男は三連の暖簾の前に立った
暖簾には一文字ずつ書かれている

そ の だ
男はふと思い出したのだ
大阪は谷町六丁目

暖簾に文字は刻まれていないが
同じく 大衆食堂スタンド そのだ
男は思った
お前もか
大阪から東京に進出してきているお店
浅野日本酒店
そして
旧ヤム邸
最近相次いで訪れたお店だ
ただ、男にとって大阪のそのだといえば 玉造にあった中華そば屋という思いが強いのだが・・・


感傷に浸った男は思い切って暖簾を潜る
「一人なんじゃけどのぉ~」
カウンターを案内される

「生ビール頂戴な」

琥珀エビスである
店内の様子を伺う
所狭しと張り出された短冊

これは谷六に通じるものを感じる
手元の品書きも確認する

名物に書かれた4品の中から選んだのは
チャーシューエッグ

チャーシューの上に半熟目玉焼きがのったその名の通りのシンプルな一品

良い感じで黄身が流れ出る

品書きの裏面も確認する

瓶ビールを願い出る

黒ラベル
出されたグラスはちびまる子ちゃん
思わず男は自分がほくそ笑むのを感じた
慌てた男は辺りを見回した
今日の俺はハードボイルドの筈
まさか笑った顔を誰かに見られてしまわなかっただろうか
男は知らなかった
それが杞憂に過ぎないことを
誰一人男に関心を寄せるものはいなかった
次にオーダーしたのはメンチカツ

たっぷりのオーロラソース
箸を差し込むと流れ出る肉汁

もう一度壁際の短冊に目を遣る

出汁豆腐
大阪から進出してきたお店の出汁豆腐

こんなのを期待するではないか
しかぁ~し

なんじゃこりゃぁ~
思わず男は自分が顔をしかめたのを感じた
慌てた男は辺りを見回した
今日の俺はハードボイルドの筈
しかめっ面を誰かに見られてしまわなかっただろうか
男は知らなかった
それが杞憂に過ぎないことを
誰一人男に関心を寄せるものはいなかった
おとこはバイスを願い出た

ブラックジャック
思わず男は自分がほくそ笑むのを感じた
慌てた男は辺りを見回した
今日の俺はハードボイルドの筈
まさか笑った顔を誰かに見られてしまわなかっただろうか
男は知らなかった
それが杞憂に過ぎないことを
誰一人男に関心を寄せるものはいなかった
男は寂しく会計を願い出た

そのだ

いいではないか
暖簾には一文字ずつ書かれている

そ の だ
男はふと思い出したのだ
大阪は谷町六丁目

暖簾に文字は刻まれていないが
同じく 大衆食堂スタンド そのだ
男は思った
お前もか

大阪から東京に進出してきているお店
浅野日本酒店
そして
旧ヤム邸
最近相次いで訪れたお店だ
ただ、男にとって大阪のそのだといえば 玉造にあった中華そば屋という思いが強いのだが・・・


感傷に浸った男は思い切って暖簾を潜る
「一人なんじゃけどのぉ~」
カウンターを案内される

「生ビール頂戴な」

琥珀エビスである
店内の様子を伺う

所狭しと張り出された短冊

これは谷六に通じるものを感じる
手元の品書きも確認する

名物に書かれた4品の中から選んだのは
チャーシューエッグ

チャーシューの上に半熟目玉焼きがのったその名の通りのシンプルな一品

良い感じで黄身が流れ出る

品書きの裏面も確認する

瓶ビールを願い出る

黒ラベル
出されたグラスはちびまる子ちゃん
思わず男は自分がほくそ笑むのを感じた
慌てた男は辺りを見回した

今日の俺はハードボイルドの筈
まさか笑った顔を誰かに見られてしまわなかっただろうか

男は知らなかった
それが杞憂に過ぎないことを

誰一人男に関心を寄せるものはいなかった

次にオーダーしたのはメンチカツ

たっぷりのオーロラソース
箸を差し込むと流れ出る肉汁

もう一度壁際の短冊に目を遣る


出汁豆腐
大阪から進出してきたお店の出汁豆腐

こんなのを期待するではないか
しかぁ~し

なんじゃこりゃぁ~

思わず男は自分が顔をしかめたのを感じた
慌てた男は辺りを見回した

今日の俺はハードボイルドの筈
しかめっ面を誰かに見られてしまわなかっただろうか

男は知らなかった
それが杞憂に過ぎないことを

誰一人男に関心を寄せるものはいなかった

おとこはバイスを願い出た

ブラックジャック
思わず男は自分がほくそ笑むのを感じた
慌てた男は辺りを見回した

今日の俺はハードボイルドの筈
まさか笑った顔を誰かに見られてしまわなかっただろうか

男は知らなかった
それが杞憂に過ぎないことを

誰一人男に関心を寄せるものはいなかった

男は寂しく会計を願い出た

そのだ

いいではないか

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