奄美 海風blog

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『森の芽ばえの生態学』 [単行本]

2011年04月30日 | 本と雑誌

110430_book_forest 森の芽ばえの生態学 [単行本]
正木 隆 (編集)

日本の国土の3分2が森林でおおわれ、その4割が、おもに植林によってつくられた人工林だという。

難しいところはかなり飛ばし読み。写真を見ながら、研究の大変さを知る。と同時に自然の奥深さも垣間見たか。

amazon 内容(「BOOK」データベースより)

こぼれた種子が発芽して新たな植物が芽生える。その小さな小さな芽生えは、森の成り立ちを理解する鍵を握る。森の中で樹木がその場を得、成長を続けられるかどうかは、ほとんど芽生えの時期に決まるからだ。森林の動態を考えるうえで欠くことのできない実生の生態とその研究法を紹介する。

登録情報
単行本: 258ページ
出版社: 文一総合出版 (2008/03)

発売日: 2008/03
商品の寸法: 21 x 15 x 2 cm

森の芽ばえの生態学 森の芽ばえの生態学
価格:¥ 3,360(税込)
発売日:2008-03


『風をつかまえた少年』 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった 文藝春秋

2011年04月29日 | 本と雑誌

110429_book_wind_boy_2 風をつかまえた少年 The Boy Who Harnessed the Wind

14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった

ウィリアム・カムクワンバ (著), ブライアン・ミーラー (著),
池上 彰(解説) (その他), 田口 俊樹 (翻訳)

TVでも紹介され話題になった本と聞いただけで、マユツバで読む習性もどうかと思うのだが、図書館で借りるときはそのことは知らなかった。ふだんあまり読まない本を読もうと思って探した本だった。

「書店に行くのは、ある種の冒険である」とか「週一回書店に行く人は何かができる人だ」とかいうキャッチコピーを書店で見た記憶がある。

では図書館はどうだろうか。

この本はアフリカの最貧国の少年がNPOがつくった小さな図書室で出会ってその後の運命を決めることになったた一冊の本から生まれた本である。

魔術の支配する貧しい村の、学校にも通えなかった少年がたった一人で村人の白眼視に耐え、『風力発電』に成功する。

風力発電の話が本書の後半で出てくるまでは、主に村の貧しさの様子が語られる。

風車の話よりも、少年の(現在は23歳?)文才の方に驚いたが、やはりアメリカのジャーナリストとの共同執筆ということで納得。

考えてみると、このような少年は、つい最近まで日本にもいたのではないだろうか。(というか形を変え現在でも)

これだけ話題になると、それに付随したお金儲けをたくらむ大人が・・・。

ネットでよんだ書評はほとんどが好評だった。

↑ 著者ウィリアム・カムクワンバ 君の講演

amazon 内容紹介
学ぶことの本当の意味を教える感動の実話!

内容(「BOOK」データベースより)
アフリカの最貧国、マラウイを襲った食糧危機。食べていくために、学費が払えず、著者は中学校に行けなくなった。勉強をしたい。本が読みたい。NPOがつくった図書室に通うぼくが出会った一冊の本。『風力発電』。風車があれば、電気をつくれる。暗闇と空腹から解放される。―そしてマラウイでは、風は神様が与えてくれる数少ないもののひとつだ。

登録情報

380ページ
出版社: 文藝春秋 (2010/11/19)
言語 日本語, 日本語, 日本語

発売日: 2010/11/19
商品の寸法: 19 x 13.4 x 2.8 cm

amazon で見る ↓

風をつかまえた少年 風をつかまえた少年
価格:¥ 1,750(税込)
発売日:2010-11-19
The Boy Who Harnessed the Wind: Creating Currents of Electricity and Hope The Boy Who Harnessed the Wind: Creating Currents of Electricity and Hope
価格:¥ 2,269(税込)
発売日:2009-09-29


気になる木 ガジュマル 見たこともない花は、木に生る実の中に咲く

2011年04月27日 | 植物

ここは、名瀬港から車で10分。奄美市民の自慢の大浜海浜公園 海水浴場

野鳥のさえずりや波の音を聞きながら、亜熱帯の植物などがゆっくり観察でき広場や、海洋展示館やタラソテラピー(海洋療法)のリラクゼーション施設などもあって、動きまわる観光に疲れたあと、のんびりすごしたいというリピターの獲得にも一役買っている。

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この木なんの木 ガジュマル

屋外ステージ前の広場ですから、♪ みんなが集まる木になるでしょう。

名前を知っていても、この木の花は、見たこともないという人は、かなりの奄美通の中にも多いはず。

それはナゼか?

