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真夏の二銭銅貨

2022年08月02日 | 雑日
50年前の夏は、いまほどの酷暑ではなかったはず。
エアコンのない部屋で、これを読んでいられたから。
講談社文庫は1971年7月創刊、「二銭銅貨」の奥付には「1971年9月発行」とあるので、
第二回の配本だったのかな。亀倉雄策の装幀が懐かしい。
で、一緒にそのときの目録。全部でも100冊に満たないラインナップでは、
日本文学は「方丈記」、海外文学は「ハムレット」から始まっています。

『二銭銅貨』には「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」「心理試験」「パノラマ島奇談」「陰獣」を収録。
文句のつけようがないセレクトで、個人的にも乱歩といえば、この本なのです。
これ以上入り込まなかったのは、正史とカーがいたからで。

ところで「二銭銅貨」の銅貨はねじ式(つげ、ではない)に分解できる仕組みと書かれていますが、
アメリカ無声映画の名作といわれた「名金」(原題The Broken Coin)のwikiで、
『2人の少年は、鍛冶屋に二銭銅貨を2つに割ってもらってそれぞれが持つ「名金ゴッコ」に興じており、
間もなく同様の玩具が全国の駄菓子屋で販売された』(引用)とあります。
割れたコインに財宝のありかが隠してあるという設定だったそうで、
意外に乱歩はそこあたりからアイデアを拝借したのかも。

とはいえ真夏になると、この本を読んでいたことを思い出します。
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