J・D・カーが生まれて今年で100年、そんなことを祝うのはコアなミステリマニアが棲息する極東の島国だけでしょうねえ。そこで東京創元社が記念アンソロジーを作りました。カーにリスペクトする作家はこんな方々。
芦辺 拓 「ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う」
桜庭一樹 「少年バンコラン! 夜歩く犬」
田中啓文 「忠臣蔵の密室」
加賀美雅之「鉄路に消えた断頭吏」
小林泰三 「ロイス殺 . . . 本文を読む
某2ch内のカースレで、「『三つの棺』密室講座」についての話題があがっていますが、「飛ばして読んでも差し支えない」などというのは論外としても、「密室講義」の正しい意味を書いて欲しいものです。
以下ネタバレです!
『三つの棺』のメイントリックは鏡による一人二役だと言われていますが、それはカーが仕掛けた大トリックの一部分です。カーが目論んだのは、常套的なミステリの流れの逆転、それによっておきる不可 . . . 本文を読む
「剣の八」ですが、なんともデジャヴな読後感です。
なんか、どっかで読んだような話。
HM卿もので逆密室(?)てなことで有名な長編
あるいは同じHM卿のデビュー長編
昨日も書いたように後年の作品にも。
そのあたりのプロットに似ているような。
というより初期カーのプロット作りの習作みたいな作品ですか。 . . . 本文を読む
剣の八(ジョン・ディクスン・カー著)
やっと新訳が出てうれしいです。こういう話だったんですね。フェル博士もフツーの人の口調に戻ったし。
ところで、今回の趣向はディクスン名義のある作品と同じで、プロットは最晩年の作品の裏返し、です。
解説で作家の霞流一氏が「名探偵集合論」みたいなことを書いておられましたが、この趣向は後年の「九つの答」につながるように思えます。
もうちょっとキャラクターの書き込み . . . 本文を読む
カー最後の未訳本だった「Papa La-bas」が刊行されました。ニューオリンズ三部作(「亡霊たちの真昼」「死の館の謎)のひとつとして書かれたものです。著者本人による創作ノート(好事家のためのノート)によると、探偵役上院議員や事件の発端となるヴードゥークイーンも実在の人物だそうです。たしかにカーの他の歴史物でも実在の人物を使っているので不思議じゃないですね。探偵役となる上院議員はおとなしいフェル博 . . . 本文を読む
カー最後の未訳本だった「PaPa-LaBas」が「ヴードゥの悪魔」という題で原書房から刊行。晩年の作品なので、年寄饒舌体が炸裂しています。出てくるどんなキャラもニューオリンズの歴史に詳しいこと。んな、馬鹿な、です。
一目ぼれした彼女と舞踏会で偶然の再会なんて、昭和40年代の少女漫画じゃあるまいし。
でも、カーの翻訳本をじっくり味わえる幸福はこれで最後、感無量。 . . . 本文を読む
2月から3月はディクスン・カー月間のもよう。
まずは原書房から、カー唯一の未訳長編 『ヴードゥーの悪魔』が刊行。ニューオリンズ3部作のひとつ。
お次はハヤカワ・ミステリ文庫クラシック・セレクションから 『剣の八』の新訳。妹尾アキ夫のポケミスは文章変だし、フェル博士はオカマみたいな口きいているし、新訳は期待大。
で、曲球は『ジョン・ディクスン・カー ラジオ・ドラマ作品集』。
アメリカ・CBSの . . . 本文を読む