弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

日経経済教室~職務発明~

2014-11-18 15:53:02 | 特許

来年4月より女子大の家政学部で民法の初歩を講義するわけですが、昨日はその準備の一環で、授業見学してきました。

講義を引き受けた以上、どんなレベルの講義を、どんな雰囲気で、どんな形で行っているのか、確認しておきたくて。

 

今回見てきた授業は、来年僕が担当する授業の前段階という扱いのもの。

昨日は、民法総則の中の、意思表示規定に関するものでした。

大学1年生の必須科目ということもあり、受講生は100人以上の女子学生。

授業開始前に、こいつは何者かというアナウンスは一応ありましたが、学生さんには、たぶん、なんだこのオッサン、と思われてたでしょうね(-_-;)

 

授業ではパワーポイントが使われ、そのスライドの内容を学生さんはすべて手書き。

司法修習生の時(そういや、今は二回試験の最中かな)、100枚を超える怒涛のスライドを使った司法研修所の講義で、ノートにメモを取るのに疲れ果てていた頃を思い出しました。

そんな100枚超えのスライド体験者としては、今回の授業のスライドなんて全然たいしたことないですけどね。

とはいえ、大学1年の学生さんには酷かもしれません。

 

ちょっと気になったので、授業後に、なんでプリントアウトしたものを配布しないのか、授業担当の先生に聞いてみました、。

すると、当初はプリントを配っていたそう。

でも、それをすると、配られたプリントで満足してしまい、メモを取らない、寝るといった事態になってしまうので、あえて手を使わせるようにしているとのこと。

必須の教養科目で、かつ大教室でやる授業というのも、そうなってしまう原因でしょうか。

 

うーん、僕はどうやって授業しましょうか。

 

さて、前置きが長くなりました。

職務発明の改正論議に関しては、このブログでもたびたび触れていますが、昨日と今日、日経新聞朝刊の「経済教室」に、特許法の職務発明規定改正に関する論考が載っていたので、今日はそれについて。

昨日は東大の玉井克哉教授の意見、今日は一橋大の相澤英孝教授の意見です。

いずれも知的財産をご専門とされている著名な先生です。

玉井教授が改正について肯定的な意見を述べられていたので、今日は改正反対の意見が載るんだろうなかと思いきや、相澤教授が改正に肯定的な意見を述べられていました。

 

とはいえ、相澤教授の意見は、職務発明規定なんて不要だから削除してしまえ、アメリカの制度と同様、従業員と会社との契約に委ねていいんだ、というもの。

それはそれで合理的な考え方ですが、いきなり削除はちょっと過激!?かなあと。

 

それに対して、昨日の玉井教授の意見は、現行は「相当の対価」というお金の話だけになっているが、発明への報い方はもっと多様であっていい、というもの。

青色LEDの中村修二教授があれこれ言っていることについても、それが的を得たものでないことが論理的で、わかりやすく説明されてます。

僕自身は、この玉井教授の意見を読んで、とても腑に落ちるし、改正としては落ち着きのよいところかなと思います。

一読することをおススメします。

 

ところで、玉井教授はTwitterもされていて、しっかりフォローさせていただいてます!

記事に掲載されていた写真は、Twitterのものとおんなじでした(^^)

 

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