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『大相撲 名伯楽の極意』 (九代 伊勢ヶ濱正也) (文春新書 ) – 2025/5/16

2025年06月09日 | 本と雑誌

名瀬の書店で先週見つけた。

元横綱白鵬の宮城野親方が師匠を務めていた宮城野部屋が(当面)閉鎖となり伊勢ヶ濱部屋に転籍、部屋の再興のメドが立たないことなどから退職の意思を固め、父ムンフバトさん(故人)の顕彰式典に参加するため、モンゴルに帰郷していた頃だ。

宮城野親方は今日付けの6月9日付の退職届を提出して、記者会見が予定されている。

横綱の大学卒・中退者には「輪島(日本大学卒)」と「旭富士(大学中退)現・伊勢ヶ濱」がいますが、

大の里は『大学卒業者からの横綱』として数えられる第2または第3の例として非常に注目されている。

大学相撲を経て入門する力士はは、平成以降、急速に増加し、今年の夏場所では、幕内力士42名中16人(約38%)を大学出身力士が占めている。この比率は、相撲界が「アスリートとしてだけでなく教育・人間力も重視する方向」に転換しつつあることの象徴とも言える。

報道によると、伊勢ヶ濱部屋は長年師匠を務めてきた元横綱・旭富士(本書の著者)が7月に日本相撲協会の定年を迎えることから、ことし1月に引退した元横綱・照ノ富士が年寄・伊勢ヶ濱を襲名して9日付けで部屋を継承することが決まっている。

そうした意味からも本書は、いいタイミングだが、大の里の、8年ぶりとなる日本出身の横綱誕生(大の里の師匠は稀勢の里(現二所ノ関親方)、もと大横綱白鵬の退職と、大相撲の歴史的展開についての本格的言及は、もちろんだがない。


さて、『大相撲 名伯楽の極意』は、元横綱旭富士で現在は伊勢ヶ濱部屋を率いる九代伊勢ヶ濱親方が、自らの相撲人生と師匠としての哲学を語った一冊。

関取を多数育て、横綱日馬富士(安馬)、同照ノ富士を輩出。また一時は再起不能とまで言われたケガをした照ノ富士の奇跡の復活を支えたことで「名伯楽」と称される伊勢ヶ濱親方が著者。

伊勢ケ浜部屋は力士数が最多の部屋です。最新の番付で37人の力士を抱え、幕内4人、十両3人、幕下7人、三段目6人、序二段14人、序ノ口3人

勝負の世界における人材育成、スカウト眼、部屋経営、弟子との信頼関係、さらには、「諦めない」をキーワードに、彼の人生観に至るまでを語っている。

青森やモンゴルをはじめ全国・海外から逸材を見出し、親方としていかに彼らの可能性を引き出したか、など身内の証言などを含めた構成になっている。

本書は、伊勢ヶ濱親方が組織的リーダーとして実践してきた部屋作りや人材育成を軸とし、「危機対応」や、段階的に目標を定め、それに挑戦してきた自身の経験をふまえた、数々のエピソードは幅広い読者の共感と学びを得ることだろう。言外ににじむ昭和の時代背景も、なつかしい。

出版直後から、重版がかかるなど反響も大きいという。

宮城野親方についても、すこし触れてはいるが、今日の会見(宮城野親方)を注目したい。

なお、公的記録によると、伊勢ヶ濱部屋(旧・安治川部屋)の出身力士名簿には、鹿児島出身の力士が少なくとも1名確認される。

絢ノ富士(あやのふじ):19歳、鹿児島県徳之島出身が現在三段目六十八枚目で伊勢ヶ濱部屋に所属している。


カラー版- 『西洋絵画のお約束』-謎を解く50のキーワード (中公新書 – 2024/10/8

2025年06月07日 | 本と雑誌

書店で写真入りの文庫本をみつけるとつい買ってしまう。

著者は、ベストセラー『怖い絵』シリーズで知られる美術文筆家。

絵に詳しくなくても読みやすく、知識ゼロからでも自然に興味を引き込まれる。

立ち止まって考えるための“視点”を与えてくれる本としても、本書は秀逸だ。

たとえば、なぜ聖母マリアはいつも青い服を着ているのか? なぜキューピッドが登場すると愛の暗示になるのか? ルネサンス、バロック、ロココ、写実主義といった様式の違いだけでなく、「光と影」「象徴」「構図」といった絵画を理解するキーワードが、豊富な図版とともに紹介される。

