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半七捕物帳 リミックス

2015年03月09日 | 時代
白泉社招き猫文庫から「半七捕物帳 リミックス!」という本が出たので
ちょいと買ってみました。
招き猫文庫の意味は、寝ころがって読める時代小説、ということだそうですが、
それプラスいわゆるラノベ調、という要素もあるようです。
巻末の既刊リストを見ると「半七」以外はたぶん全作ラノベ作家(とそれに近い人)の作品でしょうね。
その中で岡本綺堂作というのはやっぱり相当に違和感があります。
あかほりさとる、と岡本綺堂が並んでいるのはここだけかも。

オビには「探偵小説の金字塔」、「読みやすい表記・意訳を加えて新構成!」とあります。
「金字塔」には異論はないものの、どうなっているのかと読みはじめると、最初は「石燈籠」。
「お文の魂」じゃなくて「石燈籠」なのは、
半七の若い頃の話があるのと、初手柄の事件だからでしょうね。

リミックス版「石燈籠」では、冒頭に「青蛙房鬼談」「三浦老人昔話」のマクラを流用してます。
ところどころにアニメかマンガっぽい表現のあるところが気になります
(目をカッと見ひらく、肩をバシっとたたく、とか)。
この時代、親分が子分の肩をバシッとは叩かんでしょう。
細かい部分の付けたり引いたりするところはあるものの、筋はほぼ同じ、です。
リミックス、というより昔の児童書のような、訳者が自由に演出した翻訳に近いかも。

久しぶりに半七を読み返すことができて嬉しくもあります。
こんなきっかけでもないと読み返さないからなあ。
「石燈籠」はいわゆる「不可能犯罪もの」じゃないですか。
横溝正史が人形佐七捕物帳でよく使っていたトリックですし。
ちなみに横溝正史の人形佐七捕物帳の第1作目「羽子板娘」は、
「石燈籠」へのオマージュ、と今気づきました(ボンクラ)。
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