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↑ これは奄美市名瀬赤崎公園のガジュマルの実(花) 今日撮影

観葉植物としても人気の高い

ガジュマル(学名:Ficus microcarpa、漢名:細葉榕)は熱帯地方に分布するクワ科の常緑高木。

イチジク属であることに注目

イチジクは漢字で無花果。花を咲かせずに実が生る? そんなわけはありません。

実際には果実に見えるものが花序なのである。wiki

果実の中にある花序を隠頭花序、あるいはイチジク型花序という。

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↑ これは奄美市名瀬赤崎公園のガジュマルの実 今日撮影

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↑ 同じイチジク属のアコウの隠頭花序、あるいはイチジク型花序。

詳しくは

このブログ 2008年8月27日 (水曜日)
アコウ イチジク(無花果)属 実の観察

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ちなみに、
wikiモンキーポッド(学名:Albizia saman、シノニムSamanea saman 熱帯アメリカ原産のネムノキ科ネムノキ属の常緑高木)は、日本国内では、ハワイ・オアフ島のモアナルア・ガーデンにある大樹が日立グループのTVCMの題材に永く取り上げられており、別名『日立の樹』『この木なんの木』として知られる。

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ちなみに、

日本一のガジュマル(鹿児島県のHP

沖永良部島の和泊町国頭(くにがみ)小学校の校庭


『沖縄「戦後」ゼロ年 』(生活人新書) 目取真 俊 (著)

2011年04月27日 | 本と雑誌

110427_book_okinawa 沖縄「戦後」ゼロ年 (生活人新書) [新書]
 
目取真 俊 (著)  めどるま・しゅん

この本は、2005年出版で、新着図書ではないが、図書館の郷土コーナーにあった。

新着図書コーナーには、沖縄戦関係の本がつぎつぎと並んでいく。沖縄戦関係だけで奄美関連本にひけをとらないのではないか、と思うほどだ。奄美と沖縄の現状と関心の違いを痛感する。

この本は寄贈である旨のシールが貼ってあった。

著者の主張が一気に読める。入門書としてもいいのでは。

第一部 沖縄戦と基地問題を考える。

第二部 <癒しの島>幻想とナショナリズム  戦争・占領・文化 

内容(「BOOK」データベースより)
沖縄戦から六十年。戦後日本の「平和」は、戦争では「本土」の「捨て石」に、その後は米軍基地の「要石」にされた沖縄の犠牲があってのもの。この沖縄差別の現実を変えない限り、沖縄の「戦後」は永遠に「ゼロ」のままだ。著者は、家族らの戦争体験をたどり、米軍による占領の歴史を見つめ直す。軍隊は住民を守らない。節目の六十年の日本人に、おびただしい犠牲者の血が証し立てた「真実」を突きつける。

登録情報
新書: 189ページ
出版社: 日本放送出版協会 (2005/07)

発売日: 2005/07
商品の寸法: 17 x 11 x 1 cm


ギーマ咲く and テッポウユリ

2011年04月26日 | 植物

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今季初見

和名 ギーマ  常緑低木
科名 ツツジ科
学名 Vaccinium wrightii A. Gray
自生 奄美諸島以南

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テッポウユリ 大浜海浜公園にて きのう。

「さまざまなこと思ひ出す桜かな」は芭蕉ですが、

いろいろなこと思ひ出す百合の香り、入学式が終わり家庭訪問の季節。初夏の香り。

リリーと言えば「寅さん」は正月映画としての公開が毎年の恒例だったことから、冬の季語にもなっているwiki(お盆の公開とあわせて年2回)