文庫なので写真が小さすぎるの、いたしかたない。


カラー新書 入門 日本美術史 (ちくま新書 ) – 2024/12/9 山本 陽子 (著)

2025年06月07日 | 本と雑誌

カラー新書 入門 日本美術史 (ちくま新書 1835) 新書 – 2024/12/9
山本 陽子 (著)

琳派の”流れ”に、田中一村について考える――

日本美術の流れをわかりやすく、大胆な視点、かつ下見やすい文体で、描き出す入門書。
オールカラー。通読すれば、「おもしろすぎる」日本の美術が単なる「鑑賞の対象」ではなく、社会の動きや人々の心性と密接に関わっていたことが実感できます。

仏教美術・宮廷文化・武家文化・町人文化といった切り口で整理してて、

特に惹かれたのは「狩野派」と「琳派」の項です。

前者は権力と密接に結びついた「官の画風」、後者は町人文化の粋が結実した「私の美学」とでも言えるだろうか。

この二つの対比は、日本美術の二つの大きな潮流を象徴しており、美術史を俯瞰する上でも極めて重要です。

狩野派は室町末から江戸期にかけて、幕府お抱えの絵師集団として画壇を独占し、伝統的な技法と厳格な構図美で「正統」の地位を確立。(狩野永徳の「洛中洛外図屏風」、狩野探幽の「両帝図屏風」、狩野山楽の「牡丹図」など)

対して琳派は、俵屋宗達(↑表紙の「風神雷神図屏風」)・尾形光琳・酒井抱一らが時代とともに独立した形で展開していく「再創造の美術」。師弟関係や世襲制ではなく、先人の作品を参考にしながら独自の表現を追求する)

さて、すこし強引だが、この琳派の流れを現代に引き寄せて考えたとき、ふと私の脳裏に浮かんだのが、奄美大島に移り住み、独自の南国画風を確立した”孤高の画家”―田中一村の存在。

もちろん、一村は琳派の系譜に名を連ねるわけではなく、むしろ伝統画壇から外れた存在ですが、琳派の装飾的構図と洗練された線の美をどこかに感じさせる、とどこかで聞いた気がする。(一村自身はたぶん、そういう見方や分類、解釈にはなっとくしないと思うが)一村の独自性に改めて気づかされと同時に、先達との間にも確かな美意識の連鎖がるのではないか、とも考えた。


『入門 日本美術史』は、ほかにも、それぞれ好きな画家の再発見につながる刺激があると思う。


日本美術の大きな流れを教えてくれるだけでなく、読者それぞれの「好きな画家」を再発見するきっかけを与えてくれる本です。教科書で見知ってきたあの絵もこの絵も歴史の大きな流れの中でとらえると、新鮮な輝きを増して見えてくる。


『ユダヤ人の歴史』-古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで (中公新書 2839) 鶴見 太郎 | 2025/1/22

2025年05月30日 | 本と雑誌

専門的ながらも読みやすい文体で、初めて学ぶ読者にも適していると好評。特に現代中東問題を理解する手がかりとして有用との声が多く、バランスの取れた視点も評価されている。

欧米文化の一部としてのユダヤ人、「自分たちも作り手だった」

ユダヤ人(特にアシュケナジム系=ヨーロッパ系ユダヤ人)は、ヨーロッパ文明の中で長く生活しており、欧米文化の中核的な担い手でもあります。哲学(スピノザ、ヴィトゲンシュタイン)、経済学(マルクス)、物理学(アインシュタイン)、文学(フランツ・カフカ)、精神分析(フロイト)など、ユダヤ系の知識人は欧米の知的文化を大きく形作ってきた、ということが改めて理解できた。

