あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

映画「エコール」の謎を解く。本当のダークでディープなものとは何か。

2017-02-25 22:50:12 | 映画
『エコール』(原題:Innocence、邦題:École)という19世紀の作家フランク・ヴェデキントの短編小説を基にした2004年の映画を観た。






監督はフランスのルシール・アザリロヴィック監督、女性ですね。

【ストーリー】
高い塀で下界を遮断された森の中の学校、エコール。
6歳から12歳までの少女たちが自然の生態やダンスを学んでいる。
髪には学年を区別する7色のリボン。
かわいらしい制服は清楚な白。
深い森と青い空を映す湖の前で、妖精のように戯れる少女たち。
男性のいない完璧な世界にまた一人、6歳の少女イリスがやってきた…。
彼女たちは卒業まで外と接することなく、7年間学校の中で過ごす。
卒業のとき、彼女たちの胸に去来するのは、開放の喜びなのか、新しい世界への恐怖なのか?少女たちは一体どこへ行くのだろうか…。

2004年 ベルギー/フランス/イギリス合作










この映画はずっと前から気になってたのですがようやく観れました。
わたしは一応女なのですがここ何年か前からどうもロリコンの気(け)が出てきてしまったみたいでここ最近特に少年よりも少女が可愛く想えて仕方ないのでこの映画は幻想的な映画というのもあって期待して観ました。

非常に謎深い映画なのですがわたしはこの映画の謎を多分解いてしまいました。

なぜ、なにゆえに少女たちは7年間もの期間を塀で囲まれた森の奥地の学校に軟禁されているのか?
しかもなにゆえに学校には異性という男の存在が誰一人とていないのか。
解きました。その秘密を。
それはこの少女たちをここに連れてきてここで教育させている人物が、この少女たちを引き取る存在たちだからです。
その人物たちはどうしても自分の連れてきた少女に13歳(初潮を迎えるくらいの時期)までの7年もの期間絶対に、異性と会わせたくないという明確なる願望のある人物であるはずです。
だからこの外界から離された森の奥にある寄宿舎では召使や教師そのすべてを女性に任せているのです。
では少女たちを連れてこさせる人物はなぜ、あえて自分で軟禁はせずにこの学校へ連れてくるのか。
それは、自分と少女は7年もの間離れる必要のある人間だということです。

何故、離れる必要があるのか?
それは、最低7年間ほどは離れないと少女とは一緒になれない人間だからではないだろうか?
”一緒になる”とはつまり、男と女として一緒になるということ、夫婦的な関係になるということで、少女に自分の子どもを産ませる必要がある人間ではないでしょうか。
最低7年間は離れないと少女とは一緒になれない関係にある人間とは、すなわち禁じられた関係にある人間ではないか?
7年間も離れていたらば少女は自分のことをもうほとんど忘れてしまってるかもしれない。
否、憶えていたとしても7年間離れていたなら、自分を夫として観てくれるかもしれないと期待する男、それはいったい誰かと言うと。
それってもしかして、少女の父親ではないのでしょうか?
我が娘を自分だけのものにしておきたいという偏愛の著しい父親たちが自分の娘を将来の妻として迎え、自分の子どもを産ませようと企んでいるため、娘を外界から離してさらに異性と離すことで異性への幻想を最大に膨らませ、踊りを観客に観せることで自分を迎え入れる男性への夢を抱かせつづけるために、大事な大事な娘を森の奥の寄宿舎へ預けるわけです。

勿論、父親は自分の娘の踊りをいつも楽しみに観に来てることでしょう。
娘を預ける父親はみな妻のいない父親のはずです。
そして一人娘以外には自分の子どもがおらず、自分の身内もいないような孤独な人間であるのかもしれません。
だから父親は娘が成長して自分のもとから巣立っていけばひとりぽっちになることを恐れたために娘を預けて我が将来の妻として迎え入れようと想ったのでしょう。
そうでなかったのなら、もしパトロンの将来の性奴隷(少女性愛者のための娼婦)のための養育とでもいうのなら、なんのために6歳から13歳というロリコン好きの人間からしたら一番可愛らしくて美しい良い時期を寄宿舎へ預けてしまうかが解りません。
ただの成長した性奴隷を育成するため、またはただの変わった孤児院であったというのではあんまり面白くないではありませんか。
この映画で蝶と少女をかけているというのは解りますが、美しく羽化した蝶は果たしてまったく他人であるパトロンをそこまで愛するでしょうか。
女教師が捕らえた蝶を注意深くその羽を広げて針に刺して額に収めようとしているシーンは確かにパトロン的な存在を暗に示しているように観えますが、この映画を最も狂気の潜む美しい映画として成り立たせるにはただのパトロンでは役不足です。
やはり、ここは”近親禁忌劇”という人類の永遠のタブーを入れなくては幻想的耽美映画としては物足りなさが出てきてしまうのではなかろうか~。

