらなくなって飛び出した。たよりない両腕をいっぱいにひろげてネズ公めがけて飛び掛り、猫パンチを繰り出しては後ろに飛び退る。
 茶トラの次に出てきたのは縞ぶちで、茶トラよりは慎重に、ネズミにちょっと手を出した。一番臆病なのは黒猫で、おそるおそる、物陰からでてくるのだけれど、いったんネズミを捕まえれば、ぎゅっとくわえこんで、ちょっとやそっとでは離さなかった。
 こんなふうに、私は子猫たちと遊びはじめたのである。(つづく)
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コメント
 
 
 
竜の髭 (のり)
2007-03-15 18:10:13
仕事の絡みで造園屋さんに聞く迄知らなかったリュウノヒゲ。
植物と鳥には疎い私なのです。
最近庭に雀に混じって目白が来ていますが
もう一種類の大きめな鳥の名前が解からない。
 
子猫と遊んだ事のない私。
色んなブログを覗きに行っては『子猫可愛いなぁ』と羨ましく思うだけ。
コゲの子猫時代見たかったなぁ。
 
ウチの近くで見る野良猫はオスばかり。
きっと縄張り争いで敗れたオスが流れ着く色気のない場所なんだと思います。
ご近所さんが「猫拾ったから飼ってくれへんかな?」と連れて来るのもオスばかり。
当然コゲと合う筈もなく1日お預かりしてさよならなのです。
この間コゲは家に帰ってきません。
やはり私は猫とは縁遠いようです。
 
 
 
子猫の個性 (カゼクサ)
2007-03-15 21:46:43
昔セキセイインコを飼おうとペット屋さんに出向き、たくさんのヒナの中からどのヒナを選ぶか迷ったとき指をヒナに近づけました。すると逃げるもの、反応のないもの、エサだと思って口をあけるもの、指に向かってつついてくるもの・・・といろんな反応があり、鳥も一羽一羽個性があるんだなと思いました。
選んだのは指をつついてきたインコです。好奇心旺盛なこのインコちゃんいろんなことをして楽しませてくれたことを思い出しました。

かわいい三匹の子猫ちゃんもそれぞれ個性豊かですね。この先どうなるか楽しみです。
 
 
 
のりさんへ (チナツ)
2007-03-15 23:35:00
コゲ君がのりさんを選んでやってきたということですから、猫と縁遠いっていうことはないと思いますよ~。
いつか、コゲ君と仲良くできる子猫ちゃんが、のりさんの前に現れるかも…
 
 
 
カゼクサさんへ (チナツ)
2007-03-15 23:37:39
私も、猫を飼う前はセキセイインコを飼っていたことがありますが、ほんと、鳥にも個性がいろいろですよね。
ここに紹介している猫たちも、みんなそれぞれの個性があって、興味深いです。多頭飼いの魅力ってそういうところにあるのでしょうね。
 
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