読書後、TV番組で「日ユ同祖論」が取り上げられていた。

こういうユダヤ人の自負を考えると「日ユ同祖論」は、日本人の側の「ユダヤ人への親近感」も感じられるものの、欧米文化に先立つユダヤに対するあこがれ、ないし「文明的コンプレックスの裏返し」として位置づけるのが妥当かと。読んで おもった。


『イスラム移民』 (扶桑社新書) 新書 – 2024/11/1 飯山 陽 (著)

2025年05月23日 | 本と雑誌

飯山陽(著)『イスラム移民』(扶桑社新書)

日本におけるイスラム教徒の受け入れと共生について、現実的かつ具体的に論じた一冊。だいぶ前書店で発見。

例えば、土葬墓地や教育現場でのハラール対応など、表面化しつつある課題を挙げ、日本人の「無意識の寛容」がどこまで通用するのかを問いかけてくる。 

読後、「多文化共生」は理想論だけでは成り立たないという現実を突きつけられた思いがした。

他のアジア諸国が移民受け入れに積極的に舵を切る中、日本は制度整備や国民の意識改革がまだまだ追いついていない、ということだろうか。(現場の声、政策とのズレ)
今後も日本社会の在り方を考える上で、このテーマは避けて通れないと思う。


『現代写真とは何だろう』  ちくま新書 – 2024/8/8

2025年03月12日 | 本と雑誌

現代写真とは何だろう  ちくま新書 – 2024/8/8
後藤 繁雄 (著)
2.4 5つ星のうち2.4    4個の評価 amazon

書かれている事柄の性質上しかたないのかも知れないが、外国人の人名を含めカタカナ表記が多く、置いてかれ感は終始消えなかった、にもかかわらず最後まで読んでしまった。re-thinkは再考で、
modern photography コンテンポラリーアート(contemporary art)は現代美術。
modern photography(現代写真)は少し収まりが悪い気がした。タイトル”現代写真とは何だろう”のとおり体系的な結論めいた論には出会えなかった。これは、AIの普及でますます流動化する「写真」のイメージをコトバでとらえようする、ある意味無謀て困難な、しかしそれゆえに楽しくもあるコトバ探しの旅なのだ、ろう。

名瀬の書店で見つけました。


『一冊でまるごとわかるギリシア神話 (だいわ文庫) 』2013年

2025年03月11日 | 本と雑誌

『一冊でまるごとわかるギリシア神話』 (だいわ文庫) | 吉田 敦彦 |本

”一冊で、しかも丸ごとわかる”とは思えないが、初心者にも、復習の意味でも分かりやすいと好評のようだ。(はげしい否定的なレビューもあり)

多神教なのに(新約)聖書にも通じるなにかがあり、日本神話とも似ている(世界の七不思議という研究者もある)

また、時代が違うのに、源氏物語と類似点もある、ということは感じることができた。
リアルな彫刻や絵画の白黒写真とは対照的な絵本のような挿絵がわかりやすさを刺激したのかも。荒唐無稽感のあるイラストもあるが、それが知識の整理、理解にもなることがあるのだ。


復刻版『わが語録 真実を求めて ―生か死か』 単行本(ソフトカバー) – 2024/10/24 徳田 虎雄 (著)

2025年03月08日 | 本と雑誌

復刻版『わが語録 真実を求めて ―生か死か』 単行本(ソフトカバー) – 2024/10/24
徳田 虎雄 (著)

先週名瀬の書店でみつけた。
いつもとは違うコーナーだった。(郷土出身作家のコーナーだったかな)
本書原本はむかし読んはずだったのだが。新たに買った。
大量の白黒のスナップ写真と短文の徳田氏の語録で綴る構成は、むしろ今風で新鮮、内容の訴求力も抜群。

