シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

第9のない年末

2020-12-21 17:03:55 | 音楽を聴く
あと10日ほどで今年も終わる。
コロナ一色だった今年、世界中が静かな悲しい一年になった。
そして、この偉大な音楽家もまた不運な巡り合わせとなった。

ベートーヴェン。今年生誕250年。
先週、12月16日が誕生日だった。
本来ならば、この年末は例年にないベートーヴェンイヤーになり、
世界中が第9で溢れていたはずだった。
しかし、ほとんどの演奏会が中止。
14年前のモーツァルト生誕250年のような華やかさはない。


ベートーヴェンの逸話は数多く、
真偽はともかく話の種になりそうなものが多い。

交響曲第7番は有名だが、本人は、
「8番の方がいい曲なんだ。なぜ皆7番ばかり聴く?」と言う。

足し算が出来ない。
よく、自筆のスコアの隅に計算が書かれてあるようだが、
ほとんどが間違っているらしい。

自身に声楽の経験が無いため、第9の合唱の音域はやたら高い。
アマの合唱はほとんどが、第9ではボロが出る。

しかし、交響曲に初めて合唱を入れるなど、
ベートーヴェンはとても研究熱心で、フロンティア精神のあった人だ。


私は子供の頃、第9のレコードを聴いていて、
突然人の歌声が入ったので怖くなったのを覚えている。
中学生の時、6番「田園」を聴いて田舎に行ってみたくなり、
夏休みに岩手まで初めての一人旅をした。
高校生の時には、バイトで貯めた金で第9のチケットを買い、
生まれて初めてのクラシックのコンサートに行った。
そして、大人になり合唱団に入り、いろんなところで第9を歌った。
12月だけで5回歌ったこともある。

その、子供の時聴いた第9のレコードの表紙の写真が、
冒頭の写真である。
ウィーンのベートーヴェン記念公園の像だ。
新婚旅行でウィーンに行き、この像の前で同じポーズをした。

ベートーヴェンは特に好きな作曲家でもない。
が、自分の中に色濃く存在している。


耳が不自由なのに大作曲家となったベートーヴェン。
その記念すべきメモリアルイヤーに、現代の人が不自由に陥っている。
でも彼流に言えば、
「来年こそがいい年なんだ。なぜ皆今年にこだわる?」
そう、来年心からベートーヴェンを、第9を聴ける年にしたい。


昨日CDで久しぶりに第9を聴いた。
合唱団に入って多くの人と出会い、
練習で苦労した思い出などがよみがえった。
私の原点となっている曲だ。
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