『雄日芝 風ささやく島で』 単行本(ソフトカバー) – 2014/3/1
後悔 渉 (著)
ざっと読むつもりで借りて返却期日間際に読み始めた。図書館郷土コーナー。
思わぬ巧みな風景心理描写、詩的な表現などに出くわし、期限延長して読んだ。
物語は、沖永良部島育ちの『僕』が小学4年に進級の際、本土へ転校すべく艀で船に乗り込む場面から始まる。それから数十年、島との関わりの中で『僕」のわだかまりは、どのような展開をみせるのか。
教職の父との長いながい「暗闘」の僕の人生。暗闘は父とだけではない。
「世間知らずの名人」が語る僕のつらく苦しい人生は、しかし、真っ暗というわけではない。
「逃亡者の雑学」は、どこかユーモアさえかもし出し、広く深い。
どかかに南の島の海の明るさに通じる何か。それはどこから出てくるのだろうか。
タイトル「雄日芝」は「オヒシバ」と読み、どうやら草の名前らしいということは、読了後、さっきネットで調べてわかった。イネ科オヒシバ属 雑草。
さっきamazonのレビューを読み、著者の「後悔渉」は映画の「十戒」で、ユダヤ人が400年後に、奴隷の家エジプトから抜け出す際、海が割れて導いたシーンから「紅海渡」を連想させるという指摘にも驚かされた。(薩摩の奄美琉球侵攻はやく400年前)
そういえば、私の思いつきだが、『僕』の名は「与賦」=よぶ、僕の娘の名は瑠津恵、「真理恵」。
旧約聖書のヨブ記? ルツ記?・・・いずれも想像。ほかにもあったかもしれない。著者のプロフィール
まあ、言われなければまったく気付かないのですが、
私のうがちすぎか、牽強付会がすぎるのか、もう一度読み返してみるか。
amazon 説明: 教職についている父を持つ「僕」は、幼い時から家と学校の区別のない世界で生き、プライバシーに縁のない暮らしをしてきた。勉学のためさまざまな制限をする父と、娘を相次いで亡くした経験から、家族が家にいないと落ち着かない母。生まれ育った島と本土を行き来する生活の中で、「僕」は自分の居場所を探し続ける。やがて自分が父になり長年のわだかまりが解け、前を向くまでの物語。
amazon 登録情報
単行本(ソフトカバー): 316ページ
出版社: 文芸社 (2014/3/1)
発売日: 2014/3/1