NHKのニュース
2024/07/11 徳田虎雄元衆議院議員 死去 86歳「徳洲会」グループ創設者

本書の若い(子供時代もある)徳田氏の姿は、闘病中の表情とは対照的にエネルギッシュだ。表情が心を打つ。時代も見える。

今日(2025年3月08)時点では、Amazonや楽天ブックスなどの主要なオンライン書店でのレビューや評価は見当たらない。(読書メーターに一件)

以下の本のレビューを読むと徳田虎雄のさらなる再評価は確実と思われる。

読んだ記憶のある虎雄本

山岡淳一郎氏の著書2017/11/25『神になりたかった男 徳田虎雄:医療革命の軌跡を追う』では、徳田氏の医療への情熱や組織運営の複雑さ。読者から「読み応えのある人物伝。良い面も悪い面も客観的に描かれつつも、読み物として面白い」との評価

ゴッドドクター 徳田虎雄 (小学館文庫 ) 文庫– 2020/1/7
山岡 淳一郎 (著) このブログの記事

徳田 虎雄の関連本
生命だけは平等だ。

頭の悪い奴が成功する―奇跡を生みだす行動の哲学 (ノン・ブック 198)

生きる力

ゼロからの出発―実現できない夢はない

母の力

大医は国を癒す―徳田虎雄の直言

など。


『ホモ・デウス』下巻 ユヴァル・ノア・ハラリ著

2025年02月07日 | 本と雑誌

下巻では、人類が今後どのような未来を迎えるのかについて論じられる。

「飢餓・疫病・戦争」という課題が克服されつつある一方で、新たな時代の核心的なテーマが「不死・幸福・神性(デウス)」へと移行している、と。

特に、AIやバイオテクノロジーが人類の進化に与える影響を掘り下げ、今後は「データ至上主義(データイズム)」が人間の意思決定や価値観を支配する可能性を指摘される。

それが、人類が「ホモ・サピエンス」から「ホモ・デウス」へと変貌する未来。タイトルの意味。

未来予測の多くは推測に基き、やや抽象的な点は賛否が分かれるとろだが、現代社会の変化を洞察し、未来を考える上で興味はつきない。それが、かならずしも悲観一色ではないことも強調している。



関連記事このブログ『ホモ・デウス』上巻(文庫版下)
2025年02月03日 | 本と雑誌


『ホモ・デウス』上巻(文庫版下)

2025年02月03日 | 本と雑誌

『サピエンス全史』(文庫版上下)は、人類の歴史を「認知革命」「農業革命」「科学革命」の3つの大きな変革で紐解きます。

続編『ホモ・デウス』も、人類史を小説で読むような無類のおもしろさ。飢餓や戦争、病気の問題が克服されつつある一方、新たな課題として不死や幸福、神のような能力の追求が浮上すると論じ、特にAIや生物工学の発展が「ホモ・デウス(神のような人間)」を生み出す可能性が論じられ、人間性や自由意志の意味が問い直される時代が訪れると警告する。

 

『ホモ・デウス』上巻では、人類が自然や他生物を支配する過程や、宗教や思想がその発展を支えた歴史が詳述される。また、データやアルゴリズム(問題を解決したり、目標を達成したりするための手順や計算方法)が力を持つ「データ教」の台頭が、人類の価値観や意思決定に大きな影響を与える可能性が示唆されます。

面白さは小説よりてんこ盛りで要約も容易ではない。しかし『サピエンス全史』主張は首尾一貫している。

下巻(読了)につづく

関連記事このブログ 
『ホモ・デウス』下巻 ユヴァル・ノア・ハラリ著
2025年02月07日 | 本と雑誌

 


『サピエンス全史』(下) 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫) – 2023/11/3

2025年01月02日 | 本と雑誌

年末に読みました。退屈なページはほとんどない。なぜ今まで読まなかったのか。

上巻は主に約7万年前の「認知革命」から1万年前の「農業革命」までの進化の過程が描かれ、人類がどのようにして地球上の支配者となったかを探る。
この過程では、言語の発達やフィクション(宗教 貨幣 法律と国家などの抽象的な概念や物語)の共有による社会的効力の拡大が中心テーマ。