百合(ゆり)は夏の季語。

日本はヤマユリやテッポウユリなどの原産地として有名である。沖永良部の百合は歌にも歌われ古くから世界に知られている。

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上を向いて咲こう テッポウユリ

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『ミッドウェイ 』 [ハードカバー] 森村 誠一 (著)

2011年04月26日 | 本と雑誌

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ミッドウェイ [ハードカバー]
 
森村 誠一 (著)

内容(「BOOK」データベースより)
昭和初頭、太平洋に暗い戦雲迫る頃、日米二人の青年はそれぞれの蹉跌を経て、自らの国家の命運を担い空の戦士となる。二人の男には、ともに想い寄せる女神にも似た美しい乙女がいた。戦争を憎みつつ歴史の巨大な力に翻弄される非情の青春、引裂かれた愛。そして昭和17年、中部太平洋で空の覇権を賭した大海戦が開幕。これは、散華した若者たちにむける雄渾な鎮魂叙事詩である。

登録情報
ハードカバー: 441ページ
出版社: 文藝春秋 (1991/06)
言語 日本語

発売日: 1991/06

1991年 森村誠一 58歳の作品

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ミッドウェイ (角川文庫)

ミッドウェイ (角川文庫)
価格:¥ 630(税込)
発売日:2000-12

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ミッドウェイ 血と海の伝説 文藝春秋 のち文庫、
改題「血と海の伝説」ミッドウェイ ハルキ文庫

血と海の伝説―ミッドウェイ (ハルキ文庫) 血と海の伝説―ミッドウェイ (ハルキ文庫)
価格:¥ 780(税込)
発売日:1998-08

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ミッドウェー海戦

wiki ミッドウェー海戦は、第二次世界大戦中の昭和17年(1942年)6月5日から7日にかけてミッドウェー島をめぐって行われた海戦。
同島の攻略をめざす日本海軍をアメリカ海軍が迎え撃つ形で生起した。日本海軍はこの海戦で機動部隊の中核をなしていた主力空母4隻とその艦載機を一挙に喪失する損害を被り、これ以降戦争における主導権を失った。

1941年日本時間12月8日未明ハワイ真珠湾攻撃、マレー半島への奇襲上陸からつづいた日本軍の太平洋戦争緒戦の優勢が一転し、日本劣勢へと転じる歴史的な海戦であった。

真珠湾の報復として1942年4月18日,航空母艦に搭載したアメリカ陸軍の爆撃機米機16機が東京,名古屋,大阪神戸など日本本土を初空襲(ドーリットル空襲)するという当時の常識では考えられない作戦に連合艦隊司令長官山本 五十六(1884年-1943年4月18日新潟県出身)は、かねてからいだいていた独自の構想である積極的な対米攻勢作戦としてミッドウェー作戦を実行に移した。

本書は、日米両方の膨大な資料を読み解きながら歴史事実を、架空の登場人物をからめながら丹念にわかりやすく書き上げている。
絶対優勢と見られていた日本海軍の戦力でなぜこの重要な海鮮で敗れたのか。
。それを考える手がかり、以上のものを得ることができる。


クワズイモと 野生 インパチェンス 他

2011年04月24日 | クワズイモ

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↑↓ 黒々とした濃緑のクワズイモの葉に浮き出る葉脈がワイルド。それとオニタビラコの小さな黄色い花や綿毛とのコントラストが印象的です。クワズイモの葉にはカタツムリが歩いた跡が光って白い筋となって残っています(上左の葉)

画面左上からつづく、カラフルなS字形の線型の最後をムラサキカタバミの可憐な花の集まりが締めくくります。

インパチェンス (ツリフネソウ科 別名、アフリカホウセンカ)

他にムラキカタバミ オニタビラコ カラムシ など http://twitpic.com/4otq49 5 hours ago ?

