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「絞首台の謎」から思うこと 1

2017年06月18日 | JDカー
このたび創元推理文庫から「絞首台の謎」の新訳が出るようです。
この旧版が出たのは1976年。もう40年以上も昔のことなんですね。
でも、本屋で平積みになっていた光景を今でもはっきりと覚えています。
その本屋も今年無くなってしまいましたが。

4作のバンコランものにみられる傾向は、犯人探しの探偵小説であると同時に
「怪物ハンター(バンコラン)対怪物(犯人)」という図式ではないか、と思うこのごろです。
とくに処女作「夜歩く」と続く2作目の「絞首台の謎」は、
少年オヤジ探偵団的とでも言えるような派手な展開、おどろおどろしい描写、怨念うずまく動機の数々。
好き者にはこたられませんが、冷静になって読むと少々子どもっぽい。
「髑髏城」と「蝋人形館の殺人」になると、舞台はあいかわらずド派手ではあるけれど、
話の衣をはぎとった謎の核心は意外に地味で、普遍的な動機になっています。
そのあたりに、カーのプロ作家としての成長を感じる、などと偉そうに思ってみたりします。

カーがバンコランの4作を発表したのは1930年から32年にかけて、
その当時どんなミステリが欧米で出ていたのか。
そんなこと分かるわけがない。
分かるはずはないのですが、大物作家以外にも、ケネス・デュアン・ウィップル「ルーンレイクの惨劇」(1933年)
のような作品がひしめいていたのではないか。
そんな中からカーが一頭地抜けてこられたのは、才能と筆力があったとともに、
作品の価値をセイヤーズに認められたからではないでしょうか。
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