(2001/総監督&共同製作:ジャック・ペラン/共同監督:ジャック・クルーゾ、ミッシェル・デバ/ナレーション:ジャック・ペラン)
前回に続いてのドキュメンタリー。少し前のNHK-BS放送を録画していたもの。
鑑賞前に驚いたのが製作者のジャック・ペラン。可愛らしい少年のような顔をした俳優(ヴァレリオ・ズルリーニ監督の「家族日誌(1962)」とか「鞄を持った女(1961)」とか見逃している作品が多い)で、名優と言っていい人なんだが、こういうドキュメンタリーも製作していたんですなあ。役者としては「ニュー・シネマ・パラダイス(1989)」の大人になったサルヴァトーレが、比較的新しいところでポピュラーなものでしょうか。
製作者としては「Z(1969)」や「戒厳令(1973)」など、政治色が強いサスペンスフルな作品が多いという印象でしたが、実は96年にも「ミクロコスモス」という昆虫を扱ったドキュメンタリーも作っていて、自国のセザール賞で、プロデューサー賞を獲っていたんですね。
「WATARIDORI【英語原題:THE TRAVELLING BIRDS】」は、前回記事の「ディープ・ブルー」のような学術的な観点は気にしなくてよろしいようで、小型飛行機かヘリコプターで撮ったと思われる飛翔する鳥たちを間近で捉えた映像は、「栄光のル・マン」や「シービスケット」などの車や馬の疾走シーンと同じように魅力に溢れたものです。しかも、鳥たちを見つめる視線に愛情が感じられる。尊重と言っていいのかも知れません。
前半は、鳥の種類や“渡り”の場所や距離が字幕で入っていて、興味津々で観ていたのですが、後半は鳥たちの情報が少なくなってちょっと残念でしたね。移動距離は2500kmから3000kmが多く、なかには1万kmを渡る鳥もいましたな。なんと、ペンギンの中にも海流に乗って1千km移動するものがいました。
アメリカのピッツバーグ辺りだと思うんですが、“渡り”の途中で、工場の廃液が流されている川に降り立った鳥たちの一羽が、ヘドロの中に脚を捕られて動けなくなってしまうシーンは、ちょっとだけ文明批判を感じましたね。世界中の湿地が年々少なくなっているので、渡り性水鳥の多くの種類が絶滅の危機にあるらしいです。
そういえば、アメリカのシーンでは、あの9.11で消滅したWTCの二つのビルが写っていました。
せっかくですので、野鳥について調べてみました。
映画では、夏に北極圏や南極に移動するものがほとんどでしたが、これらは日本で言えば「冬鳥」と呼ばれる渡り鳥ですね。つまり、冬に温帯地方にいて、夏になると寒い北国へ移動する鳥たち。日本で言えば、カモ、ツル、ハクチョウなんかが冬鳥です。
「夏鳥」と呼ばれる渡り鳥は、夏に暑い国からやって来て、冬にはその暑い国へ帰っていくものです。代表的なのはツバメですね。
“渡り”の範囲が一国内に限られているものを「漂鳥」と呼びます。繁殖期には高い山に上がっていて、そうでない冬場には平地に戻ってくる鳥たちです。日本ではルリビタキなどが該当するとのことです。
あと、一年中同じ場所に住んでいる鳥を「留鳥」と呼びます。ハトやカラスなんかがそうですね。
最後に、冬は赤道近くの暑い所で過ごし、夏はシベリヤなどの寒い地方で生活する渡り鳥がいます。彼等は、“渡り”の途中である春や秋には、休憩ではなく一シーズンを日本で生活します。そんな鳥たちは「旅鳥」と呼ばれているそうです。
何故、鳥たちは渡るのか? 寒さを避けるため他色々な説があるようですが、『より豊富な餌を求めて』というのと『子育ての環境を求めて』というのが有力なようですね。公開時コピーは、《それは、“必ず戻ってくる”という約束の物語》。しかし、どうして正確にその場所に“戻ってくる”のかは謎のようです。
尚、この映画もセザール賞の編集賞を獲ったとのことです。
旧くからの友人に鳥が苦手な人がいます。タイガース・ファンのスポーツマンなんですが、神社のハトも怖いという男。あいつはこの映画、観れんだろうなあ。
前回に続いてのドキュメンタリー。少し前のNHK-BS放送を録画していたもの。
鑑賞前に驚いたのが製作者のジャック・ペラン。可愛らしい少年のような顔をした俳優(ヴァレリオ・ズルリーニ監督の「家族日誌(1962)」とか「鞄を持った女(1961)」とか見逃している作品が多い)で、名優と言っていい人なんだが、こういうドキュメンタリーも製作していたんですなあ。役者としては「ニュー・シネマ・パラダイス(1989)」の大人になったサルヴァトーレが、比較的新しいところでポピュラーなものでしょうか。
製作者としては「Z(1969)」や「戒厳令(1973)」など、政治色が強いサスペンスフルな作品が多いという印象でしたが、実は96年にも「ミクロコスモス」という昆虫を扱ったドキュメンタリーも作っていて、自国のセザール賞で、プロデューサー賞を獲っていたんですね。
