新・日記どす(DOS)

写真は「ビートルズ」のヘルプごっこ(笑)~音楽からB級スポット訪問記まで、幅広くいろんなことを…笑いをこめて…綴ります~

2020年冬豊橋HOUSE of CRAZYでの友部正人さんの『あの橋を渡る』発売記念ライブ

2021-08-29 07:28:01 | ライブ

2020年冬

豊橋駅前は、新型コロナウイルスのことなんか忘れちゃうようなイルミが彩る中

 

 

 

豊橋HOUSE of CRAZY

友部正人さんを聴きに行く

 

ニューアルバム『あの橋を渡る』を発売した直後のライブ…

2020年、振り返ってみれば

2月に地下鉄矢場町駅の近くにある

4月に得三

8月に鮎川誠さん、友部正人さん、三宅伸治さんとの「3KINGS」

11月に得三

そして、この12月にはここ豊橋HOUSE of CRAZYと

この2020年のコロナ禍の中で、一番足を運んだアーティストかも知れない

若いころは…
ロックが最高!!!
ブルースが最高!!!と思ってて

フォークソングは…
ピンとこなくて…

ロック大好き青少年だったので
若いころ…
ほとんど…聞いてなかったのに…

40代を過ぎた頃になって…
初めて耳にして

友部正人さんの「唄」の世界に惹きこまれて
しまったのよ!

その魅力の一つが

詞の言葉が深くて
聴き終わった
みなさんが

十人十色!!
…の感想を抱くことができること…


まさに詩人そのもので
比喩法などで…イメージなどは聴き手に任せられる曲が多く…
曲から浮かび上がる心象風景を浮かべては
共感してみたり、ときにはエーッと驚愕してみたり…

そんな歌があるかと思えば
思いのたけを吐き出すように…
熱情的にストレートに歌い上げる歌もあって

その多角的な友部さんの唄に翻弄されちゃうのよ!!
聴けば聴くほどに…


ああ、30代半ばまで
友部さんの唄を聴いてこなくて
実にもったいない人生を送っちゃったな
と…


で、40代になってからは
友部正人さんが名古屋にきたときは
なるべく(絶対!!ではないのは…企画ライブと重なったりすると…いけないときもあるので…)
駆けつけよう!!と心に決めて…

2020年5回目の…この豊橋にも…

このコロナ禍でも、いつもと変わらぬペースで歌いに来てくれる友部正人さん
この頃から、新型コロナウイルスの感染者も寒くなるにしたがって増加してきている影響か…お客さんは少なく…でも、ある面、ソーシャルディスタンスが必要以上に保てる状況…

それにもかかわらず…歌う友部正人さんはモチベーションはどんなんだろう??と思うこと自体が杞憂なほどの、いつもの…いつもの…心に沁みる歌を届けてくれる友部正人さんでした…

 

そんな豊橋HOUSE of CRAZYでの友部正人さんのライブレポをば…以下にだらだらと…

まずは、今年90歳になった大道芸人、ギリヤーク尼ヶ崎さんのことを歌った歌からと

「大道芸人」

私も、なんどか大須の大道町人祭でみたことのあるギリヤーク尼ヶ崎さん、今年は、大須大道町人祭、さらには大道芸IN静岡も、新型コロナウイルスで中止になっちゃって、最悪の1年、来年こそはと思ってみても、変異種、変異種とかいってるから厳しくなるのかな…といった憂いの気持ちも持ちつつ、耳を傾ける…

友部正人さんの唄で
私にとって…好きな歌の5指には絶対入る歌
「大道芸人」

心にまっすぐに想いが伝わってくる
友部さんの唄…

ときどき
大道芸を眺めてると
客席エリアのどこかで友部さんがみているんじゃないか…
なんて思えてくるほど…

続いては

「さわがしい季節」

この12月の季節にぴったりの歌

♪十二月まで あと一週間ともなれば~

…の歌いだしで始まるこの歌

描かれる情景は
きわめて日常的なんだけど
そこを鋭い友部さんなりの感性で…言葉を選んで描いている
友部さんの唄が…ストレートに心に響く

心象風景が心に描かれる
その風景はどこか懐かしくて…そしてどこか優しくて…

 

9月に出したアルバム『あの橋を渡る』の中の曲からと

「一月一日午後一時(高橋さん)」

行ったことのない
喫茶「クラムボン」が…
鮮やかに…心象風景に浮かび上がる…

「クラムボン」とは
宮沢賢治の「やまなし」にでてくる
教科書にも載っている物語に出てくる生命体なんだけど
正直…何なのか…わからない…

宮沢賢治は
漠然と森羅万象を生き物のように「クラムボン」と表現したのだろうか…

サビの歌詞

♪クラムボンが笑ったよ クラムボンが笑ったよ~

きっと
友部さんにとって
「クラムボン」は
居心地のいい空間であったに違いない…


歌の後半は
そのストーリーが
核心に


店主の高橋さんが亡くなった…
それも1月1日午後1時に…
その切ない思いを歌に込めて…
そのときの友部さんの想いや情景がストレートに伝わってくるような…
高橋さんへの想いが綴られる
ちょっと切ないけれど…