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↑ オニタビラコの小さな黄色い花と綿毛が印象的です。

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インパチェンス(学名:Impatiens walleriana)
ツリフネソウ科の植物。
別名、アフリカホウセンカ。インパチエンスとも。

名瀬の街は山に囲まれている。今その林道脇で目立つのは、インパチェンス。奄美の山には似つかわしくないようですが、ナゼかクワズイモのまわりによく咲いている。

園芸種が逸出して野生化したものと思われる。

帰化植物のwiki用語としては栽培植物が野生化したものに対しては逸出帰化植物(いつしゅつきかしょくぶつ)という言葉もあるが、栽培逸出(さいばいいっしゅつ)と称して帰化植物と見なさない場合もあり、その場合には、より狭義の使い方として帰化植物は意図せずに持ち込まれて野生化したものだけを指す。しかし、この両者は区別し難い場合もあり、たいていはまとめて扱われる。


ソテツ 雄花 雌花 クワズイモの観察。

2011年04月23日 | 植物

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奄美らしい植物として代表的なソテツの雄花(花粉錐とも)がそろそろ咲きます。

ソテツの雄花の時期は、梅雨の季節とほぼかさなりますが、場所や個体によってズレがあります。

各地域の梅雨入り・梅雨明けの平年値と
代表地点の期間平均降水量 ウィキペディア 梅雨 より

地域   梅雨入り 梅雨明け 期間 代表地点 期間降水量

沖縄地方 5月8日ごろ 6月23日ごろ 47日 那覇市 234.7 mm
奄美地方 5月10日ごろ 6月28日ごろ 50日 奄美市 511.3 mm
九州南部 5月29日ごろ 7月13日ごろ 46日 鹿児島市 540.4 mm
九州北部 6月5日ごろ 7月18日ごろ 44日 福岡市 338.8 mm
四国地方 6月4日ごろ 7月17日ごろ 44日 高松市 201.7 mm
中国地方 6月6日ごろ 7月20日ごろ 45日 広島市 327.9 mm
近畿地方 6月6日ごろ 7月19日ごろ 44日 大阪市 296.6 mm
東海地方 6月8日ごろ 7月20日ごろ 43日 名古屋市 312.7 mm
関東・甲信地方 6月8日ごろ 7月20日ごろ 43日 東京・千代田区 288.2 mm
北陸地方 6月10日ごろ 7月20日ごろ 43日 新潟市 276.4 mm
東北地方南部 6月10日ごろ 7月23日ごろ 44日 仙台市 243.8 mm
東北地方北部 6月12日ごろ 7月27日ごろ 46日 青森市 141.6 mm
北海道地方 - - - - -
小笠原諸島 - - - - -
山口県は九州北部に属する。 降水量は各代表地点における観測値。

去年の雄花は枯れて、ここ何年か台風が来ないので、こうして残っているのだろう。

花粉嚢(のう)のついた多数の鱗片状の小胞子葉の集まりが花粉錐(雄花)を形成する。通常5から60センチ。

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↑ 今年の新芽 成長してやがて先端に鋭いトゲをもったツヤのある緑色の羽状複葉を多数つける。 幹の頂上に杯状に輪生する葉の中央部にももなく雄花が形成されます。

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↑公園の手入れですくすく伸びたソテツ 雄株

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↑ ソテツは雌雄異株でこれは雌株

雌花(種子錐)は幹頭に多数の大胞子葉が集まって形成され、中に赤いソテツの実が熟れる。

ソテツの新芽や若葉を食草とする害虫、クロマダラソテツシジミの被害は去年と比べ少なめか。

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↑ この公園ではカラスなどが実(方言 ナリ)をつつく姿が時折見られる。

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クロマダラソテツシジミの被害を受けた新芽と ソテツの実(ナリ)

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↑ 奄美市が誇る広大な敷地の自然公園(赤崎公園)は、高台から海も見え、野鳥や奄美らしい植物、ソテツの観察にも最適な条件をそろえている。遊具を備え、家族づれの市民の憩いの場ともなっている。

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ソテツといえばクワズイモ 

田中一村の代表作のあのソテツとクワズイモの絵は、

本当に”ありえない”のか、時期的、場所的に

これから検証することする。(もちろんですが趣味の観察です)

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中にはすでに サトイモ科の特徴である、仏炎苞と肉穂花序が形成されつつある個体もある。赤い実が生るまで観察つづく。

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ギシギシ(羊蹄) タデ科

2011年04月22日 | 植物

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ギシギシ(羊蹄) タデ科 ギシギシ属 多年草 日本全国で見られる。