それでも後半には、下巻の農業革命以降、帝国や宗教の成立、科学革命、産業革命、そして現代に至るまでの人類の変化などに向かう視点もあって読書意欲を書きたてる展開だった。

下巻でもその展開も急速になる印象。
下巻では特に、科学と資本主義がどのように結びつき、現代社会の基盤を形成してきたか、さらには技術革新がもたらす未来像(AIやバイオテクノロジーの予測を超えそうな影響)について詳述。

人類が自然や他の生命体を支配する過程を描くと同時に、その代償としての環境破壊や社会的不平等にも警鐘を鳴らす。(悲観一色ではない)

下巻に対しても、壮大なスケールで歴史を語る一方で、具体的な事例や多様な文化に対する配慮がやや欠けているとの批判がある。

 

関連記事 このぶろぐ『サピエンス全史 』上: 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫) 文庫 – 2023/11/3
2024年12月26日 | 本と雑誌


Wikipedia『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(サピエンスぜんし ぶんめいのこうぞうとじんるいのこうふく、ヘブライ語: קיצור תולדות האנושות‎、英: Sapiens: A Brief History of Humankind)は、ヘブライ大学の歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリによる書籍。2011年にヘブライ語版がイスラエルで最初に出版され[1]、2014年に英語版、2016年に日本語版が発売された。あわせて50か国以上で出版されベストセラーになっている

 


『サピエンス全史 』上: 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫) 文庫 – 2023/11/3

2024年12月26日 | 本と雑誌

↑ サピエンス上下巻 ホモ・デウス 上下巻

今更ですが、書店で文庫本を見つけた。

訳は、超訳でしょうか、分かりやすくていい。昔ながらの堅苦しい訳では多分途中で脱落しそうなテーマですが、
本書の「歴史」を超えたスコープにふさわしい。

 

批判的観点として、ハラリの論は挑発的で独創的、そしてしばしば簡略化や過剰な一般化が指摘される。


たとえば、農業革命を「詐欺」と評する見解や「フィクションが人類を支配する」はインパクトがある一方で、その評価は時代や地域性、宗教の多様性を十分に掘り下げていない、などの異見がある。

読後の楽しみはブックレビューもいいけど、ChatGPTとの対話に移りそうだ。本書は訊き所も満載だ。

では、農業以外の選択の可能性についてのハラリの指摘はありますか?と訊いてみた。

ChatGPT
ハラリは『サピエンス全史』において、農業革命が人類の進化における重要なターニングポイントだったとしつつも、農業以外の選択肢についても一定の示唆をしています。具体的には・・・。

中略

著者ハラリは、農業以外の選択肢については深く掘り下げることはしていないのだが、

GPTは結論で、”この選択を再考することで、現代における持続可能な社会のあり方についてのヒントを得ることができるでしょう”と結ぶ。


『生成AIで世界はこう変わる』 (SB新書 642) 新書 – 2024/1/7

2024年11月24日 | 本と雑誌

生成AIで世界はこう変わる (SB新書 642) 新書 – 2024/1/7
今井翔太 (著)
4.1 5つ星のうち4.1    518個の評価

名瀬の書店で見つけました。
いまアマゾンでも人気だそうだ。

アマプラで今「2001年宇宙の旅」を見ているのは偶然だ。

本書では「穴埋め問題」をひたすらAIに解かせることから始まるとして
簡単な問題から複雑な問題へいたる例文で紹介しているところが一番印象的だった。

AIは人間の直感みたいなものも理解する力があるのではないか、、、みたいな。

「2001年宇宙の旅」では猿がモノリス(monolith)を恐る恐る触るシーンが印象的だ。

AI による概要

モノリス(monolith)には、次のような意味があります。
一枚岩、石柱、記念碑などを指す言葉
ソフトウェア開発におけるシステムアーキテクチャの形態
マイクロメートルオーダーの網目状の骨格が繋がった一体型の多孔質体
地球外知的生命の道具である「魁種族」の道具
モノリスの語源は、ギリシャ語の「mono(単一の、一の)」と「lithos(石)」です。