 

「あの声を聞いて振り返る」

語られる東日本大震災で変わった風景
そして、いなくなってしまった人たちへの想い

振り返った先には、何もない…
何もないけど…そこには何かがある…
それは、今となっては見えない死者たちの声


♪横浜でかいた汗が
新幹線で冷えて
仙台で塩となる
横浜よりいくらか涼しい仙台では
その塩はぼくの勲章だ~


この歌い出しから
友部さんの描く…友部さんが感じた「目」に惹きこまれる

 

「電車の中では何もしない」

歌詞の中では
本に喩えて

♪僕等はみんな同じ大きさ 厚みがちょっと違うだけ~

やっぱ…詩人だな~って心から思う…

「船長坂」

♪歩いている 歩いている~

このフレーズが優しく心に残る…坂は…もちろん、人生に喩えて

伝わってくる旅愁感…歳を重ねて歩いてきたけども、まだまだ人生の「船長坂」は、これからもずっと続いていくんだろうな…

♪わざわざ歩かなくてもいい道を わざわざ歩く人がいる

行きたくないところには行こうとしない人たち~

こんな感じで、人生の旅は続いていくんだろうな…と何度も聴いてみたくなる…心に沁みる歌…

 

「ただそれだけのこと」

♪あの頃はまだ夢があり アメリカの大統領は黒人だった~

…の歌いだしで始まる歌…

♪僕は白人じゃない ただそれだけのこと~

歌の中の…このリフレインが印象的…

アメリカで感じたんだろうといった想いが…
実にストレートな言葉で描かれている…

 

「こわれてしまった一日」

静かで…美しく文学性溢れる詞…

人それぞれ、みなさんが自在にイメージを膨らませて感じることができ、さまざまな捉え方のできる素晴らしい歌詞が、シンプルなギターサウンドにのって綴られる…

 

ここでのMCは、ストリートピアノのこと…最近、あちこちでJRの駅とか地下道とかに流行っているのかストリートピアノが置いてあって、演奏してる人の中にはやたら上手い人がいる…豊橋駅にもあって…と駅でみかけたことを語って

 

次の曲は

♪クワガタの子供はクワガタだった~

との歌い出しで始まる歌…

♪実感が実感でなくなると、実感は僕ではないものになる~

しっとりと歌われるこの歌の意味するところは実に深い…

 

続いては「3KINGS」のレパートリーで子供の頃の思い出を歌った歌をと

「リンゴ畑は永遠なのさ 」


♪ジョン・レノンのストロベリーフィールズは二つある
一つはイギリスのリバプール
もう一つはニューヨークのセントラルパーク
どちらもジョン・レノンの家のすぐ近く
木立が孤独を抱きしめる場所~

どことなく漂ってくる
ボブ・ディランの匂い
どことなく漂ってくる
ビートルズの匂い

それはすなわち
友部正人さんの匂いそのもの…

♪だけどりんご畑は永遠なのさ~


この心地よさ
永遠に…永遠に
ずっと浸っていたい友部さんの奏でる音楽

鮎川誠さん三宅伸治さんとの三人でのユニット「3KINGS」…夏にライブがなくて、三宅伸治さんが突然、今までのライブをDVDでまとめましょうと言い出して、彼がバンマスなので、みんなそうしましょうということでDVDが出来上がった…そのタイトル曲をと

 

「暴走列車」

ミディアムテンポで
暴走というよりも
列車に心地よく揺られているようなイメージ


曲の後半に従って
列車の揺れは激しく…盛り上がる!盛り上がる!!

 

躍動的なリズムで歌われた

「ポテトサラダを食べに来ませんか」

♪ポテトサラダを食べに来ませんか~

のフレーズがリフレインされ、心に残る…

世の中にはいろんな出来事があるけれど、目の前のありふれた日常はゆっくりと過ぎていく…そんな情景をさらりと描いて…

 

「バレンタインデー」

唄の世界はとことん温かい
何十回目かのバレンタインデーのことが歌われる
登場するのは
年齢を重ねた夫婦の愛情
やっぱ…身近にいる人に感謝の気持ちをもたなくちゃね…
と当たり前のことを気づかされる
ホント温かい歌でした…

 

このお店は換気カンペキカンキカンペキ、あ、これ、歌になりますね…笑…と語って

仙台によく行くようになった頃、東急ハンズが工事中で、白いテントに覆われていて何かの卵みたいな感じだなと思って、ああ、モスラが産まれるようだと思って作った歌をと

 

「モスラ」

震災後の東北地方がモスラのように繭に包まれ、今、まさに生まれようとしている…と捉えるその感性に驚かされる…

ここでのMCはニューアルバム『あの橋を渡る』のこと

盛岡の「クラムボン」で、録音が始まって、吉祥寺のスタジオで録ってそれから仙台のスタジオでも録って、さらには南三陸の神楽の舞台で録音したりとか、旅をしながら、録音した初めての試みでできたアルバムだと

過去には「ブルースを発車させよう」といった2枚組のライブ盤、それは関西と東京のライブを録ったんですけど、それよりも、もっとライブハウスじゃないところでも録音したアルバムだと

 

「空の鰯」

♪枝に老人がひっかかっている~

当然、比喩法、擬人法なんだけど
想像すらしたことのない
こんな歌い出しの歌詞から始まる歌…

老人は老人であって
老人そのものではない…と…歌われる世界観は深い!深い!
生きていること…命そのものが…独創的な切り口で歌われる

サビは

♪空のいのち ぼくは庭師(にわし)~

と韻を踏んで
さらには

♪空はいわし~


流れているとイワシになった気分だよと…
ホント、心から詩人だなって思えちゃう!!