似たものに スイバ

勝ってに雑草パラダイスとよんでいる 略称 雑パラにて。

一度覚えたら忘れられない名前だが、どうして覚えたのかフシギ。

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きれいと思ったことはないが、穂状花序は色の変化がはげしい。

生命力はあるようで、まわりの背の低い草が、まるで薬品でもかかったように広範囲で一斉に枯れだしても枯れないでいる。

この一斉に枯れだす現象は林道脇の雑草にも見られる。(フシギ)

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たでくうむし【蓼喰ふ虫】 谷崎潤一郎の小説。昭和3~4年(1928~29)発表。

蓼(たで)食う虫も好き好き =タデの辛い葉を食う虫もあるように、人の好みはさまざまであるということ。


『密航・命がけの進学』―アメリカ軍政下の奄美から北緯30度の波涛を越えて [単行本]

2011年04月21日 | 本と雑誌

110421_book_mikkou 密航・命がけの進学―

アメリカ軍政下の奄美から北緯30度の波涛を越えて [単行本]

芝 慶輔 (編著)

←表紙写真は 昭和20年秋 空襲直後の名瀬の街 おがみ山から。

昭和28年 同じ角度からの見違えるように復興しつつある名瀬の写真も掲載されている。

密航という言葉から、

どんなことをイメージするでしょうか。

百科事典によると、

密航(みっこう)とは、正規の出入国手続きを取らずに他国に渡航をすること。すなわち、航空機や貨物船に紛れ込み、あるいは渡航先の上陸資格を持たない船に乗船して渡航することをいう。密航を行う者を密航者という ...

とあるが、この本は、戦争で突然分断された祖国本土へ進学のため、命がけで島を出て行った若者達の話である。

奄美群島が戦後8年間、日本本土から行政分離され沖縄とともに米軍政下に置かれていたということは、今では奄美においてさえ知らない若い人たちが増えつつある。

密航進学の悲惨な事実は今日まで正確には伝えられていないということに驚いた。

苦い砂糖の歴史的経験の故だろうか、戦前、本土の有名大学にも、この小さな島から驚くほど多くの学生たちが進学していた。

戦後、軍政下になり1950年から本土への留学制度も始ったが、人数が限られ、そのことが、島の若者たちの向学心を一層高める。
復帰直前の52年に留学制度の条件が緩和されるまで留学密航は盛んに行なわれた。

現在70代、80代の高齢になられた22名のかたたちが、その体験を後世に伝え残そうと記憶をたどり書きあげた手記。実際の過酷な体験談だけに迫力がある。

向学心に燃え、法を犯し、命の危険すら顧みず、監視の目をさけ、荒れの日の海へ。小さな漁船で、黒潮が逆巻く難所、七島灘(しちとうなだ)を越えねばならない。

荒くれ船長(中には親身になってくれる人もいたが)の罵声で、波に飲まれないため体を柱にしばりつけ、滝のように降り落ちる海水に耐える。全身ずぶぬれになりながら耐え、死をも覚悟の一昼夜二昼夜。もう二度と会うこともできまいと玄関まで這って別れを告げにきた高齢の祖母の言葉が、面影が浮かぶ。船底は海面のたたきつけられ、いつエンジントラブルが起こらないとも限らない。

失敗し、海中に命を落とした人たちの話は、もはや知ることはできない。

島の親戚が身をけずる思いで集めたお金や、その代わりの砂糖を悪徳業者に騙し取られ、着の身着のままで鹿児島に上陸する者。業者もまた生きるため必死なのだっただろう。

錆釘で修理し、重さが倍にもなった引揚者から借りた軍靴、それすらも失い、裸足で街を歩くはめになったもの。

もと同じ鹿児島県人だった警察官に逮捕され、拘置所での理不尽なあつかいを受けた人は、行政分離の悲惨を肌身で思い知る。

こんな姿を島の人が見たらなんと思うだろう。それでもあきらめるわけには行かない。島歌「戻(もどぅ)しなりゅむぃ、黒潮乗(くるしゅぬ)り出し、戻(むどぅ)しなりゅむぃ」の歌詞そのままであったろう。行かなければならない東京への進学の夢がそれをささえた。