あのモノリスを創った知性体は神だったのかAIだったのか。それとも悪魔だったのか。


「田中一村 かそけき光の彼方』 荒井 曜 : 単行本

2024年11月01日 | 本と雑誌

遅読のわたしだがはやくも三回目読了。

昭和33(1958)年12月12日午後一時過ぎ、著者は一村と同じ時刻ごろ鹿児島港から奄美大島名瀬港に向かった。

物語りでは、それからずっと著者は一村と共にいる。

乗り移ったのは、一村なのかそれとも著者なのか。綿密な取材と地元の人々の惜しみない協力がうかがえる。

島の人々の方言がじつにリアル。一村は相手に対し、様をつけ丁寧な敬語で話すその姿勢はついに変わらない。
時には(一度だけだったと思う)激しい気性を示すこともあるが。しかし著者は冷静に一村を捉え続ける。

難解な方言は、一村がそうであったように、読者にも次第に意味が分かるよう配慮されている。
実に巧みだ。そうして会話の中で奄美の歴史をも学べるのだった。

常人には理解しがたい一村の芸術にたいする信念も生真面目な生活習慣も次第に地元の人々を折り合いをつけていく。

圧巻は、「海辺のアダン」の本画に取り組む一村の姿。
一村の筆先に美大出の著者が乗り移ったのか、それともキーボードに一村が乗り移ったのか。
紡ぎ工場で働いたお金を貯め、南の島で何者の掣肘も受けない理想の環境を得た一村

P228一村は全精力を遣い果たし、筆を置き、二尺五寸巾絹丈五尺一寸の画面をぐるりと見回した。
絹本著色による本画は、この惑星の軌跡ともいいうる奄美の自然を凍りつかせたように完成していた。P228
この絵にはアダンと海辺だけが描かれているのではない。
鹿児島からの船で隣り合わせた老漁師からその後に聞いた、この浜に降りてくる島んちゅの霊魂(まぶり)

P226この絵の一つの主役は、アダンが嵐に負けないよう逞しく根塊をはる土坡でありP226
絹本の縁まで敷き詰められる砂礫の一粒一粒に命を吹き込むのだ。

己の余命、残りの貯金残高、画材調達の費用。制作に没入する前の現実的な算段にまで著者の筆はおよぶ。


大島紬にもいえる光をころして活かす。これまでの、一村の人生に対するイメージも、絵の見方も大きく更新された一冊。

亜熱帯の植物群に魅せられ紆余曲折のあと紬工場の染色工としての職を得た一村。
奄美との出会いは奇跡的だったのだ、と思える。

 


田中一村 かそけき光の彼方 単行本(ソフトカバー) – 2024/8/5 荒井 曜 (著)

2024年09月04日 | 本と雑誌

田中一村 かそけき光の彼方 単行本(ソフトカバー) – 2024/8/5
荒井 曜 (著)

 


幽けき
読み方:かそけき
別表記:幽き

今にも消えてしまいそうなほど、薄い、淡い、あるいは仄かな様子を表す語。古語「幽けし」の連体形であり、現代でも雅な表現として用いられることがある。


幽(読み)ユウ
デジタル大辞泉 「幽」の意味・読み・例文・類語
ゆう【幽】[漢字項目]

[常用漢字] [音]ユウ(イウ)(漢) [訓]かすか
1 暗くて見えない。かすか。「幽暗・幽明」
2 奥深い。「幽遠・幽艶ゆうえん・幽玄・幽邃ゆうすい」
3 世間から離れてひっそりしている。「幽居・幽境・幽棲ゆうせい/清幽」
4 人を閉じ込める。「幽囚・幽閉」
5 死者の世界。「幽界・幽霊」