チョコな奴

チョコはチョコでも卵巣チョコレート嚢胞から命名。すっかり体調も戻りブログに趣味のことなど書きたくなってきた今日この頃…

草にすわる-白石一文

2006-07-04 23:29:02 | 読書
光文社文庫6月新刊のトップを飾るほどの作家となった白石一文。本屋では文庫とはいえ、平積みになっている。そんなに売れていたのか・・・出版社勤務中に、2000年作家デビュー。2003年に退社しその後も作家活動を続けているらしい。

「草にすわる」は表題作を含め三篇の中編で構成されている。表題作は2003年、あとの2作は10年以上前の作品。「草にすわる」はダメダメ男、洪治のお話。大手企業を辞め、羽を休めていれば、チャンスはやってくると思っていたが、思わぬ病気で一人暮らしさえままならなくなり、実家に舞い戻る。母のパート先の女性と付き合うようになるが、愛情があるというわけでもないのでそろそろ別れようと思った矢先、女性から死のうと誘われる。薬を大量に飲んだが洪治は命をとりとめる・・・

白石一文のかつての長編はみなエリートのお話ばかりだった。なぜ今回はダメダメ男? ダメダメ男というと佐藤正午という作家を思い出す。古いけど「永遠の1/2」「ジャンプ」、これらは優柔不断男がでてくる。男性に言わせるとこの優柔不断ぶりがよくわかるんだそうだ。なんかうじうじしていてとっても気持ちわるいなぁと思うんだけど。最近は「小説の読み書き」なんという新書も出しているらしい。

白石は文庫化に際し自分自身であとがきを書いている。

「法や正義も含めて、この社会のルールも仕組みもすべては私が私として生きるために便宜的に備わっているものにすぎない。(中略) 私という心を私がいかに生きるかということにこそ重点が置かれるべきなのである。」

う~ん、私もこういう考え方が好きなんだけど、世間一般には自己中な奴と映るだろうなぁ。社会と個人のかかわりかたが中途半端な生き方は見ていて見苦しい。彼らから見ると私のような人間は「変人」としか映らないんだろうけれど。