判決の日、裁判所に着ていく服がなく、鹿児島に住む叔母から借りた女物のスーツが体にあわず、気になり、判決も上の空で聞いた人もいた。

幸運にも、必死の旅の途中、見ず知らずの人から受けた親切に生涯忘れられない思いをした体験。

その先にも、警察の厳しい目を避けなければならい旅がつづく。人間万事塞翁が馬とはいうものの、ちょっとした運不運が人生を分ける厳しい現実も思い知る。

無事東京で入学を果たしても、行政分離の島からの仕送りは期待できるわけではない。

働きながら勉強しつつ、かつ故郷奄美の復帰運動に尽力した青春の日々は、充実し、今では誇らしくさえ感じられるようだ。原稿を依頼された方の中には、もう高齢のため記憶も薄れ執筆を断念された方も数名いらしたという。

米軍基地移設問題でゆれる徳之島から投稿した女性は、戦中戦後の悲惨な体験を思い出し、基地はいらないとペンを取ったという。

密航・命がけの進学―アメリカ軍政下の奄美から北緯30度の波涛を越えて 密航・命がけの進学―アメリカ軍政下の奄美から北緯30度の波涛を越えて
価格:¥ 2,100(税込)
発売日:2011-02

amazon 商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
死と隣り合わせの危険を顧みず、なぜ、若者達は旅立ったのか?昭和21年から28年の日本復帰まで北緯30度線以南の奄美群島は「アメリカ」であった。向学心に燃え、祖国分離の壁を乗り越えた青春の証言。

登録情報
単行本: 285ページ
出版社: 五月書房 (2011/02)

商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 2.6 cm

五、六トンからせいぜい二、三〇トン焼玉エンジンのポンポン船に身を託し、まかり間違えば生命の危険さえある黒潮逆巻く七島灘(しちとうなだ)を突っ切って、軍政下の閉塞状況から脱出し、進学していった止むに止まれぬ青春の心情――しまうた(奄美民謡)の歌詞を借りれば、「戻(もどぅ)しなりゅむぃ、黒潮乗(くるしゅぬ)り出し、戻(むどぅ)しなりゅむぃ」そのままであったであろう。その証言集が、この一冊である。(「まえがき」より


色づく前のヤマモモ(山桃)の実

2011年04月21日 | 植物

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ヤマモモ(山桃)ヤマモモ目ヤマモモ科

ツヤのない革質の葉は密に互生し枝先に束をなし、その中央に(熟すと)黒赤色の実が十数個、皿にもられたように実る。

実の表面の小さな粒状突起はキラキラとツヤがあり、独特の香りがあって奄美では夏の始まりを感じさせられる。

「スモモも桃も桃のうち」というが、

スモモはバラ科サクラ属で、バラ科モモ属の桃とは異なる種で、

ヤマモモはヤマモモ科ヤマモモ属で、バラ科モモ属の桃とはまったく別の植物である。

三者とも果実はこれからの季節に見ることができるが、記憶の中でも、味覚の上からもそれぞれ違うイメージで思い浮かぶ。

ヤマモモの和名は、山に生える桃のような果実をつけることから。

別名 楊梅(ようばい)、山桜桃、火実など。


ニワゼキショウ and シロバナタンポポ

2011年04月20日 | 植物

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ニワゼキショウ(庭石菖 Sisyrinchium rosulatum)
アヤメ科ニワゼキショウ属の一年草。

花言葉は
「繁栄」「豊かな感情」「豊富」

wiki 北米に生息する本来の S. atlanticum は多年生で、雌しべが花被※より長いなど、日本のニワゼキショウとは異なる特徴をもっている。

芝生や草地などに群生している。花期は5~6月で、花色は白、赤紫で、青味がかったものはオオニワゼキショウとの雑種。花は、受精すると、一日でしぼんでしまう。

萼(がく、蕚は異体字)とは、植物用語の一つで、花冠(花びら、またはその集まり)の外側の部分をいう。ひらがな書きで「がく」とすることも多い。萼の個々の部分を萼片という。

多くの場合、花弁(「花びら」のこと)の付け根(最外側)にある緑色の小さい葉のようなものが萼である。萼は花全体を支える役割を持ち、 また、果実に残り付いている萼は、蔕(へた)と呼ばれることがある。

※ wiki 花被 =萼と花冠が同じように見える場合は、ひとまとめにして花被(かひ)ということが多い。

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これは、シロバナタンポポ?