だからこそ塀の外へ出れば罰を与えられると脅されていたのです。
大事な娘が逃げてしまっては大変だからです。
6歳から預けるというのも父親がぎりぎりまで愛娘と一緒におりたいという願いが見えてくるようです。
いやぁ、そう想えば想うほど悲しくも美しく儚いダークな世界を切り取った映画であります。
みずうみの底みたいにダークで、ディープな映画です。
ラスト、ごぼごぼごぼごぼっつって溺れるような音と共に水の底にいって終わりますでしょ。
あれは少女たちがこれから本当の闇に向き合う、つまり自分の父親との闇なる再会劇が待ち構えているということの示唆でありましょうな。
また天界から地上界への堕落という暗示も見えました。

という、以上、自分の願望による偏った考察&解読でした。







汝の首が観る木漏れ日

2017-02-25 16:00:43 | 随筆(小説)
わたしは今日初めて斬首刑に合う夢を見た。
今までも何度と見てきたのかはわからぬが覚えているのは初めてであった気がする。
大して覚えてはおらぬのだがわたしは実際斬首刑に合ったあとに魂で逃げ出したのか
それとも斬首刑に合う寸前で逃げ出せたのかを覚えちゃおらないのだから気楽なものだよな。

あの恐怖といったら本当に、とんでもなかったよ。
それだのに起きたらコーヒーなんて飲んでるのだからね。
忘れた記憶を掘り起こすのが人間の役目じゃないのかい?
物書きとも在ろう者がさ・・・コーヒー飲んでる場合じゃないやんけ。

俺は必死に、ひつしに、想いだそうとするのだが全然駄目だな。
ただひとつ想いだせる。
俺を斬首したか斬首しようとした存在は、どこか気持ちの悪い白痴みたいな存在だった。
そいつは変なでっかい兜を被っていたんだ。
サイレントヒルにはまりすぎだって?
確かにそうかもしれない。あいつは処刑人だったのさ。

時代と場所は、紀元前1千年頃の古代エジプトかという感じだった。
俺は何をやったのか覚えておらんのだが捕らえられたんだ。
俺はそしてちょっとの間ほったらかされていた。
すると奇妙な存在が俺に近づいてきたんだ。
そいつは、妙に高くか細い声で俺に向かってこう呼んでいた。
「アミ・・・アミ・・・アミ・・・」
とても気色の悪い声で異常者のような言い方だった。
そう言いながらそいつは俺にふらふらとした足取りで近づいてきた。
体格はごっつかった。
そいつはとても大きな兜を被っていたのだが、その形が菱形(ひしがた)っぽいのを横にして菱形寄りの六角形みたいな形だった。
顔はまったく見えない。
そいつが俺を捕まえて連れてゆき、斬首刑の処刑台に俺の首を載せ、今にも切断せしめようとしていた。
あの恐怖と絶望感、俺はせめて夢の中だけでも全員経験するべきものだと思った。
俺は思うんだ。首をああやって瞬間的に切断しても、人ってすぐには死ねないでしょう。
目の前は瞬間的に真っ暗になるかも知れんが「嗚呼切られてしまったな」という感覚で死んでいくのかもしれない。
それとも世界は鮮明に見えていて発狂しそうな激痛のなか転がった頭で青い空を見上げて死んでいくのだろうか。
それとも知らん人間たちが自分のことを観て慄いているか、または歓喜を挙げている姿を見ながら気が遠くなっていくのか。
俺はとにかく必死に逃げた。
俺はやっぱり殺されるのは厭やった。
痛いのも苦しいのも嫌だし殺されるのなんてもってのほかだ。
そうだろう?大抵の生物はきっとそうだろう。
前世で何回処刑されたと思ってる?
生まれ変わったって、過去の罪は消えないさ。
罪人は罪人を裁くべきではない。
俺は断固として、死刑反対だ。
俺を処刑するな、ど阿呆。
俺を斬首刑に処するな、罪人どもめがっ。
俺はもっと、もっと、もっと、美しく清らかな聖者に殺されたいんだよ。
豚みたいな存在に。
牛みたいな存在に。
鶏みたいな存在に。
そんな美しい存在たちに俺は殺されたいんだよ。
あいつらは人間じゃぁない。
だから美しい。美しいさ。人間なんかよりずっと。そうだろう?
俺はだいぶと殺してきたなぁ。
なんで処刑人は兜被ってるん?
それはその姿を見せられないからじゃないのか。
それはその姿が、人間の姿ではないからではないのか。
俺を処刑しようとしたのは、俺を処刑したのはどんな存在なんだ。
俺は悲しいよ。なぜ彼らを平気で殺してきたんだろうね。
なぜ食べ物としてしか見てやれなかったんだろう。
俺が斬首刑に処されるのは当然だ。
いったい何頭何匹何羽に拷問のような苦しみを俺が与えてきたんだ。
俺はたぶん、この先数えきれないほどの斬首刑に合うだろう。
逃げてコーヒー飲んでても、眠ればあいつが俺を待ち伏せている。
菱形頭、そう今日から俺はあいつのことを呼ぼう。
俺を何度と処刑してくれる聖者、救世主だよありがとう。
やったことの落し前はワレでつけるんが、男の中の男。
逃げるなんて卑怯のうえの笑止千万。
しかし俺は断じて、死刑には反対だ。
裁くのは人間じゃぁない。
処刑人はいつでも夢のなかでおまえを待ち構えている。
神々しい刃物を、右手に持って。