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チラシの裏

蟇屋敷の殺人

2017年06月08日 | ミステリ
オビに「怪作!」とあるので、本格ミステリではないという前提で読み始めたものの、
このゴツゴツしたキャラクターと展開、および文章になんども放りなげたくなりました。
パースの狂った背景の上に頭身のおかしな人物の絵を置き、
下手な朗読で紙芝居を見せられているような感じが、なんとも苦しい。
その馥郁たる香りがわからぬヤツに戦前探偵小説を読む資格はない、
と言われれば平伏するしかありませんけどね。
現代の目で戦前作品(1938年ごろの作?)を見てはいけないと思いつつも、
ぎゃくに乱歩・正史は小説がうまかったんだな、と改めて思わせてくれました。

とにかく最後まで読みましたが、これ時代小説ですね。
プロット、展開、キャラクター造形は時代小説のまんま。
甲賀三郎のプロフィールを見てみると、森下雨村と決別したあと、
長谷川伸のグループに接近して時代ものを書きはじめた、とあります。
そのころに書かれた作品なので、現代を舞台にしたスリラーでありながらノリは時代小説。
中心プロットではクイーン後期の某作品を先取りして「おっ」と思わせますけど。
時代小説としてみると、キャラクターの出入りがぎごちなく、
読んでいてストレスがたまるのは、テクニックの差なのでしょうか。

作中でいちばん気に入ったセリフ。

「するとあなたは」
「二号です」

仮面ライダーかい!
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