弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

PL(製造物責任)について

2014-11-21 16:05:23 | 法律一般

今朝の名古屋は、気持ちいいくらい晴れわたっていましたね。

明日からの3連休も天気がよさそうな感じです。

 

さて、今日は、知的財産とはあんまり関係ないですが、製造物責任法(PL法)に関して軽く触れてみようかなと。

 

製造物責任法は、第1条から第6条まで、全部で6つの条文しかない、短い法律です。

なんでこんなに短くていいのかというと、この法律は、民法の特別法という位置付けだから(PL法6条)。

なので、PL法に定めがないことには民法が適用されます。

 

特徴として知っておくといいのは、次の点。

 

 ・消費者保護ではなく、「被害者」の保護が法目的なので、保護対象は個人だけでなく、企業や国も含まれる。

 

 ・民法の原則によれば、被害者が製造業者の過失を立証しなければならず、立証のハードルが高いですが、PL法によると、被害者は製品に欠陥があったことを立証すれば足りる。

  → 逆に、製造業者は、法定の免責事由を立証しないと責任を免れない。

 

 ・責任を負うのは、純粋な意味での製造業者だけでなく、海外で製造された物を輸入した業者も含まれる。

 

 ・製造物には、加工品も含むが、農林水産物(肉、野菜、魚)を単に切っただけ、冷凍や乾燥しただけというのは加工にあたらない。

  でも、煮たり、焼いたり、味付けしたり、薫製にしたりした場合は加工にあたる。

  ※過去の裁判例(東京地裁平成14年12月13日判決)には、イシガキダイという魚を塩焼き等の調理をしてお客さんに出したら、魚に含まれていた毒素が原因で、お客さんが食中毒になったという事案があります。

   この事案では、料理を提供した料亭に製造物責任があるとされ、お客さんの賠償請求が認められています。

 

 ・欠陥とは、通常有すべき安全性を欠くことと定義されていますが、それに該当するかどうかは、通常予見される使用形態が考慮される。

  この場合、単に想定外の使用だからというだけで免責されない。

  ※過去の裁判例(鹿児島地裁平成20年5月20日)では、カプセル入り玩具のカプセルを子供が誤飲した事案で、欠陥ありと認定されています。

   また、国等が定める安全基準を満たしているということも、それだけでは欠陥にあたらないということにはなりません。

 

実際のところ、製造物責任を問われる事案はそれほど多くありません。

とはいえ、メーカーはもとより、輸入業者であれば、製造物責任法への対応には気を配る必要があります。

現実に責任を問われた場合に備えて、保険に入っておくことも対応策の一つです。

 

ちなみに、PL保険ですが、国内用と海外用が分かれていて、製品事故がどこで発生したかでどちらが適用されるかが決まります。

そのため、国内用のPL保険にだけ入っていた場合、海外で製品事故が発生すると、保険は適用対象外となってしまいます。

製品が国内だけで使用されるのか、海外でも使用されるのか、そのあたりも考慮する必要がありますね。

その点、ぜひご注意を!

 

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