 

「ヤブツバキ」

ミディアムテンポのこの曲にのせて、軽快なギターストローク

ヤブツバキを通した、日常への深い考察が垣間見え、

♪日常はヤブツバキでリセットされる~

この歌詞、好きだなあ…こうして、リセットしながら、気分転換をはかって、人間は生きていくのね…とじわっと感動が広がる感じで…

 

ここでのMCは、今日は新しい歌をたくさん聴いてもらおうと思ってます…と言いながら…もうそろそろ終わります…(笑)

先ほど歌った歌の歌詞の中に「馬を俳句で写生する人がいた」って歌った一行があったけれど、それは今井聖さんという人の俳句で

「冬桜 総身湯気の 馬通る」

という句があって、それのことを歌ったと

今月と来月の10日に「NHK俳句」という雑誌があってその中に「リレーエッセイ」というコーナーがあって、それが前回エッセイをかいた大野えりさんから廻ってきて、7月号と2月号に、俳句のことについて友部さんがかいているそうな

1回目は、今井聖さんのことを、2回目は仙台に住む俳句の人で渡辺誠一郎さんのことを書いている…と紹介して

お客さんに、休憩入れなかったから、みんなお替りできなかったよね…と気に掛けながら

 

「地獄のレストラン」

「枕木」を擬人化している印象に残る唄

実にオモシロイ着眼点だなと…
最後の最後まで歌詞の言葉一つ一つに込められた想いを感じながら

今夜、友部正人さんが聴けたこの喜び…
新型コロナウイルスが蔓延する世の中ですが
「枕木」「枕木」
「まっくらな気」
にならないよう…
「まっくらな気」にならないよう…
「まっくらな気」にならないよう…(笑)

 

続いては

「ブルース」

♪ブルースは元気がない時には歌えない~
♪ブルースは元気がない時には歌えない~

このサビのリフレインの心地よさ…

毎日「ブルース」が歌える日々が送れるといいな…

 

「ニレはELM」

♪久し振りに咳のでる風邪をひいた
子供の頃 咳ばかりしていたのを思い出す
犬が吠えるように咳をした
言葉は何も思いつかなかったから

ニレはELM カンゾウはリコリス
ユーカリの葉っぱ レモンの皮
僕は一人お湯を沸かして
咳に効くというお茶を飲む~

この歌のように
新型コロナウイルスも
ワクチンとか言ってなくて

「ニレはELM カンゾウはリコリス
ユーカリの葉っぱ レモンの皮」
のお茶で効くならば
ウンと毎日も楽しくなるのに…

歌い終えて

ホントに咳がでた…と一言…(笑)

 

ここからは、友部正人さん、ステージに残ったままUN

このままいきましょうと…今月14日に「歌を探して」という自選エッセイ集が「ちくま文庫」からでるんだけど、すでに今日持ってきていると…

豊橋の方が日本で一番早く手にすることができますといって笑わせる…今日は、みなさん大変、新譜『あの橋を渡る』もあるし、3KINGSのDVD「暴走列車」もあるし、このエッセイ集もあるし、これは大変だー!と笑いながら

 

「遠来」


しっとりと切ないハープの響き
切なくて…淋しくて…
…でも優しくて…

ニューヨーク
インド
フランス
台湾

どこにいても
僕は…

…どこにいても…人は人と繋がっている…

個から世界へ…
そんな
スケールの大きな…壮大な…
そして感動的な…一曲

ラストは

「愛はぼくにとっておきの色」

♪ブルースを発車させようぜ~

このリフレインが心地よく心に残る!!

 

 

この一本のギターと
歌声で描かれた…
友部さんの世界を心から満喫…


歳を重ねることによって…
…今まで振り向きもしなかったものがよく見える…
…感動の対象が移り変わる…

40代から聴き始めた友部正人さんの歌

聴いていなかった20代、30代がもったいなくて…もったいなくて…

その頃聴いていなかった分を取り返すために??

2021年も2020年と同様、5回くらいは、友部さんのライブにせっせと足を運ぶぞ!!

 

得三や、豊橋HOUSE of CRAZYのライブスケジュールを眺めながら

友部正人さんの名曲「夕日は昇る」じゃないけど

 

♪今度君にいつ会える~

帰りの名鉄特急内、車内ガラガラでしたので

友部正人さんの歌の余韻を肴に…

さらには電車の軋む音にも酔いしれながら…(笑)

夢の中へと落ちていったのでした…