私が良く読んでいるblog『
夢幻∞大のドリーミングメディア』の中から、気になった記事を紹介。
このblogの中の「ホームサーバの戦い」シリーズは、デジタルメディアの世界の歴史や潮流を知る上では、珠玉だと思うので、その分野に興味のある方には、お薦めしておく。
しかし、今回紹介する記事は、IT業界系とは一線を画したもの。
『
もっとパラリンピックに目を向けよう』
この中で、このblogの筆者「mugendai」氏(以下、mugendai氏)は、「山田太一著『男たちの旅路・車輪の一歩』日本放送出版協会」という本の後書きにある、著者の対談文から一部を引用しているのだが、その内容が、全く目から鱗が落ちるものだった。
山田氏 「身障者の人たちの現実を健康な方はあまり知らないということもあるのです。けれども、この『車輪の一歩』は、必ずしも、身障者の話を書いたわけではありません。
現代は非常に個人主義の時代で、他人にも迷惑をかけないかわりに自分もかけられたくない、というモラルがあって、それがある意味で人をすごく規制している。そのために非常に孤独に陥ったりするということは身障者に限らずあります。しかし、人間の生き方の中には、迷惑をかけてもこのことはやらなければいけないということはいっぱいあるわけです。組織を作るにしても、募金にしても、署名運動にしても、それは人の迷惑を考えたらやれないのです。単に身障者の話ということではなくて、そういう、もう少し普遍的なものをぼくは裏側に用意したつもりです」
(山田太一著「男たちの旅路・対談『男たちの旅路』を終えて」日本放送出版協会)
これは、今まさに私が感じている事で、人が個人主義に陥った事で孤立化していき、孤独感を助長する要因になっているんじゃないかと思う。確かに、人に頼ったり、頼られたりというのは、お互いの関係性が生まれるわけで、そこで、自らの思うようにならない部分というのは、必ず生まれるものなのだが、人は、そこから得られるものにも目を向けるべきだと思うのだ。これは、mugendai氏が書いた別記事「
『あなたとは違うんです』首相の存在感」の中で、氏が日経ビジネスオンライン「
殿様”にはなれない日本の首相」から引用した、細川元首相婦人のコメントにも通じる。
細川氏 「私は、今の政治の世界の内情については、全く分かりません。ですから、福田さんがなぜ辞任を表明されたのかについては、語ることはできません。
ただ今回の辞任で1つ言えるとしたら、また同じようなことが、今後も起こり得るということです。今の日本の首相は、常に足を引っ張られる存在だからです。何をしても、褒められるよりも批判されることの方が多いのです。
というのも、首相になりたいと思う政治家は多いですから、野党に限らず政権を支える与党の中からも、いつか追い落としてやろうと、狙われている存在です。
(中略)
―― 日本の首相は、ご主人とは別の意味で殿様のようになれませんね。意志を貫き、強いリーダーシップを発揮するような。
細川氏 「日本は、強いリーダーを育てるような環境にありません。能力のある人をつくっていくという暖かい眼差しがないのです。マスメディアも国民も、褒めるよりも批判ばかりで、足を引っ張ることばかり。これでは強いリーダーが生まれるはずがありません。政界、財界とあらゆる社会で人物が小粒になってきていると言われるのは、こうした日本の風土と無縁ではありません。
(中略)
今の日本に閉塞感があるのは、夢や目標に挑戦せず、できることしかやらない人が増えているためです。魂
の抜けてしまった人が多くなったのは、教育が知識の詰め込みばかりで、何かに感動したり、他人の痛みを感じることを学ばせなくなってしまったからです。知
識偏重になったのは、企業中心、経済中心の社会になったため、効率ばかり追い求め、一人ひとりの人間にスポットが当たらなくなってしまったことも影響して
いると思います」
マイナスの事ばかりに目を向けていると、プラスの面が見えなくなる。そして人は、マイナスの面に目を向けて、「あれが駄目だ」「これが駄目だ」と、どんどんと貶めていく。得てして人の目は、分かり易いもの(定量的なもの)に目が行きがちで、分かり難いもの(定性的なもの)を見過ごしてしまう。それ故に、分かり難いものにこそ価値があっさえ、それがなおざりにされてしまう。行き過ぎた個人主義が生まれる背景として、細川氏の言う教育(家庭や社会(学校は、社会の一部でしかない)が育むもの)の側面は、非常に大きいと思っている。要するに、どういう事かと言うと、
「他人と相互に影響を及ぼし合う煩わしさと、それに依るプラスの側面(相互扶助など)の2つの側面に対し、直接的に分かり易く、マイナスである煩わしさに目が向くが為に、自ら孤立していく」
ということが出来るかと思う。
これは、先日会った人と話していた事なのだが、「人(子供)を育てるために、まず大切なのは、親の愛情だ」という事。私は、子供の教育に必要なのは、家庭、学校、地域コミュニティの3本柱だと考えてるが、でも最重要は、やはり家庭なのだろう。そして家庭で愛を育むことで、相互に頼ったり、頼られたりする関係(依存や甘えとは違う)を安心して行って良いのだということを学ぶことにも繋がっていくのだと思う。