「WATARIDORI【英語原題:THE TRAVELLING BIRDS】」は、前回記事の「ディープ・ブルー」のような学術的な観点は気にしなくてよろしいようで、小型飛行機かヘリコプターで撮ったと思われる飛翔する鳥たちを間近で捉えた映像は、「栄光のル・マン」や「シービスケット」などの車や馬の疾走シーンと同じように魅力に溢れたものです。しかも、鳥たちを見つめる視線に愛情が感じられる。尊重と言っていいのかも知れません。
前半は、鳥の種類や“渡り”の場所や距離が字幕で入っていて、興味津々で観ていたのですが、後半は鳥たちの情報が少なくなってちょっと残念でしたね。移動距離は2500kmから3000kmが多く、なかには1万kmを渡る鳥もいましたな。なんと、ペンギンの中にも海流に乗って1千km移動するものがいました。
アメリカのピッツバーグ辺りだと思うんですが、“渡り”の途中で、工場の廃液が流されている川に降り立った鳥たちの一羽が、ヘドロの中に脚を捕られて動けなくなってしまうシーンは、ちょっとだけ文明批判を感じましたね。世界中の湿地が年々少なくなっているので、渡り性水鳥の多くの種類が絶滅の危機にあるらしいです。
そういえば、アメリカのシーンでは、あの9.11で消滅したWTCの二つのビルが写っていました。
せっかくですので、野鳥について調べてみました。
映画では、夏に北極圏や南極に移動するものがほとんどでしたが、これらは日本で言えば「冬鳥」と呼ばれる渡り鳥ですね。つまり、冬に温帯地方にいて、夏になると寒い北国へ移動する鳥たち。日本で言えば、カモ、ツル、ハクチョウなんかが冬鳥です。
「夏鳥」と呼ばれる渡り鳥は、夏に暑い国からやって来て、冬にはその暑い国へ帰っていくものです。代表的なのはツバメですね。
“渡り”の範囲が一国内に限られているものを「漂鳥」と呼びます。繁殖期には高い山に上がっていて、そうでない冬場には平地に戻ってくる鳥たちです。日本ではルリビタキなどが該当するとのことです。
あと、一年中同じ場所に住んでいる鳥を「留鳥」と呼びます。ハトやカラスなんかがそうですね。
最後に、冬は赤道近くの暑い所で過ごし、夏はシベリヤなどの寒い地方で生活する渡り鳥がいます。彼等は、“渡り”の途中である春や秋には、休憩ではなく一シーズンを日本で生活します。そんな鳥たちは「旅鳥」と呼ばれているそうです。
何故、鳥たちは渡るのか? 寒さを避けるため他色々な説があるようですが、『より豊富な餌を求めて』というのと『子育ての環境を求めて』というのが有力なようですね。公開時コピーは、《それは、“必ず戻ってくる”という約束の物語》。しかし、どうして正確にその場所に“戻ってくる”のかは謎のようです。
尚、この映画もセザール賞の編集賞を獲ったとのことです。
旧くからの友人に鳥が苦手な人がいます。タイガース・ファンのスポーツマンなんですが、神社のハトも怖いという男。あいつはこの映画、観れんだろうなあ。
・お薦め度【★★★=一度は見ましょう】
何気ないけど、すんごくお金がかかってる、時間もたっぷりかけている・・贅沢な1本です。
プロデューサーはがんばりましたよね。
「ミクロ・コスモス」もいいんだけど虫嫌いの私は繰り返し見る勇気がありません。「悪魔のいけにえ」をリピートするくらいの勇気が必要です。
小学生の時(あぁ~遙か彼方)に「ファーブル昆虫記」にはまった程の虫好き(但し、見るだけ)なんで、「ミクロ・コスモス」観たいんですが、TV放映を待つしかないですかね。
野鳥についての知識もありがたいです。
鳥の視点で見られるなんて貴重な体験ですよね。すごい映画だと思いました。
TBさせていただきました。
ありがとうございます。
azamiさんも観られてたんですか。
お褒めいただいたのでTBさせていただきますね。
雁行して飛ぶ鳥を近距離撮影した映像に、我が家では騒然となりました。っていうか、私が一人で大騒ぎしてたのですけどね(笑)
「どうやって撮ったんだ~!?」
「あ、あれはカッタ君じゃないか!?」
「海ガラスはペンギンが飛んでるみたいじゃない!?」
とか、ずっと喋ってるわけです。映画を観ながら(笑)
「シー・ビスケット」のレース・シーンの臨場感も素晴らしかったけど、本作は嫌ってくらい鳥の雁行を見せてくれて満腹になりました。
ニューヨークのツイン・タワーにはドキッとしましたです。ええ。
ちなみに、旅から旅への渡世人のことを「旅ガラス」と言います
はい、知っ“とり”ます
優一郎さんの記事を読みながら、“大騒ぎ”のお姿を想像して、ふとこんな事を考えました。
『この人の前世って・・・』(江原さーん!)
VHSに録画したまんまになっています。どこかにあると思うんですが、どこへやっちゃったかなぁ(^^;
そうそう、今朝、隣の庭からウグイスの鳴き声が聞こえてきました。
春なんですねぇ。
鳥の声で好きなのは、雲雀(ヒバリ)。
レンゲ畑に寝ころんで、高い空から聞こえてくるヒバリちゃんの鳴き声。
春が来たなぁ~って思います。