あみたろう徒然小箱

お気に入りのモノに囲まれ、
顔のつぶれたキジ猫と暮らせば、あぁ、極楽、極楽♪

「事件ですか? 事故ですか?」 

2014-07-27 | できごと
現在、実家の件で駆け回ることになりました。
今年3月に亡くなった父が遺したいくつかの土地家屋の売買に留まらず、
解体業者がガガ~ンと重機で取り壊すにはしのびない個人書類、70年分以上の日記、
アルバム、コレクション、書籍などなど。

実家は40年前の古い家で、母屋は広さ130㎡、それに30㎡弱の離れがあります。
母屋はガラス戸が多いので、その気になればどこからでも侵入できます。
周囲は高いコンクリート塀に囲まれているため外部の目からは遮断され、
泥棒にとっては大変仕事しやすい家だと言えるでしょう。
泥棒が入ったときのことを考え、押し入れに隠れて寝たいぐらいの心境でしたが、
今回はたまたま、あまりの用事の多さに相方が同伴していました。

今回出向いた3泊4日では、
3つの不動産会社との折衝、古本屋さんの搬出など、
合計15、6の重要な用事をこなして日程はびっしり。
連日、体力と思考力の限界を超える状態でした。
綿のように疲れた体にダメ押しをしたのが、睡眠不足。
極端な睡眠不足になった、その理由とは?

まず初日、古本屋さんに来てもらって、段ボール40箱の本を搬出しました。
帰りがけに古本屋さんが言うには、
「たくさんの本を一度に運び出すと、そのあと家が泣くんですよ。
いまもちょっと泣いていますよ」
“家が泣く”?
初めて聞く言葉でしたが、解るような気がします。
長年の重量バランスが急に壊れて、家がきしむのでしょう。

その日の夜のことでした。
夜中の3:30頃、ふと目を覚ますと階下で物音がします。
「下で物音がしない?」
「する、確かにする」
階下を人が歩き回り何かを物色しては、また歩いて何かを動かし・・・。
これが“家が泣く”ってことか? ちょっと違う!

どう考えても、誰かが何かやっているのは確かです。
2人で2階にあったゴルフクラブを持ち、思い切って階段の上から怒鳴りました。
「誰ッ!」
返事なし。音も変わらず。
この辺は外国人が多くなったから、日本語が通じないのか?
携帯を手に怒鳴りました。
「警察に電話するよッ!」
「110番するよッ!」
降りていこうとする相方に、
「待って! 貴方がやられたら、私どうなるの?」

とうとう110番に電話しました。
「事件ですか? 事故ですか?」
「 (どちらかと問われれば・・・)事件です。いま2階にいるんですけど、1階に誰かいるんです」
住所を言い、何らかの会話がありました。(動転していて忘れました)
「いま(警察が)そちらに向かっています」
「門が閉まっているから入ることができません。塀を乗り越えて来てください」
「警察はそういうことはしません」
2階の窓から道路を見て待っていると、遠くでパトカーのサイレンが聞こえます。
「あ、来る来る」と、ホッ。
そのうちサイレンはしなくなってしまいました。
ここが判らないのかしら? 
それとも別の現場に向かうパトカーだったのか?
後で判ったのですが、事件の場合、現場近く5~600m辺りでサイレンを消すようです。

道路にパトカーが次々とやって来て、合計4台も。
バラバラッと警官が降りて来て、2階の窓から顔を出している私に向かい声を落として、
「門を開けてください」
「怖くて下に降りられない。塀を乗り越えてください」
作業服の警官が難なく乗り越え、今度は内玄関を叩きます。
「開けてくださーい」
ここまで来たら泥棒も観念するだろうと慌てて下に降り、玄関を開けました。
8、9人がどやどやっと上がってきて、ざっと1階を見回ったのですが何事もありません。
「何か変わったことありますか? 何か盗られていませんか?」
「ありません。ないと思います」
と言ったって、家の中は片づけの途中で雑然としているんですが。
いくつか会話があった後、
「ネズミはいませんか?」
「いえ、いままで一度も出たことありません」

「灯りを消してください」
1人の警官が床に張り付いて懐中電灯で斜めに照らし、土足で入った足跡を調べ始めました。
「あ、ある。波形の靴底の足跡がある」
「あ、それ、私のスリッパです」
そのうち点検していた1人の若い警官が言いました。
「この奥で、チューチュー言ってます」
「えっ? そ、そんな」
壁と壁の空洞の中、確かに小さな声で「チューチュー」
そのうちネズミが動くと、空洞なので音が反響し、
まるで人が歩いたり、何か物を開けたり動かしたりしている音に聞こえます。 

「す、すみませんでした」すっかり恐縮して詫びる私に、
「いえ、いいんですよ。市民の皆さんの不安なことに対処するのが警察の役目ですから。
これからも何かあったら連絡してください」
別の若い警官が挨拶し、全員が引き上げて行きました。
まだ性善説が通る日本とは対極の性悪説そのものの隣国に1年滞在したことのある私は、
威張り散らす公安の有り様をさんざん見ていました。
だからこのとき、改めて“日本のお巡りさんってほんとに素晴らしい”と実感。
ありがとう。ありがとう。

それにしてもあのリアルな音の怖さ、身が縮む思いでした。
それから連日、3:00過ぎになるとネズミは動き回り、慣れないこちらは目が覚めてしまいます。
しかたなく朝の4:00過ぎから整理、整理の肉体労働。
ネズミは昼間も元気に活動し、時には大きな声で「チューチュー」
ある夜はどこからか猫が入ったらしく、「ウーウー」「チューチュー」の合戦が。
殺鼠剤はまだ効果あがりません。
ネコ、頑張れ~!

この家、よくゴキブリが出たし、ムクドリが天井裏に巣を作ったことはあったのですが、
40年間一度もネズミの気配はなかったのです。
とんだネズミ騒動で、生まれて初めて110番する羽目に。
あぁ、また私の歴史にお馬鹿な出来事が追加されてしまった。

重労働、過密スケジュール、連日の睡眠不足、
蒸暑さと睡眠不足に弱い北国出身の相方は、気の毒に2度も熱中症にかかりそうになったのでした。

いやはや。

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