カッキーYAMA   akihiko tange

手始めに、日常的なことを気の向いたときに載せていくつもり。

まだ、てはじめに

2009-09-30 | エッセイ

 ある夏の日の夕方、思いついて新宿の「C」へ行った。「C」は洋酒などを飲ませる。パブ、といってよいだろう。細長いスペースに、それに合わせた長い木製の無造作なカウンター、座ると隣人と肘が当たるくらいの狭いテーブル席がこれも縦長に素直に並んでいる。こぢんまりとした店である。
 店に入ると客はほとんどいなかった。年配の男が数名、静かにグラスを傾けていた。ジャズがかかっているのである。マスターは比較的最近この店を引き継いだそうだ。ジャズについてはめっぽう詳しい。ひとりで行き、そこでしばらく飲んだ。四半世紀ぶりに訪れていることに気付いた。以前は20代から30代くらいの客で賑わい身動きが取れないくらいだった。かかっている音楽も当時はジャズとはいえ、クロスオーバー系の軽快な曲がガンガンとかかっていた。話し声など聞こえなかったくらいである。地下2階にあるから周りのことは気にしないで良かったのだ。普通の会話を大声でするものだからそれだけでかなりの体力を必要とした。パワーだけはみんな持ち合わせていた。今は居酒屋などへ行っても若者がたむろしているのに意外に静かだから不思議な感じがする。その店はその時、年配の男数名がいただけだったので、なおさら静かで僕は調子が狂った。隔世の感があった。四半世紀もたてば確かに変わるだろう。時間帯が早すぎるのかなとも思った。数杯飲んで、あれこれマスターなどと話をし、ジャズの知識をどっさりともらい、帰った。                             

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