カッキーYAMA   akihiko tange

手始めに、日常的なことを気の向いたときに載せていくつもり。

夜景クルーズ

2020-11-04 | エッセイ


川崎の工場夜景クルーズが9月から再開しているようだ。コロナで暫く中断していたらしい。とにかく再開を喜びたい。

工場の夜景クルーズがマスメディアなどで話題になり始めた頃、思い起こすことがあった。

1990年代だったという記憶だが、川崎市のモニターを少しの期間引き受けていたことがある。その時に市が所有している船があって、なんという名の船か船名は忘れてしまった、それに他のモニターの人たちと乗り込み、川崎港沖をクルーズしたことがある。船好きの自分にはうってつけの企画だった。その時は昼間だったが、目の前に広がる工場群を眺めて、これは観るべき風景に値するなと思ったし、他人がどう感じるかは知らないけれど、ワクワクして嬉しかった事を覚えている。
その時、その感じを古い本なのだが読み物として楽しく読んだことのある坂口安吾の機能主義文化論と関連させて誰か知人に話をしたりした。商業スペースばかりが街の中でもてはやされるなか、その工場群に直感的に何か別のものがありそうな気がした。特にその時代に。

その時期と前後して、今度は釣りにでも行こうとある日突然思い立ち、車を走らせ川崎港へ行った。釣りは船釣りの経験はあったものの初心者で、竿などは持ってなく、もう何でもいいからと、道糸に針を付けただけのそれをコーヒーの空き缶にグルグルと巻き付けて出かけた。川崎港のコンクリート護岸から糸を垂らし、コーヒー缶を両手で握りしめてアタリを待った。粘って粘ってやっとタナゴを釣りあげた時は感激した。意外に大きめのタナゴで魚名を知らない自分は小ぶりのタイだと思い、大事に家へ持ち帰り家族に吹聴し、丁寧に自分で焼くことまでして振る舞ったりした。皆で小さな魚を箸で啄きつつ笑いながら食べた。
そんな思い出なのだがその頃もやはり港の工場群を眺めていた。その時は夜景が多かった。ライトアップを目的としたものではない機能的な明かりの群れだった。これはもう絵になるなとそこの空気感を楽しんでいた。

その後、夜景のマニアなどを対象としたクルーズが開催されるようになりテレビなどで紹介され始めたようだ。観て、ああ、いいな!と思った。もっと多くの人が楽しめるといいと思う。

アクアラインや湾岸の高速を車で走ってもまた角度の違った工場群の景色が楽しめる。夜景は特に独特の雰囲気がある。ずっと横浜の方まで続いていて、静かだが工場の生きた製造の音が聴こえてきそうだ。
都会の風景だと思う。

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