黄色のセイヨウタンポポはよく見るが、白い花はめずらしい。

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まだ寒い名瀬 最高気温18.1℃ 平年-5.5度 and  イジュのつぼみ

2011年04月19日 | 気象 お天気

 

今日の名瀬は四月も下旬になろうというのに、肌さむい。

最高気温は18.1℃までしか上がらず、平年値を5.5度も下回った。名瀬測候所では午後13:37分には最大瞬間風速、北北西の風14.4m/sが観測され、例年なく肌寒く感じられた一日となった。街行く人たちのなかには厚手のジャンパーで背中をまるめて寒そうに歩く姿も見られた。

今日19日の名瀬

気象庁   データ  時刻
最低気温(℃) 15.0   04:42
最高気温(℃) 18.1   10:48
最大瞬間風速(m/s)
(風向(16方位)) 14.4(北北西) 13:37

気象庁 平年値 気温 日ごとの値 ↓   

名瀬 1971~2000年
4月19日 最高気温 23.6 (今日 18.1 -5.5℃
       最低気温 17.0 (今日 15.0 -2.0℃)

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イジュ ツバキ科 ヒメツバキ属

花が咲いて初めて名前を意識し、梅雨を連想するイジュの花ですが、まだつぼみ。

もうすぐ咲きます。

クリーム色がかった白い梅のような花が枝先の葉に乗っかるように咲く。集散花序

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常緑高木

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『【敗北を抱きしめて』〈下〉― 第二次大戦後の日本人 ジョン ダワー (著)

2011年04月19日 | 本と雑誌

110419book_embracing_defeat 敗北を抱きしめて〈下〉― 第二次大戦後の日本人 [単行本]
ジョン ダワー (著), 三浦 陽一 (翻訳), 高杉 忠明 (翻訳), 田代 泰子 (翻訳)

登録情報
単行本: 380ページ
出版社: 岩波書店 (2001/5/30)

発売日: 2001/5/30
商品の寸法: 19.4 x 14 x 3 cm

このブログ 2011年4月12日 (火曜日)
『敗北を抱きしめて』〈上〉―第二次大戦後の日本人 [単行本] ジョン ダワー (著)

からのつづきです。

出版社/著者からの内容紹介
1945年8月,焦土と化した日本に上陸した占領軍兵士がそこに見出したのは,驚くべきことに,敗者の卑屈や憎悪ではなく,改革への希望に満ちた民衆の姿であった.勝者による上からの革命に,敗北を抱きしめながら民衆が力強く呼応したこの奇跡的な「敗北の物語」を,米国最高の歴史家が描く.20世紀の叙事詩.ピュリッツァー賞受賞
敗北を抱きしめて〈下〉― 第二次大戦後の日本人 敗北を抱きしめて〈下〉― 第二次大戦後の日本人
価格:¥ 2,310(税込)
発売日:2001-05-30
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著者 最近の本
[単行本]   
ジョン・W・ダワー (著)
明田川 融 (監修, 翻訳)
昭和――戦争と平和の日本 昭和――戦争と平和の日本
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2010-02-25
 

テッポウユリが咲いても長袖かぁ。

2011年04月18日 | うんちく・小ネタ

波の音 龍郷町 戸口 (たつごうちょう とぐち) 太平洋側

晴れたのに、それほど暑くならない、ことしは。

きょうの名瀬
気象庁   データ 時刻
最低気温(℃) 17.3 00:16
最高気温(℃) 21.8 13:36
最大瞬間風速(m/s) 12.8(北) 11:21

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うつむいて何を思案の百合の花   正岡子規

百合咲けばお地蔵さまにも百合の花   種田山頭火

 

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足引きの山のしげみの迷い路に 人より高き白百合の花  正岡子規